08.20
【動画】マスク着用の指示などでCAへの暴力急増、護身術講座が再開
<客室乗務員協会CWAの報告書によると、2021年前半、粗暴な乗客の対応を行ったと回答したCAは、85%だった> 上半期、乗客から暴言・暴力を受けたCAは85% 米国の航空業界では2021年、マスク着用の指示などをめぐって、乗客が客室乗務員(CA)に暴言を吐いたり暴行したりするといった事案が増加している。こうした傾向を受けて、コロナ禍で一時は中断されていたCA向けの護身術のクラスが再開されるに至っている。 米国で働くCAのための労働組合「客室乗務員協会CWA」(AFA)は、全国のCA5000人弱(勤務先の航空会社は30社に上る)を対象に、乗客による粗暴な振る舞いについて、今年6月25日~7月14日にオンライン調査を実施。このほど結果を発表した。 報告書によると、2021年前半、粗暴な乗客の対応を行ったと回答したCAは、85%だった。今年に入ってすでに5回以上行ったと答えたCAは58%に上り、身体的な暴行を受けたという人は17%いた。 乗客による粗暴な言動の引き金には、「マスク着用の規則」「飲酒」「安全の確認」「遅延」「欠航」などがあり、複数が絡み合うことが多いという。CAからの指示に腹を立てて、暴言を吐く、座席を押したり蹴ったりする、ごみをCAに投げつける、トイレを汚す、到着後に空港内まで怒鳴りながらついてくる、などが報告されている。 調査件数は昨年183件、今年はすでに682件 サウスウエスト航空では今年5月、女性客にシートベルトを締めるよう求めたCAが殴られた。米CBSニュースによると、このとき殴られたCAは、歯を2本失ったという。殴った女は、飛行機がサンディエゴ国際空港に着陸後に逮捕されている。 Video obtained by CBS News shows the moment a Southwest Airlines flight attendant was punched by a passenger after asking her to keep her seat belt fastened during a flight from Sacramento to San Diego Sunday. https://t.co/gQusevodYC pic.twitter.com/oOYvPdwCFj— CBS News (@CBSNews) May 27, 2021 一方6月には、ロサンゼルスからアトランタに向かっていたデルタ航空機内で、非番のCAが機内アナウンス設備を使って、酸素マスクを使用するよう乗客に指示を始めた。機体の扉を開けようとしたとの情報もある。止めようとした乗務中のCAや他の乗客とこの人物とでもみ合いになり、飛行機はオクラホマシティに緊急着陸した。 Someone tried hijacking our plane from LAX to ATL pic.twitter.com/fkPDPR60hu— AB (@alifuckingburns) June 12, 2021 ===== オクラホマシティの地元紙によると、デルタ航空側は当該人物が扉を開けようとした事実については否定しているが、機内で言い争いがあったことは認めている。地元紙は、この人物はオクラホマシティで警察当局に身柄を拘束されたと報じている。 こうした暴力案件が発生した場合、CAから連邦航空局(FAA)に報告がなされる。FAAが発表している数字によると、今年に入ってから8月8日までの報告数は3889件となっており、マスクに関連したものは2867件。FAAがそのうち実際に調査を行った件数は682件に上っている。1995年から2020年までで年間最多件数だったのは2004年の310件であり、すでに倍以上だ。なお、2020年は183件だった。 FAAは、乗客による粗暴で危険な行為には一切容赦しない「ゼロ・トレランス」の方針を掲げている。6月には、乗務員に暴力を振るった人物やマスク着用を拒否した人物など8人に対し、9000~2万2000ドル(約10万~240万円)の民事制裁金を要求している。 「死ぬ可能性もある。自分の身を守れ」 このような現状を受け、米運輸保安庁(TSA)は6月、CAやパイロットを対象とした護身術のトレーニングを7月に再開すると発表した。プログラムは以前も行われていたのだが、新型コロナウイルスの流行で一時中断されていた。 4時間のプログラムの内容は、指示に従わない乗客への対応術のほか、航空機という環境内で攻撃された場合に、どう身を守るかといった護身術などだ。旅客機や貨物機の乗組員が攻撃された場合に備えたもので、現役の連邦航空保安官がインストラクターとなる。 トレーニングを取材した米CNNによると、インストラクターはトレーニングを受けたCAらに対し、「死ぬ可能性もある。何としてでも自分の身を守らなくてはだめだ」と説明。「最後の手段」として、攻撃者の目を狙うテクニックなどを教えていたという。 米国内の航空会社の乗組員であれば、無料で参加できる。全米24カ所で実施しており、CNNによると、秋までに数百人が受講する予定だ。 ===== Cellphone video captures passenger punching Delta flight attendant at MIA
Source:Newsweek
【動画】マスク着用の指示などでCAへの暴力急増、護身術講座が再開