2023
08.01

知ってる?花火がキレイに見える場所や天気。ベストの状態で楽しむポイントとは?

国際ニュースまとめ

2023/07/31 05:00 ウェザーニュース

新型コロナウイルス感染症の影響で中止が相次いでいた各地の花火大会ですが、この夏は「4年ぶりの開催」を決めたところも多いようです。久しぶりの満天の花火、できればベストの状態で楽しみたいですね。

花火がキレイに見える場所や天気について、花火写真家の金武武(かねたけ・たけし)さんに伺いました。

鑑賞場所の風向きに要注意

花火大会の会場は海岸や河川敷など、広い範囲で設定されています。鑑賞の際は、どんなポイントを選んで場所の確保をすればいいでしょうか。

「まず、花火の打ち上げ場所に対して『風上』側を選んでください。花火の煙が風によって運ばれてきてしまうため、『風下』で観ていると、せっかくの花火が煙で隠れてしまう可能性があります。風上でしたら、その心配はまずありません。

最近の天気予報では、ピンポイントで風向きや風の強さが確認できるようになっています。現地へ出掛ける前に、どの方向が風上になるのか、アタリを付けておくのもいいでしょう」(金武さん)

風下しか確保できなかった場合はどうすればよいでしょうか。

「風下側でも、打ち上げ場所から斜め方向に離れた所であれば、煙が流れてくる可能性は低くなります。風上になるポイントが確保できなくとも花火は高く上がって大きいので、多少打ち上げ場所から離れていても、十分楽しめます」(金武さん)

ベストの距離は?

花火がいちばん美しく快適な状態で観られる距離は、打ち上げ場所からどれくらいになりますか。

「花火の楽しみ方には、それぞれ好みもあると思いますので一概にはいえませんが、一般的に尺玉(10号玉/直径・高さ約300m)が上がるような大きな花火大会の場合は、500〜600mぐらいが打ち上がりから花火の全体像が確認できるベストの距離といえます。

打ち上げ場所から1.5kmまでならキレイに観える範囲内で、10kmが花火を肉眼で楽しめる限界だと考えるといいでしょう。ただし、距離が離れると花火の広がりと音との間にタイムラグが生じて音が遅れて聞こえてきたり、打ち上がりからの全体像は見えにくくなります。

また最近の花火の中には、上空で広がってから美しく色が変化するものもありますが、こうした色の変化も距離が離れるほど、確認しづらくなります。

せっかく現地で花火大会を鑑賞するのに、“花火との一体感”が失われてしまいますので、離れ過ぎの位置取りは控えたほうがいいでしょう。

逆に近すぎると音が大きすぎて、とくに小さな子どもだとショックを受けてしまうことがあります。観る角度もほぼ真上になってしまいますので、首に負担がかかり、疲れや痛みの原因になる可能性もあります」(金武さん)

打ち上がりから600mの距離で見ると花火の全体像が見え美しい姿で観賞できる (C)K.Takeshi打ち上がりから600mの距離で見ると花火の全体像が見え美しい姿で観賞できる (C)K.Takeshi

最近は、密集などを避けるため、事前に打ち上げ場所や時間などを周知しない『サプライズ花火』が実施されることもあります。

「このような花火は4号玉(直径約130m・高さ約160m)ぐらいで、尺玉に比べて小さい花火が打ち上げられることが多いので、その場合は打ち上げ場所から300〜400mぐらいがベストの距離といえるでしょう」(金武さん)

障害物の確認も忘れずに

場所選びの際、距離と角度以外に注意したほうがいいポイントは。

「基本的なことですが、花火との間にビルなどの障害物がない場所を選ぶことです。初めての場所でもスマホの立体地図機能などを使えば、ある程度の確認は可能です。

もちろん現場での確認も、打ち上げが始まる前にしておくことは必須事項です。意外に見落としがちなのが、電線や街灯です。建物だけに気を取られず、電線や街灯の存在にも注意を払ってください。

また前方にいる人が妨げにならないよう、なるべく段差のあるところや斜面を選んで確保するのがいいでしょう。

花火大会によっては撮影用の三脚の持ち込みが可能なケースもあります。撮影をせずに花火を楽しみたいなら、開始前に人がいなくとも場所取り用の三脚が林立しているポイントは『カメラマンが集まる場所は花火が良く見える場所だ!』と思われて人がたくさん集まってくることがあります。

混雑を避けるには多少離れた場所を選びましょう。20~30m離れてたとしても花火はキレイに見えるはずです」(金武さん)

晴れて湿気がなく、ほどよい風が吹く天気が最適

天気は選べませんが、花火の鑑賞に最適な状況は。

「花火がよりキレイに観られる天候は、晴れて湿気が少なく乾燥した日で、風速が2〜5mぐらいのほどよい風が吹いているときとされています。

湿度が高い状況や無風状況だと、花火の煙が会場一帯にこもってしまって、花火が隠れてしまうことがあります。

また風速が6mを超えてくると、風で花火が横に流れてしまうリスクが高まるので、風が強すぎてもよくありません」(金武さん)

雨天や強風などで“行くか行かないか”迷ったり、花火大会そのものの中止が懸念されたりする状況もあります。

「花火大会は屋外の行事ですので、天候に左右されることは仕方がありませんが、開催されるかどうかについては、雨より風が重視されているのです。

地域によって多少の違いはあるようですが、東京都は花火大会の開催の可否について、『暴風警報が発令されているとき、または、地上風速7m以上の強風が10分間以上継続して吹くことによって安全な消費が行われないと判断されれば、煙火(花火)の消費を中断又は中止する』と定めています。

出掛ける前に天気予報を確認し、会場付近に風速7m以上の強風が長く続きそうであれば、中止の可能性が高いと判断してください。

雨の場合は意外と開催されることも多いのですが、『大雨警報もしくは洪水警報が発令されているとき、大雨注意報もしくは雷注意報が発令されており安全な消費が行われないおそれがあると認められるときは、煙火の消費を中断又は中止する』としています。

とくに河川敷で開催される花火大会は、現地に雨が降っていなくとも、上流部の降雨で川の水位の上昇が見込まれると、中止の判断が下される場合も少なくないので、主催者側のホームページなどをよく確認してください」(金武さん)

4年ぶりの開催ということで、メディアでも報道されているように大変な混雑となる会場も多いようです。また、東日本や西日本では夜になっても30℃を上回る暑さが続いています。熱中症にも注意して、無理をせず安全にお楽しみください。
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Source: HuffPost