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岸田文雄首相が、産休・育休中の人々のリスキリング（学び直し）を「後押しする」と国会で答弁した。赤ちゃんの育児中であっても学位取得などのスキルアップを優先するように受け止められたことから、「赤ちゃんを育てるのは、普通の仕事よりはるかに大変」「お前がまずやってから言ってみろ」などとSNSで反発が広がった。

これを受けて岸田首相が「私自身も3人の子どもの親」として、「本人が希望した場合にはしっかりと後押しできるという環境整備を強化していくことが重要だという趣旨」だと釈明する事態になった。

■産休・育休を取りやすくするために「学び直し」を

そもそもの発端は1月27日の参院本会議で、大家敏志議員（自民党）が岸田首相に質問したことだった。

その中で「子育てのための産休・育休がなぜ取りにくいのか。理由の一つが一定期間、仕事を休むことで昇進・昇給で同期から遅れを取ることだと言われてきました。しかし。この間にリスキリングによって一定のスキルを見つけたり学位を取ったりする方々を支援することができれば、子育てをしながらもキャリアの停滞を最低限に抑えたり、逆にキャリアップが可能になることが考えられます」と発言した。

その上で、産休・育休とリスキリングを結びつけて支援する企業を国が支えるというアイデアを提示した。

岸田首相は「リスキリングへの支援を抜本的に強化する中で、育児中などさまざまな状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々を後押ししてまいります」と回答。「ご提案を参考にしながら取り組みを進めてまいります」と検討していく考えを示した。

■「赤ちゃんを育てるのは、普通の仕事よりはるかに大変」著名人からも反発が広がる

この岸田首相の発言が報じられたことで、SNSでは反発する声が続出した。著名人のツイートをいくつか拾ってみよう。

サイボウズ株式会社の青野慶久社長は「赤ちゃんを育てるのは、普通の仕事よりはるかに大変。子育てをしてこなかった政治家が言いそうなことですね」と批判した。

作家の小野美由紀さんは「3時間おきに起こされ、片時も目が離せず、家事もままならない育児の間に『学び直し』できると思ってるのか。お前がまずやってから言ってみろ」と切り捨てた。

カリスマ保育士として知られる「てぃ先生」は、「『育休中の人って時間も余裕もたくさんあるよね』っていう前提がもうおかしいってことを国会議員は誰もわかってないのかな」と疑問を呈した。

■岸田首相「本人が希望した場合にはしっかりと後押しできるという環境整備を」と釈明

30日の衆院予算委ではこの発言について、鈴木貴子議員（自民党）から質問が出た。「正直、私の周りでも『育休・産休中にリスキリング、それ本気で言ってるの？』という反応が相次いだ」とした上で岸田首相に真意を尋ねた。

岸田首相は「私自身も3人の子どもの親です。その子育てというものが経済的、時間的、さらには精神的に大変だということは目の当たりにしましたし、経験も致しました。そうした中で、産休・育休時の大切さを承知している」と述べた。

その上で前回の発言の趣旨について、「リスキリングに関してライフステージのあらゆる場面において学び直しに取り組もうとする際に、本人が希望した場合にはしっかりと後押しできるという環境整備を強化していくことが重要だという趣旨で申し上げたわけであります」と釈明した。