05.31
ルカシェンコが今度は国内ニュースサイトの編集長を拘束
＜民間航空機を強制着陸させて反体制派ジャーナリストを拘束したことで世界から非難を浴びるなか、ベラルーシのルカシェンコ政権はまたニュースサイトの編集長を「過激主義」の疑いで拘束した＞ ルカシェンコ独裁政権による反政府活動家や独立系ジャーナリストの弾圧が激化しているベラルーシで、5月30日に著名なニュースサイトの編集長が「過激主義」の容疑で逮捕された。 AP通信によると、ベラルーシのニュースサイト「ホロドナ・ライフ（Hordna.life）」の編集長アリアクセイ・ショタが拘束されたのは、同サイトに「過激主義的であると十分に認められる情報」を記事として掲載した後のことだったと報じられている。 ホルドナ・ライフはベラルーシで5番目に大きな都市グロドノのニュースに焦点を当てたニュースサイト。ショタは以前、同国で最も人気のある大手独立系ニュースサイト「トゥト・バイ（Tut.by）」 と協力して仕事をしていた。トゥト・バイは、国中に広がったベラルーシの独裁的指導者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領に対する抗議行動の状況を報じたことで知られている。 ５月初め、ベラルーシ当局 はトゥト・バイの事務所を捜索し、少なくとも15人の従業員を逮捕、同サイトを閉鎖したとAPは伝えている。 エスカレートする弾圧 30日、ホロドナ・ライフはショタの拘束に関する最新情報をインターネットに投稿した。ショタはその日の朝、アパートを出たところを、白いミニバスに乗った数人の男に拘束されたという。逮捕後、警察はショタの家を家宅捜索した。 「仕事中だったショタの母親は、息子がレニンスキー地区警察署にいると告げられた。どの記事のせいで逮捕されたかは、教えてもらえなかった。現在、ショタのアパートは警察に捜索されている」と、ウェブサイトでは報告されている。 30日の時点では、ショタが正式に過激主義で起訴されたかどうかは明らかではなかった。万一、過激主義で有罪になれば最長10年の懲役刑になる可能性もある。 ショタの逮捕の前から、ジャーナリストや政府を批判する者に対するベラルーシ政府の弾圧は激化する一方だった。5月23日にはベラルーシ空軍の戦闘機がギリシャからリトアニアに向かう民間航空のライアンエアの旅客機を強制着陸させ、反体制派ジャーナリストのロマン・プロタセビッチ（26）を拘束するという事件が起き、状況はさらに緊迫化していた。 ===== プロタセビッチは独自の報道チャンネル「ネクスタ」を創設し、昨年の大統領選挙の不正を暴き、何千人もの活動家が参加した昨年の反ルカシェンコの抗議行動に多くの人を動員する重要な役割を果たした。プロタセビッチは、暴動を組織した容疑で当局によって起訴されており、懲役15年の実刑判決を受ける可能性がある。 プロタセビッチを拘束した翌日、当局は罪を自白しているように見える短い本人の映像を公開したが、観測筋はこの自白は強制された可能性が高いとみている。 民間航空機の強制着陸事件には、世界中から非難が殺到した。ライアンエアはベラルーシ政府の今回のやり方を「国家によるハイジャック」と批判した。EUはベラルーシの航空会社に対して、域内の空港での着陸を禁じ、EU各国の航空会社にベラルーシ領空を飛ばないよう要請した。 ジョー・バイデン大統領は28日、アメリカはこれまで緩和していたベラルーシ国営企業9社に対する制裁を復活させ、アメリカ人との取引を禁じると発表した。米国務省はまた、アメリカ国民にベラルーシの渡航を控えるよう勧告した。
Source：Newsweek
ルカシェンコが今度は国内ニュースサイトの編集長を拘束
