01.10
【韓国】 日本より良い暮らしの韓国、でも自殺率は高い。何が問題なのか?~パク・サンジュン早大国際学術院教授
経済学者は国家間の1人当りの所得を比較する時、購買力を基準とする。韓国人の所得が1000ドルで日本人の所得が1500ドルとし、日本の物価が韓国より1.5倍高ければ両者の購買力は同じだ。世界銀行が発表した2020年購買力基準1人当りの所得を見れば、韓国は4万2381ドル、日本は4万232ドルで韓国人の平均所得が日本人より5%ほど高い。すなわち、韓国人は日本人より5%程度多くの物とサービスを購買できる所得を得ているわけだ。
私が米国に留学した1992年には日本の1人当りの所得は韓国の二倍を越えていた。米国の大学にはお互いの言語と文化を習えとの趣旨で外国人留学生と米国人学生を組み合わせるプログラムがあり、日本人の友人にはすぐ連絡がきたが、私にはまったく連絡がなかった。韓国語も韓国人も人気がなかった時期だった。今は多分、日本人より韓国人の方が多く連絡があるだろう。いつかこのような日が来るとは、当時、想像もできなかった。
一方、韓国の自殺率が日本より高いのは事実かという質問もたびたび受ける。事実でないことを願って尋ねた質問だろうが、これも事実だ。日本の自殺率は失業率が高くなった1990年代末から2000年代初めに最悪を記録した後、2010年代中盤から明確に減り始めた。韓国の自殺率はグローバル金融危機で最悪になった後、少し落ち着いたが今でも経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最も高い数値を見せる。
2020年人口10万人当り日本の自殺率は16.7人なのに比べて韓国の自殺率は25.7人にもなる。日本より良い暮らしなのになぜ自殺率が高いのだろうか。何が問題なのか。科学的分析をしたわけではないが、相対的貧困と関連があるように見える。雇用率が低くなり企業倒産件数が増加する時、自殺率が上がるからだ。そしてその時は相対的貧困が激しくなる時でもある。
1992年の韓国人より2022年の韓国人は経済的にはるかに豊かだ。しかし相対的貧困は豊かな社会でも悪化することがある。他人の所得と資産は急速に増加するのに自分の所得と資産がそのままなら私たちはより大きな相対的貧困を経験する。コロナ事態で困難な中でも大企業職員は分厚い年末ボーナスを受けたという。職場を失ったり事業場を失った人々はより大きな挫折感を感じる様になるだろう。
経済的危機が過ぎ去るたびに所得と資産の格差が広がりながら今、韓国は非常に不公平な社会になっている。所得不平等を計測する多数の指標は韓国が日本より不公平な社会であることを見せてくれる。資産格差は所得格差よりさらに計測するのが難しく、国家間比較はほとんど不可能だ。しかし、過去数年間、不動産価格が比較的安定していた日本に比べて不動産価格が急騰した韓国で資産格差がさらに広がったと考えられる。
低い雇用率もやはり所得両極化の原因になる。職場を得られない人が貧困層に転落するためだ。韓国は70才以上を除いた全年齢帯で日本より雇用率が低い。そして皮肉にも70代雇用率が高いのは韓国の老年層が貧しいからだ。
韓国は老人貧困率と老人自殺率が特に高い国だ。所得と資産の両極化を解消するためには不動産価格が安定しなければならず、不動産をはじめとするすべての資産で発生する収益に正当な税金を決めなければならない。そして労働時間は減らし、働き口は増やして無職者を減らさなければならない。
自らの力で最小限の生計を維持できない脆弱階層に対する適切な支援もやはり私たちの社会が解決しなければならない課題だ。韓国より暮らしにくいが韓国より両極化は少ない日本で両極化を解消しようという動きが起きている。岸田文雄総理は所信表明演説で「協働と絆の精神」を強調して国民に協力を訴えた。
彼の演説を聞いて「協働と絆の精神」は私たち韓国の伝統ではないかと考えた。いつのまにか日本より暮らし安い国になった韓国、新年からは経済不平等もさらに改善されるよう祈る。
朴相俊(パク・サンジュン)客員論説委員・日本早稲田大国際学術院教授
ソース:東亜日報(韓国語)日本より良く暮らす韓国、何が問題であろうか?[東亜広場/パク・サンジュン]
https://www.donga.com/news/Opinion/article/all/20220107/111147338/1
Source:脱亜論
【韓国】 日本より良い暮らしの韓国、でも自殺率は高い。何が問題なのか?~パク・サンジュン早大国際学術院教授