11.22
ロシア軍が発射した弾道ミサイル、複数の弾頭を搭載していた可能性
ロシアがウクライナに向けてICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したと報じられているが、このミサイルには複数の弾頭が搭載されていたとの見方が出ている。
「複数独立標的型再突入体」の可能性
ウクライナ軍は11月21日、ロシア軍がアストラハン州からICBMを発射し、ウクライナ東部の要衝ドニプロの主要インフラなどを攻撃したと発表した。
ウクライナ軍は、このミサイルが射程6000kmの大陸間弾道ミサイル「ルベジ」であると主張。一方CNNは、西側の当局者の話として、中距離弾道ミサイルだった可能性が高いと報じた。
その後、ロシアのプーチン大統領はテレビ演説を行い、新しい実験的な弾道ミサイルの「オレシュニク(Oreshnik:ヘーゼル)」を使用したと認め、アメリカの中距離および短距離ミサイルの配備への対応だったと明らかにした。
CNNによれば、このミサイルは「複数独立標的型再突入体(MIRV)」と呼ばれ、それぞれの弾頭が特定の場所を標的にでき、1つの弾道ミサイルでより大規模な攻撃を行うことができるという。
またこのミサイルには核弾頭が搭載可能だが、21日の攻撃では核は搭載されておらず、代わりに通常兵器が使われたそうだ。
戦略国際問題研究所(CSIS)のミサイル防衛プロジェクトディレクター、トム・カラコ氏は、「MIRV」が戦闘で使用されたのはおそらく初めてだと述べている。
New video shows Russian ICBM strike against Dnipro this morning.
It’s the first time in human history that an ICBM has been used in a war.
Incredible footage pic.twitter.com/2xRLjqxGnj
— Visegrád 24 (@visegrad24) November 21, 2024
北朝鮮軍が関与したことへの対応
ロシアの弾道ミサイル発射は、アメリカがウクライナに対し、ロシア領内への「ATACMS」の使用を許可したことや、イギリス政府が長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」の使用を許可したことへの反応と考えられている。
一方、アメリカのバイデン大統領がロシア領内への「ATACMS」の使用を許可したことは、北朝鮮軍がこの紛争に関与したことへの対応だったと言われている。
それまでバイデン大統領は、ウクライナに対し、アメリカ製長距離ミサイルのロシア領内への使用を許可していなかった。
「ウクライナ支援に影響を及ぼさない」
ドニプロへの弾道ミサイル攻撃の後、ロシアのアンドレイ・ケリン駐英大使は、「ストームシャドー」がロシア国内の標的を攻撃するために使用されたため、イギリスは現在ウクライナ戦争に「直接関与」していると述べた。
その理由として、「ストームシャドーの運用は、NATOのスタッフ、そしてイギリスのスタッフなしにはできないからだ」と述べた。
一方、イギリスのスターマー首相の報道官は21日、ロシアの弾道ミサイル発射は「無謀な行動のもう一つの例」だとし、「ウクライナをいつまでも支持するという我々の決意を強めるだけだ」と述べたという。
またNATOの広報担当者も、ロシアが発射した実験的な中距離ミサイルは、戦争の行方にも、NATOのウクライナ支援にも影響を及ぼさないと述べている。(了)
出典元:The Guardian:Nato says new Russian missile won’t deter support for Ukraine – live updates(11/21)
Source: Switch News