2022
08.26

花王、タイでのデング熱予測モデル・予報システム構築の取り組みが経済産業省が推進する「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択

国際ニュースまとめ

 花王株式会社(社長・長谷部佳宏)が、タイ保健省疾病管理局(以下、DDC)、タイ国立電子コンピューター技術研究センター(以下、NECTEC)と共同で進める「タイ王国におけるデング熱予防のためのAI技術を活用した蚊媒介ウイルスの拡散予測モデルの構築と予報システムUXの向上を図る実証事業」が、このたび、経済産業省が推進し、日本貿易振興機構(ジェトロ)が事務局として実施する「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択されました。

 花王は、蚊から未来のいのちを守ることをめざす「GUARD OUR FUTURE」プロジェクトを推進しており、そのひとつのアクションとして、より早く、より正確に、デング熱発生を予測するモデル構築に取り組みます。デング熱の流行を防ぐためには、生活者ひとり一人が適切な予防行動をとることが重要です。将来的には、デング熱情報を提供するアプリを開発・運営するNECTECと連携し、生活者の予防行動を促し、デング熱の発生を未然に防ぐことに貢献していきます。

<「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」について>
 この事業は、令和3年度補正予算において措置された経済産業省から日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)への拠出金に基づき、ジェトロが事務局となり実施するものです。日本企業がASEAN 企業・機関と連携しデジタル技術等のイノベーションを駆使しながら製品・サービスの開発・運用・評価等を行なうことを通じて、ASEAN の経済・社会課題解決をめざす取り組みを支援します。
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220418002/20220418002.html
https://www.jetro.go.jp/services/asiadx/info-3.html

■採択された事業
「タイ王国におけるデング熱予防のためのAI技術を活用した蚊媒介ウイルスの拡散予測モデルの構築と予報システムUXの向上を図る実証事業」

■背景とこれまでの花王の取り組み
 デング熱は蚊が媒介する感染症で、タイでは年間5~15万人、中でも子どもが最も多く感染し、重症化すると死に至ることもあります。また、罹患すると治療やそれに伴う労働の機会損失、被害拡大を防ぐための対応など、経済への負担が大きいという観点からもASEAN地域共通の社会課題となっています。しかし現在は、デング熱の安全で有効なワクチン、治療薬がないため、感染を防ぐには蚊に刺されないことが重要で、そのための啓発活動が盛んに行なわれています。

 花王は、蚊に刺されることを防ぐ研究を進める中、2020年、肌上に低粘度のシリコーンオイルを塗布することで肌表面を蚊の嫌う物性に変化させ、蚊を肌にとどまらせず、吸血を阻害するという独自の蚊よけ技術を開発しました※1。この技術を応用した製品「ビオレガード モスブロックセラム」を2022年2月DDCに寄付し、同省と協働して8万個をタイ国内で配布、さらに同年6月からは、商品としてタイ国内での販売も開始しました※2。

 これを契機に、蚊から未来のいのちを守るグローバルプロジェクト「GUARD OUR FUTURE」を正式に発足。花王パーソナルヘルスケア研究所と花王インダストリアル(タイランド)が中心となり、DDC、NECTEC、タイ工業団地公社(IEAT)、アマタ・コーポレーション、マヒドール大学らとともに、デング熱に関する啓発活動や実証実験、研究活動などを包括的に推進しています。

※1 2020年12月9日 花王ニュースリリース 
 蚊の嫌う肌表面をつくり、蚊に刺されることを防ぐ技術を開発 ~蚊を媒介とする感染症から守る~ 
 https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2020/20201209-003/
※2 2022年6月15日 花王ニュースリリース 新発想の蚊よけ商品「ビオレガード モスブロックセラム」をタイで発売 蚊から未来のいのちを守る「#GUARD OUR FUTURE」プロジェクトを本格始動
 https://www.kao.com/jp/corporate/news/business-finance/2022/20220615-001/ 

■実施内容
 この事業では、デング熱流行を早期に予測するモデル構築のための実証研究を行ないます。具体的には、DDCの保有するデング熱罹患者情報と気候などの環境要因、蚊のデングウイルス伝播をあわせて機械学習による解析に取り組みます。この予測モデルを生活者の予防行動に役立ててもらうことをめざし、デング熱情報を発信するアプリを開発・運営するタイ科学技術庁傘下のNECTECと連携します。

■本事業のねらい
 本事業では、デング熱予測モデル構築、およびデング熱予報の提供を通じて、タイの生活者にデング熱のリスク増加を伝達し、予防行動を促すことにより、デング熱患者を減少させることをめざします。また、適切な予防行動の啓発を通じて蚊対策品の市場拡大に貢献し、デング熱によるASEAN地域の経済損失を回避することを目的とします。

■現地パートナー
  タイ保健省疾病管理局(DDC)
  タイ国立電子コンピューター技術研究センター(NECTEC) ※タイ科学技術庁傘下

※参考
蚊が媒介する感染症・デング熱の被害から未来のいのちを守る取り組み 

GUARD OUR FUTURE
https://www.kao.com/jp/corporate/news/stories/dengue/

 

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