06.08
「心がある」と感じられるロボットを作りたい。6本脚で歩くランプ、作者の思いが深かった【動画】
「歩くベッドサイドランプできた。これで夜中に起きちゃってトイレ行くときも怖くない」
そんな一言と共に6月5日、Twitterに投稿された23秒の動画が、大きな反響を呼んだ。
6本の脚がついた四角いランプがひょこひょこと動き、子どもと一緒に廊下を歩いたり、遊ぶかのような仕草を見せたり…いや、ひとりの子どもは怖がっているような?
動画は2日間で約500万回再生され、投稿には22万以上の「いいね」が寄せられた。「へこへこ歩くのがかわいい」「ほしい」という好意的な声もあれば、「夜中トイレに起きた時にコレいたら腰抜かす自信あるw」「よけい恐いわw」 と特徴的な姿に驚きを隠せない反応も。
投稿者のlaniusさんは2人の子供がいる父親で、これまでもおもちゃ箱や踏み台に脚をつけて動くようにするなどして注目を集めてきた。
「最終的には動いて人の役に立つ家具・家電があふれる便利で楽しい家で暮らしたい」という夢を抱くlaniusさんに、話を聞いた。
■「心がある」と感じられる人工物を作りたい
歩くベッドサイドランプできた。これで夜中に起きちゃってトイレ行くときも怖くない pic.twitter.com/JMr5dkCqtJ
— lanius (@lanius) June 5, 2022
普段はIT企業でエンジニアとして働いているというlaniusさん。「心がある」と感じられる人工物を作りたいと思い、最初はペットロボットなどを作って遊んでいたものの、毎回飽きて使わなくなってしまったそう。
なぜ使わなくなるのか。なぜロボットに心があると感じられないのか。もしかすると、「心があると感じるから使い続けられる」のではなく、「使い続けることで心があると感じられるようになる」のではーー。
そう仮説を立てたlaniusさんは、日常で使い続けられる人工物を作ろうと決意する。
「普段わたしたちの身の回りにある動かないモノが動いたら、便利なだけでなく賑やかで楽しいだろうなあ、そんなものがあふれる家で暮らしたいなあ、などと考えた」
これまでも子供が使う踏み台やおもちゃ箱に脚をつけ、Twitterに動画を投稿。いずれも大きな反響が寄せられた。
「脚のついたロボット」に特化している理由は、車輪と違って段差や障害物を回避でき、狭くて散らかった部屋でもうまく使えるから。また、「生き物感」があることも重要で、「愛着やその先にある『心』を感じやすいだろう」と考えたからだという。
■構造部分はオリジナルで設計、3Dプリントで作成
歩くおもちゃ箱つくった。これで少しはお片付けが楽しくなるかも? pic.twitter.com/Jy3egWEQ5c
— lanius (@lanius) November 24, 2021
今回ランプに脚を付けたのは、動くことで必要な場所に明かりを提供できることに加え、「暗い中を同伴して歩いてくれる頼もしいパートナーとして『安心感』に寄与できるのではないか」と考えたからだそう。
ランプは市販品を利用。脚はモーターやネジは市販のものを使っているが、モーター同士やモーターとランプを繋ぎ合わせたりする構造の部分はオリジナルのパーツを設計、3Dプリントしている。
ランプの下に小型のコンピューターが内蔵されており、ゲームのコントローラーとBluetoothで繋ぐことで指示を出せる仕組みだ。完成までは1週間ほど、費用はトータルで10~15万円程度かかったという。
長女には、歩くベッドサイドランプも好評。「かわいい」「楽しい」と言い触れ合っているが、次女はまだ驚いて動画のように逃げてしまうという。最初は「何を作っているのだ?」と疑問を抱いていたパートナーは、もう慣れてしまったそう。
■「待っていたところで誰も実現してくれないので、自分で具現化してしまおう」
踏み台に脚を生やした。踏み台ってほしいときに限って両手がふさがっていたりするし、準備も片付けもめんどうくさいので、必要なときにやってきてほしい pic.twitter.com/7KZsQO4UFd
— lanius (@lanius) July 24, 2021
時間もお金もかけて、製作を続けるモチベーションは何なのか。
laniusさんは「最終的には動いて人の役に立つ家具・家電があふれる便利で楽しい家で暮らしたい」とし、「待っていたところで誰も実現してくれないので、自分で具現化してしまおうという気持ちが主な原動力です」と語る。技術に関わる仕事柄、自己研鑽の意味もあるという。
Twitterでの大きな反響については「賛否含めていろいろなコメントをいただけるのが楽しい」とし、「この投稿を見たメーカーの方が需要を感じて開発・販売を検討してくれたら嬉しい」とPRする。
「近年は情報や道具にアクセスしやすくなっていて、思いついたことを実現するハードルがどんどん下がっているように感じます」というlaniusさん。ロボットと日常的に触れ合う子どもたちにも、「自分が『こうだったらいいのに』と感じたことに素直に向き合えるようになってほしいと思います」と話している。
Source: HuffPost