05.30
<維新とカネ>高木かおり参院議員が「文通費」を関連団体に寄付してマネロンか 「悪質で違法」と専門家
日本維新の会の高木かおり参議院議員が、文書通信交通滞在費滞在費(以下、「文通費」、現・調査研究広報滞在費。月100万円)を、自らが代表を務める政治資金管理団体「福保会」に寄付をした上で、その大部分をさらに政治団体「政佳会」に寄付をしていることが、政治資金収支報告書や使途報告書を分析した結果、判明した。高木議員はこれまでも政党交付金で借金を返済したり、人件費を二重計上したりするなど、カネをめぐる問題が度々浮上している。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆使途が法で限定された「文通費」を政治団体に繰入れ
日本維新の会が公開している「文通費」使途報告書(以下、使途報告書)によると、高木かおり参院議員は2020年に文通費を政治資金管理団体である「福保会」に414万5149円を繰り入れしている。
「福保会」の20年の支出総額は400万円。なんとその全てが「政佳会」への寄付だったのである。一般的な政治団体は事務所費や光熱水費などが計上されているがそうした支出は一切ない。事実上、高木かおり議員は「文通費」を「福保会」ではなく、「政佳会」に寄付をしていると言ってもよいだろう。
「文通費」は、その名の通り、文書通信交通滞在に関することに使途が法律で限られており、かつ「公の性質を有する」ものに限定された経費であるため、公的な活動ではない自身の政治活動の資金を管理する政治団体に繰り入れすることは法律で禁止されている。
「福保会」と「政佳会」は住所や代表者は異なるが、事務担当者は同一人物が務めているため、高木かおり議員の関係団体であることが推測できる。
高木議員に対し、「使途報告書では『福保会」に繰り入れをしていると書かれているが、結果的には『文通費』の繰り入れのほとんどは『政佳会」に行われたことになりますので、これは実質的には『福保会」に繰入したとの説明に矛盾する』のではないかと質問したところ、高木議員からは、「政治資金規正法に則り、適切に処理をしています」とだけ、短い回答があった。
◆維新の「使途公開してる」主張は欺瞞
高木議員はなぜ、資金管理団体「福保会」をトンネルさせて政治団体「政佳会」に寄付させたのだろうか、政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授に聞いた。
「日本維新の会は『文通費』の政党支部や資金管理団体への繰入を強行してきました。その本音は公金の違法な私物化でしょうが、表向きの理由は、政党支部や資金管理団体の政治資金の支出が公開されるので、結果的に繰入した『文通費』の使途も公開されるというものです。
しかし、政治資金については、『人件費』は総額さえ記載すればよく、明細まで記載する義務はありません。この点は国会議員の政党支部や資金管理団体などの『国会議員関係政治団体』も同じで、使途の明細は不明です。
ですから、本当に『文通費』の使途を公表したいのであれば、資金管理団体等に繰入せずに、すべての使途について明細まで報告し、使い切らなかった残金は繰り越せばよいのです」
上脇教授は、日本維新の会が表向きには「身を切る改革」を標榜しながら、制度をずるい手で活用して使途を隠してきた実態を指摘した。
◆高木議員の悪質性
その上で高木議員の悪質性についても、上脇教授は言及する。
「高木議員の場合はさらに悪質で、『政佳会』は『国会議員関係政治団体』ではなく、『その他の政治団体』なので、支出の透明度は一番低く、“経常経費”は明細まで記載する義務がありませんし、“政治活動費”は5万円以上の支出しか明細を記載する義務はありません。つまり、『文通費』の使途を公表したくないという本音があるから『政佳会』に全額横流しの寄附をしているのでしょう。この一種のマネーロンダリングを日本維新の会は黙認しているわけです」
調べてみると、「政佳会」の20年総支出額が約420万円と記載されているが、明細が明らかになっている支出は「講習受講代」の30万8千円だけである。420万円の支出の内、8%弱しか支出先が分からないということだ。逆に言えば、9割以上の使途が分からないということ。これでは使途を公開しているとはとても言えない。
高木かおり議員は、自民党所属の堺市議を務めた後、任期の途中で堺市議を辞職した。それまでいわゆる「大阪都構想」に反対していた自民党を離党し、「大阪都構想」に賛成していた日本維新の会から2016年の参議院議員選挙に立候補し当選した。
「文通費」をマネーロンダリングして何に使っているか分からなくする手法が「身を切る改革」と言えるのだろうか。このようにマネーロンダリングをしている日本維新の会が主導している「文通費改革」なるものは、抜け穴が大きくなる方向に進んでいるのではないかと危惧せざるを得ない。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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Source: アジアプレス・ネットワーク