12.02
タイの弁護士が解説!「ネットでの誹謗中傷被害で相手を特定し、賠償請求」
意識が高まる日本と、以前と変わらぬタイの日本人の現実
インターネットで便利になった私たちの生活。その一方、人々を傷つけるSNSなどでの誹謗中傷が大きな社会問題になっています。日本では、心無い書き込みや事実無根の書き込みをして個人や企業に被害を与えた人物が特定され、警察処罰が行われるなどのニュースも度々報じられることで、人々の意識も高まっているようです。
しかし、タイからの書き込みについてはどうでしょう?タイからだから特定されないと思っているのか、被害者が行動を起こすことがないと思っているのか、未だに誹謗中傷を書く日本人が絶えないのが現実です。実際、本サイトのコメント欄にも、見るに堪えない投稿が行われることもしばしば・・・。
例えば・・・
・田中さん(仮名)はバンコクでレストラン経営、ある事ない事店の悪口をネットで書かれ売り上げ減少した・・・
・高橋さん(仮名)はバンコクで現地採用で働いていますが、自分の過去の行動に関して事実無根のことをネットで書かれくびになった・・・
・YouTuberの佐藤さん(仮名)は個人的中傷で心理的に悩み苦しんでいる・・・
タイでこのような悩みを抱えている人は、少なくないのかもしれません。
「タイ警察は動く!」~タイの弁護士に聞く、ネットで誹謗中傷被害への対応
一体、誹謗中傷の書き込み人をたちに責任を取らせる方法はないのでしょうか?専門家の方々に意見を聞くことが出来たので以下お伝えいたします。
今回、アドバイスを貰ったのはバンコク・ラチャダーピセーク通りのRSタワーにオフィスを構える『タイ在住支援法律事務所』。10人の様々なジャンルを専門とする弁護士たちが集まる心強い相談相手です。今回、協力頂いたのはサイバー事件の裁判に強い2人の先生(プラニンタン・プーアンポー弁護士、クリッタヤ・ナンターン弁護士)です。
--誹謗中傷を受けた個人又は企業の方が相手の IP アドレスを開示させるのは可能でしょうか?
可能です。加害者の IP アドレス開示請求については、一部の人のみが知り得る情報が匿名掲示板などに書き込まれた場合や、ネット中傷の犯人に対して法的対応をしたい場合、最初に行う事としては、当事務所の調査部門において、まず、誹謗中傷が行われたサイトの管理国を確認し、サイト管理者が外国の場合は、当事務所と連携する海外の調査機関の協力を得る場合もあれば、弁護士がサイト管理者を通して加害者の IP アドレス開示請求をし、投稿者の特定を行ったりもします。
調査結果において、加害者が、タイのプロバイダーまたは電話会社を使用している場合は、タイの法律を適応できますが、解決を図るにはその加害者がタイに滞在していることが重要要素となります。
--その誹謗中傷についてタイ現地警察は動いてくれますでしょうか?
加害者の行為が、タイのプロバイダーを経由しているインターネットでの誹謗中傷は、証拠を揃えた上、訴え状に詳細を記して提出すればタイ現地警察が動いてくれます。刑事責任の追及では、記載された誹謗中傷内容が、被害者にとって事実か事実ではないかに関わらず、誹謗中傷内容に応じ、主に「侮辱罪」などの事件扱いになることが多いです。特に悪質な名誉毀損、著作権侵害、脅迫等の事件の告訴も考えられます。
--そこから受けた損害賠償や訴訟費用などを相手側に払わせることは可能でしょうか?
中傷書込みが原因で損失が出た場合の損害賠償請求や慰謝料は、刑事事案とは別に民事事案として、その被害の度合いや損害額に準じて求めることが出来ます。これにも、第三者が確認した際に納得できる証拠や因果関係の説明が必要になります。
タイ警察への訴えが受理された事件や刑事裁判の告訴を行った事件のケースでは、加害者側が、被害者に対し示談金(損害賠償や慰謝料)を支払う代わりに、刑事告訴の取り下げを行って欲しいと提案してくることが殆どです。示談金の中には、被害者が削除請求や投稿者の情報開示の調査費用、解決までに掛かったそれまで出費を加害者が支払うことを条件として示談で解決することもあります。
基本的に、相手に訴訟費用は求められませんので、訴え状や裁判所に提出する訴状には、その請求の記載はできません。しかし、刑事においても民事においても、あくまでも協議や示談交渉において、訴訟費用を加害者に求めることができ、それが裁判判決で認められ、確定判決文に反映することはあります。
--費用はどのくらいかかるものなのでしょうか?
当事務所の場合、初回の相談料は「0バーツ」となります。守秘義務を厳守してご相談内容を確認させていただき、内容に応じて、削除の可能性や概算の費用等をお伝えします。
一応、概算で料金をお伝えすると、以下になります。
[削除依頼]
FacebookなどのSNS、ネット掲示板などの書き込みや、ブログ記事、画像の削除を依頼する場合、1 つのサイトにつき 2~6 万バーツあたりが相場となります。
しかし、その費用は、依頼する内容や削除の難易度でも変わることはもちろんです が、サイトによっては、削除依頼の方法が指定されていることがあります。ブログサイトなどは細かい規定を公開していることもありますので、基本的にはその規定に沿った方法を選択します。また、サイト内に問い合わせフォームなどが無い場合などには、管理者に直接削除依頼ができない場合もあります。
その場合は、ブログ等の運営会社に対し「送信防止措置依頼」という手続きを取り、削除を依頼することもあります。この方法を選択しなければいけない場合は、海を越えた手続きが発生することも多く、更に複雑となるために通常の削除依頼の場合より費用が高額となります。また、個人で管理しているサイトの場合では、管理会社が無い場合もあります。そのような場合でも対応できるケースもあります。その他、削除依頼の対象が複数人や掲載件数が多い場合でもご相談にのれます。
[警察事案]
警察→検察(起訴・不起訴)→起訴する場合は、原告は検察
刑事で追及できるネット誹謗中傷については、いずれも、タイの法律では、消滅時効は3ヵ月と短いものが殆どのため、早急に加害者の情報を入手して、被害届の提出や告訴準備をする必要があります。
被害内容の取りまとめとその証拠書面を揃えます。有力な証拠は、タイ警察が事件の全容を理解できるようにすべてタイ語への翻訳を施す必要があります。弁護士が作成した警察への訴え状と合わせて管轄の警察署へ提出します。加害者情報が分かっている場合は、タイ警察の段階で早期に解決できるケースも多いです。
タイ警察の捜査官が情報開示命令を送り、サイバー犯罪捜査局(CCIB:Cyber Crime. Investigation Bureau)からの情報を得ながら捜査を進めることもありす。同局は電子データのハッキングから、IP アドレスや使用している IT 機器などの契約会社(電話会社やWifi 契約)や契約者名など、多数の項目を捜査しています。また、事件内容に応じては、直接、サイバー犯罪捜査局( CCIB:Cyber Crime. Investigation Bureau)へ訴えるケースもあります。
警察事案場合は、少なくとも3万バーツ~着手金及び弁護士活動には、交通費の他、翻訳や通訳などの実費・日当も発生します。
[仮処分申立・刑事裁判]
削除依頼する際、裁判所への仮処分申立など法的手段を取ることがあります。また、証拠が十分に揃っている場合は、被害者は、警察から検察を通して起訴を求める方法だけでなく、直接、弁護士を通して加害者を刑事裁判所に起訴することも可能です。この点は、タイと日本の法律やシステムと違うところでもあります。刑事裁判所が訴えを受理した後、ほとんどのケースで、加害者は損害賠償額や慰謝料を支払う代わりに刑事事件の取り下げを要求してきます。
裁判で解決する場合は、少なくとも12万バーツ~着手金及び裁判所での弁護士活動には交通費や、証拠書面の翻訳料や法廷通訳などの実費・日当も発生します。そして、最終的に申立が認められた場合、報酬金も発生しますので、トータルの費用として25~30万バーツ程かかることもあります。
上記のような法的手続きを取る場合は、通常の削除請求の場合と比べて、手続きが複雑になり、弁護士の活動量が多くなることから、費用が高くなってしまう傾向がありますし、解決までの時間も要します。どこまでの時間と費用をかけて行うのかの費用対効果については、よく考慮し検討する必要があります。
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皆さん、いかがでしたでしょうか?さすが専門家の方々のご意見ですね!結論として、「泣き寝入りをしなくても良い」という事。なお本サイトのコメント欄に誹謗中傷が書かれた場合、弁護士の方、またはご本人からご連絡をいただければ、比較的スムーズに発信者情報(IPアドレスなど)の提供ができるかと思います。
今回の記事が、SNSなどの誹謗中傷で困っている方々の一助になれば幸いです。
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協力:タイ在住支援法律事務所
住所:RS Tower 16 Floor. 121/58 Ratchadapisek Rd, Din Daeng Din Daeng Bangkok 10400
電話:091-068-8203
ウェブ:https://www.thaizaijyuu-law.com/
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