07.05
無印良品が「わけあり品」やリユース品を売る理由。奈良にオープンした世界最大店舗の“ReMUJI”で目指す、新しい「循環の形」
無印良品が10年間続けてきた、「ReMUJI」という活動を知っていますか?
着られなくなった服を回収し、染め直しやリメイクなどをした上で販売する、リユースの活動です。
今年3月には奈良県橿原市にある世界最大の無印店舗に、新しい形の「ReMUJI」をオープン。
この店舗では、これまでの衣類の循環だけでなく、その他の生活雑貨や家具などの循環にも取り組み、わけあり品なども販売します。
良品計画がReMUJIで目指す、「資源循環の形」とは。良品計画の循環推進部・部長、本釜真由美さんに話を聞きました。
「無印良品 イオンモール橿原店」のReMUJI【あわせて読みたい】奈良にある世界最大の無印良品店舗にできた、新しい形の「ReMUJI」って?実際に行ってみたら、驚きの連続だった
10年続く「ReMUJI」。服を次の人に繋げる「循環」
──「ReMUJI」について、そしてスタートした背景について教えてください。
捨てられる服が多すぎるという問題に着目し、2010年から無印良品の服の回収をスタートし、エネルギーに変える取り組みを当時は他社との協業で始めました。
捨てられる服を燃やさずにエネルギーに変えていくという取り組みを社会実験的に各社がやり始めていた時期でした。
実際に服の回収を始めると、状態が良くてまだすごくきれいな服がたくさんあったんです。
「これはこのままエネルギーにするのはもったいない」と、染め直しなどをして販売するReMUJIの取り組みが2015年、福岡県の店舗からスタートしました。
昔から日本では、汚れた服を染めたり、破れたものも直したりして長く使うという文化がありました。そのような、資源を大切にする文化にインスパイアされた形です。
(衣類のリユース・リサイクルのReMUJI)ReMUJIが始まって10年経ち、全国34店舗に広がっています。無印良品のコアのファンの方々を中心に、リピーターとして買い続けてくださっている方も多いようです。
ReMUJIで回収した服の中で、綺麗に洗えば再び着られる服は「洗いなおした服」として販売し、少し汚れや着色がついている服は「染めなおした服」に。穴が空いてしまっている服などは、その部分をカットして、同じように他の箇所に穴が空いている違う服をくっつけて「つながる服」にするというように、一点一点見極めて、その服の価値を落とさないように繋げていくことを心がけています。
無印良品というブランドの、ものづくりの原点を受け継ぐような活動だと思います。資源を無駄なく使い、簡素なことが美しいという考え方を掲げてきた無印の世界観やブランドが目指す方向性に、お客様にも共鳴いただいているのではないかと思います。
また、最近では海外からのインバウンド旅行客の方々にも興味を示していただいているようです。外国人観光客が多い、「無印良品 新宿靖国通り」や「無印良品 銀座」でもReMUJIを実施していて、私も店舗応援に行くと海外の方から取り組みについて聞かれることもありました。
海外の無印良品では、香港やEU、アメリカでReMUJIを展開しています。
染めなおした服。シャツは柿や菊の残さを染料の一部に活用した店舗限定カラー。──回収したシャツなどを繋ぎ合わせた「つながる服」が大人気だそうですね。
とても人気の商品で、シャツを中心に販売していますが、「無印良品 イオンモール橿原」では新商品として、チノパンツなどの端材をつなぎ合わせて作った、ジャケットのカバーオールも発売しました。
やはりお客さんの期待値の一つとして「可愛い」や「かっこいい」というものがあります。サスティナビリティだけでは服は売れないと思います。服に求める、可愛さやかっこよさという側面と、サスティナブルで資源循環型という側面を併せ持っているからこそ、支持されているのではないかと考えています。
組み合わせによって「唯一無二」な一着です。自分の好きな色や柄の組み合わせやデザインを選ぶ楽しさもあるのではないかと思います。
ただ人気な一方で、実は「つながる服」が回収した服で作られている点が伝わっていないことも多いのではないかと感じています。
(つながる服)──ReMUJIの活動を広く伝えることに難しさを感じますか。
やはりReMUJIを10年続けていても、ReMUJIという言葉を知らない方も多くいると思います。全国34店舗に広がっているとはいえ、限られた店舗での展開なこともあり、まずはReMUJIについて多くの方に知っていただきたいです。
「かっこいいから売れている」というだけではなく、背景についても知ってほしいという思いがあります。資源循環でやるからには、資源としての価値を落とさないように循環させたいと考えています。
──ReMUJIのお客さんを含め、社会では循環への関心が高まっていると感じますか。
循環への意識はすごく高まっていると感じます。日本は元々、飲料ペットボトルや食品トレイの回収やリサイクルも進んでいて、飲料ペットボトルの回収も海外と比較すると非常に高いです。
意識していなくても、循環に参加するということ自体が根付いているので、服や物の回収や循環にもどう繋げていけるかというところだと思います。
ヨーロッパなどでは、一つの物を長く使う暮らし方の方が「かっこいい」という意識があると思います。日本でも少しずつそうなっていると思いますが、さらにその動きが加速するのではないでしょうか。
奈良・橿原でつくる、「新しいReMUJI」の形
(イオンモール橿原店にあるリユース品の販売コーナー)──これまでの衣類の循環活動から範囲を広げ、イオンモール橿原店では、衣類以外のリユース品の回収と販売、そして「わけあり品」や古家具、古本の販売と、新しいReMUJIの取り組みをスタートされました。その背景は。
橿原という場所が、奈良だけではなく大阪、三重、和歌山、京都など広域の商圏をカバーする土地だということもあり、その土地の特徴を活かして、会社としても力を入れていきたい「循環」について何かできないかと話し合いました。
お店はオープンしましたが、循環というのは回収などの面でもお客さんを巻き込んでいかなければいけない活動です。そのような活動を地域の皆さんと進めていく下準備ができた段階なので、まだ作り上げていっている「途中」。勝負はこれからだと捉えています。
地域での循環を実現するには、地域の方が一緒に行動してくださることが重要です。地域と共に循環を進めていきたいという思いは強くあります。
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──取り組みの内容はどのように決められたのでしょうか。注力していきたい取り組みについても教えてください。
橿原の店舗のメンバーと循環推進部で、どのような循環に取り組んでいくかを話し合いました。
力を入れていきたいポイントは「回収したものをリユースして次に繋げていく」という流れをつくることです。
リユース品の販売は、回収がないと成り立ちません。住環境などが変わって、まだ使えるのに手放さないといけなくなったものなどがあれば、店舗に持っていただき、それを次に使いたいという方に繋げていくという場になればと思います。
橿原の店舗では、現在他の店舗では回収していない生活雑貨なども回収しています。そういう意味では社会実験的で、本当の意味で地域の中で循環させていこうというチャレンジです。
(店舗内に並ぶ回収ボックス)地域の中で循環させていくのも大切です。もし奈良で集めて東京で販売するとなると、運搬にエネルギーも使いますので、地域内で循環させることに意味があります。
「わけあり品」の販売もしていますが、無印は以前から、わけのある商品を売っていました。例えば、「不揃いバウム」や「割れ椎茸」などもそうです。不揃いだったり、割れたりしていても味は一緒なので、有効活用してお客様に買っていただくことで次に繋げていくという意味では、循環の一部だと思っています。
古家具の販売などは、無印良品の商品ではない、国内外で使われていた古い家具や家屋等の廃材から作られた家具を修理し、販売しています。
古い家具や廃材も、手を加えることで別の方に長く使っていただけます。そうやって資源を次に繋げていくことが大切だと考えています。
(わけあり品のコーナー)変わりゆく世の中と「循環」の流れ。持続可能なビジネスの形をつくるために
──今後の展望について教えてください。全国に橿原の取り組みを広げていく予定はありますか。
現在はほぼ全店舗で衣類とスキンケアのボトルの回収をし、小さな店舗を除く店舗では、ポリプロピレン等のプラスチックの収納商品の回収もしています。
それ以外の商品の回収も実施しているのが橿原の店舗の特徴ですので、ここでの取り組みの進捗を見て、少しずつ各地にも広げていければと思います。
回収して活用できなければゴミになってしまうので、きちんと回収したものが次の方に繋がりリユースされることが大切です。リユースできないものはリサイクルするなど、きちんと「出口」を作って循環させ、そして持続可能なビジネスの形をつくっていくことが必要だと思います。
今、社会で循環に対する流れが大きく動いています。正解があるわけではないですし、世の中はどんどん変わっていくので、常にアップデートし続け、世の中の流れを見ながら最適解を探っていきたいです。
コミュニケーションを取り、発信を続けながら、橿原での取り組みが成功したら、それを徐々に広げて、この活動に共感し、参加していただけるお客様を1人でも多く増やし、社会により良いインパクトを作り出すことができればよいなと考えています。
(取材・文=冨田すみれ子)
Source: HuffPost




