01.16
バイデン大統領「少数独裁が社会を脅かす」と退任演説で警告。トランプ政権に言及か
アメリカのジョー・バイデン大統領は1月15日、ホワイトハウスの執務室で大統領として最後の演説を行った。
【動画】「少数独裁が社会を脅かす」と17分に及ぶ最後の演説で警告するバイデン大統領
バイデン氏が約17分の演説で懸念を示したのは、権力と富の集中が、社会に及ぼす悪影響だ。
「この退任演説で、少数の超富裕層に危険なまでに権力が集中し、その権力乱用が放置され、危機的な結果を招いていることについて警告したい」と述べた。
「アメリカではオリガルヒ(少数独裁)が生まれつつあり、私たちの民主主義、基本的権利や自由、成功するための公平な機会を脅かしています。影響はアメリカ全体に及んでいます」
バイデン氏の警告は、富裕層を数多く起用するトランプ次期政権について言及したものと思われる。
1月20日にスタートする第2次トランプ政権では、少なくとも13人の億万長者が政府の役職に就く予定だ。その中には、テスラCEOのイーロン・マスク氏のような大きな影響力を持つ人物もいる。
また、20日の就任式ではマスク氏に加えて、ジェフ・ベゾス氏とマーク・ザッカーバーグ氏も最前列に座る予定だと報じられている。
バイデン氏は、アイゼンハワー大統領が1961年の退任演説で「軍産複合体(軍事部門と兵器産業が結びつき政策に影響を与える関係)」を警告したことに触れ、60年経った今は「テック産業複合体」がアメリカを脅かしかねない存在になっていると警鐘を鳴らした。
「アメリカは、権力の乱用を可能にする誤情報や偽情報の雪崩に埋もれつつあります。報道の自由は崩壊し、編集者は姿を消し、ソーシャルメディアはファクトチェックを放棄しています」
「権力や利益のための嘘によって、真実が覆い隠されています。。権力の乱用から、子どもたちや家族、民主主義を守るために、私たちはソーシャルプラットフォームの責任を問わなければなりません」
バイデン氏は人工知能について「現代で最も重要な技術」と可能性を評価しつつも、リスクが伴うと指摘した。
「人工知能はがんを根絶するための助けとなる可能性もあります。しかし、もし安全対策が取られなければ、私たちの権利や生活、プライバシー、働き方、そして国防にとって新たな脅威になるかもしれません。私たちは、人工知能を安全で信頼でき、全人類にとって有益なものにしなければなりません」
バイデン氏の現在の支持率は、自身の過去最悪の水準に近い。CNNの最新の世論調査によると、バイデン政権を支持すると答えたのは36%だった
バイデン氏は2期目の当選を目指していたが、2024年7月に大統領選挙から撤退を表明した。後任にカマラ・ハリス副大統領を推薦したが、選挙活動期間は3カ月半しか残されておらず、ハリス氏は11月の大統領選挙でトランプ氏に敗北した。
民主党内からは、バイデン氏の撤退時期について遅すぎたという批判も起きている。
それでも、バイデン政権はインフラや環境への投資、数百万の雇用の創出など、将来高く評価される可能性のある実績も残した。
バイデン氏は退任演説で、「私たちがともに成し遂げたことの効果すべてを実感するには時間がかかります。しかし、私たちが蒔いた種は、今後数十年にわたって成長し、花を咲かせるでしょう」と述べ、アメリカ国民への感謝を示した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。
Source: HuffPost