2024
11.29

<北朝鮮超望遠レンズ撮影>朔州(1) 廃墟のようなボロボロの工場が一新 偽装かリニューアルか? 兵士たちはブロック背負い重い足取り(写真9枚)

国際ニュースまとめ

中国の遊覧船に向かって手を振る自転車に相乗りした男女。明るい笑顔だ。男性の胸には肖像バッジがついている。

朝中国境を分かつ鴨緑江には、北朝鮮と中国が共同運営する複数の水力発電所がある。その内、最大の規模を誇るのが水豊ダムだ。日本の植民地時代に建設され、1940年代当時は、東洋最大規模であった。水豊ダムの下流一帯は景勝地としても名高く、遊覧船に乗りながら対岸の平安北道(ピョンアンブクト)朔州(サクジュ)郡を近くで見渡すことができる。10月中旬、中国側から超望遠レンズで撮影した。(洪麻里)

◆ボロボロの廃墟だった工場をリニューアル?

山間に位置する朔州には、慈江道ほどの規模ではないが軍需関連の工場が多い。大きな軍靴製造工場があることでも知られている。

 

川沿いには山が連なり、集落はあまり見えない。川沿いには脱北防止用の有刺鉄線が張られ、哨所(警備の詰所)の数が多い。

一般的に北朝鮮では、衛星からの確認を難しくするため、軍需工場は山間地や地下に作られることが多い。しかし、朔州では鴨緑江沿いに立つ青水(チョンス)化学工場を中国側から見ることができる。日本の植民地時代に建設された工場で、化学兵器の原料を生産していると言われてきた。

青水化学工場は、90年代末から長らく廃墟のような無残な姿をさらしていた。ボロボロのまま放置されていた工場は、2019年頃から少しずつ改修の様子が見られるようになっていた。2021年には、屋根の一部が緑色に塗られ、煙突からは煙も出ていた。

2021年に撮影した青水化学工場の建物の一部。長く廃墟のようになっていた。

今年10月中旬に取材チームが訪れたところ、外壁はきれいに塗装されていた。煙も出ていて、何を生産しているかは不明だが、稼働はしているようだった。

外装がきれいに塗り直された青水化学工場。

◆有刺鉄線の外側でも水害復旧作業

7月末に北朝鮮北部地域を襲った集中豪雨で、鴨緑江下流に位置する朔州も被害を被った。他地域同様に、ここでも兵士たちが復旧作業にあたる姿が確認できた。

曇天下に小さな照明を灯して、国境警備隊の兵士たちが作業している。右端は監督役の将校と見られる。地面では砂や水を混ぜてコンクリートを作っているようだ。洪水で倒れた有刺鉄線の支柱が手前に転がっている。

おそらく兵営を建てているのだろう。その建設現場から数百メートルほど離れた場所では、兵士たちが一か所に資材を集めていた。ブロックを背中にそのまま、もしくは背負子に背負い、前かがみになって重い歩みを進めているのが見えた。

ブロック2つを直に背負って運ぶ兵士。


資材の集積所に到着すると、兵士たちは体を傾けて落とすようにブロックを地面に下ろしていた。ブロックの無造作な扱いや形状から、水害で被害を受けた建物のブロックを集めて再利用しようとしているものと思われる。

背負ったブロックを乱暴に地面に下ろす。水害で破壊された建物のブロックを再利用しているようだ。

水豊ダムのすぐ下流では、中国への越境や脱北を防ぐために張り巡らされた有刺鉄線の外側でも水害復旧作業をする国境警備隊の姿があった。水害で崩れた堤防の補修をしているようだった。

鉄条網の外側で作業を終えて戻る国境警備隊の兵士たち。堤防が崩れているのが分かる。

この日の作業を終えたのか、日が落ち始めた午後4時頃、兵士たちは鉄条網の内外を分ける鉄製の門をくぐって内側へ戻っていった。銃を携行した兵士2名が人員確認にあたっており、鉄条網の外に出ることを厳格に管理していることが分かる。

冬服がまだ支給されていないのか、半袖やタンクトップの白シャツの作業着を着ている。作業を終えると、鉄条網の内側へ戻っていった。
北朝鮮地図 製作アジアプレス

※写真はすべて平安北道朔州群。202410月、中国側から撮影アジアプレス(2021年撮影の青水化学工場を除く)

 

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Source: アジアプレス・ネットワーク