2024
09.03

若手社会人が明かす“転職の本音”。企業の選び方は「スキル・経験獲得」⇒「ライフスタイル重視」に?【U30座談会】

国際ニュースまとめ

近年、多くの日本企業において、若手社員の早期離職が課題となっています。

終身雇用制度が揺らぐ中、若手ビジネスパーソンのキャリア自律意識は高まり、入社3年以内の転職や独立も珍しくありません。

働き方や雇用をめぐる環境が変わる今、企業で働く20代の若手社員は、何を軸に職場を選び、何を見据えて働き、転職を考えているのでしょうか。

ハフポスト日本版では「U30のキャリア」をテーマに座談会を開催しました。

2020〜23年卒の異なる経歴を持つ5人の若手社会人に、就職活動や転職活動、今後のキャリアプランについて聞きました。

座談会から見えてきた、企業選びの決め手、そして新卒で選んだ会社を離れる理由とは……。

▽座談会参加者

Fさん 広告系企業、女性
Nさん ソーシャルサービス系企業、女性
Mさん 広告系企業⇨人材系企業、女性
Rさん メーカー⇨コンサルティング企業、男性
Yさん 金融系企業、男性

新卒で選んだ会社、何を重視した?

─── まず初めに、新卒で入社した会社の「決め手」となったものはなんですか?

Yさん:学生時代の各国でのボランティア経験から「とにかく海外で働きたい」と思っていて、海外勤務のある総合商社、金融、外務省の三つの業種を考えていました。

10年くらいのキャリアプランで考えたら他職種も選択肢に入ったと思いますが、次のキャリアを考えたら、なるべく早く海外赴任できる職種がいいなと。最終的に、元々興味のあった金融に絞り、先に内定した今の会社を選びました。

Fさん:私は漠然と「広告業界かメディアで働きたいな」と考えていました。

勤め先と出合ったのは大学の企業説明会で、人事の方のお話を聞く機会があったんです。正直、就活に全く身が入らない状態で参加していましたが、その方の話を聞いて「なんかバイブスが合いそう」と選択しました(笑)。

Mさん:学生時代の飲食店でのアルバイトを通して、何かを売ることにやりがいを感じていたので、「営業職に就きたいな」と思い選びました。

休学して周囲よりも働き始めるタイミングが遅かったので、企業選びで一番重視していたのは「スピード感を持ってボリュームをこなせるか」でした。最終面接で社長に会って話したときは、Fさんと同じく「バイブスが合うか」も確認しました。

Nさん:バイブスですか!

私は直感的な部分はあまりないのですが、「好きなことを仕事にしたい」という点ではおふたりと共通しています。学生時代には、障がいのある子の活動を支援するアルバイトをしていました。

就職にあたっては「他の形で社会の役に立つ仕事にも挑戦してみたいな」と思い、ソーシャルサービスなどを展開する会社を選びました。全国に拠点があって色々な部署がある会社なので、幅広い仕事に挑戦できそうだと思ったことも理由です。

Rさん:僕は「ここに勤めています」と誇りに思えるかどうかを大切にしました。事業規模、スキャンダルの有無、そして社会貢献の度合いはかなり意識しましたね。社員を大切にしていて、さらに「社会貢献になってお金にもなる事業をしようよ」というカルチャーに魅力を感じました。

─── 勤め先を選ぶ際に、社会貢献もキーワードになる方もいるのですね。

Fさん:私は正直、社会貢献は大きな判断基準になっていなくて、柔軟な働き方ができるか、産休や育休後にちゃんと復帰できている人がいるかなどのDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の側面に重点を置いていました。ただ、社会貢献まではいかなくても、環境汚染をしていないかなど負の側面がないかは考慮しました。

Nさん:私は「社会の役に立つ仕事がしたい」がたまたま一番大きな動機でしたが、やっぱりお給料や今後のキャリア、成長を見据えると社会貢献に重きを置いてばかりいられないのも現実ですよね。

Mさん:私は最初の企業ではとにかく「がっつり働いて成長できるか」を主に見ていたので、社会貢献度や福利厚生などの優先順位は下げていました。福利厚生に関しては、初めから会社も「法律で定められている以上のものはないです」というスタンスで、お互いにある意味潔い感じですね。

Yさん:僕も同じく社会貢献や福利厚生より「いかに自分のやりたいことができるか」を軸にしていました。同じ規模の同業同士だったら福利厚生も大して変わらないだろうと…。実際、今の会社の福利厚生には満足しています。

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転職の理由は?職場が嫌じゃないのになぜ辞める?

─── MさんとRさんは転職も経験されていますが、その動機について教えてもらえますか?

Rさん:僕はステップアップが目的で転職を考え始めて、もう少し俯瞰的に担当業界を見られるような会社に転職しました。

僕は結婚しているのですが、この職種は何日も徹夜…みたいな働き方がまだ普通なんです。今の会社はこの職種のわりに働き手と家族を大切にしてくれて、そこを特に気に入って選びました。近い将来に家族に恵まれることがあれば、その妨げにならない職場環境がいいなと思ったんです。

1社目に対して「ここが嫌だな」という気持ちは特になく、転職を躊躇する気持ちもありましたが、より好条件でスキルアップできる職場に出合えたので「やってみるものだな」と思いますね。また4〜5年したら次のステップを目指して転職するだろうとは思いますが(笑)。

Mさん:転職の大きな理由は2つあって、1つはRさんと同じく福利厚生ですね。1社目で「ある程度学びたいことは学べたかな」と思ったタイミングで結婚したので、子どもを産みたいなとか、次のライフステージに向けて準備ができる環境に行きたいと思ったんです。フレックスや在宅業務などの選択肢があると、やっぱり働きやすいですね。

もう1つは、営業として働く中で、自分は「作り手の思いや連携を大切にするタイプなんだな」と学んだことです。1社目の企業では作り手側と話していて「そんな考えで作られたものをどう愛して売ればいいんだろう?」とがっかりしたことがあって、それで糸が切れてしまったんです。

そこから「もっと心から楽しめる仕事をしたい」と思ったことは、今思えば大きな理由になっていました。Fさん、うなずきが深いですね(笑)。

Fさん:バレた(笑)。私も今の会社にずっといようとは思っていません。会社自体、「若手が短期間で成長できます」と経験の提供を売りにしているので、私は3〜4年で独立したいなと思っています。

広告系の仕事ってとにかく忙しくて、いくら充実していても「この体力勝負な働き方は絶対に続かないな」と感じています。ちょうど「皆さんどうやって転職してるんだろう」と思っていたので、元同業者で一歩先を歩んでいるMさんの背中がまぶしいです(笑)。

───今後のライフプランも考えて転職を検討し始めるのですね。他の皆さんは転職について考えたことはありますか?

Nさん:私は社内の他の部署で色々なことを学びたいという気持ちはありますが、転職は今は考えていないです。仮に転職をするとしたら、周囲に女性のロールモデルがいないことが理由になるかもしれません。上司は男性がほとんどで、2~3年後の成長した自分を描きにくいとうことに悩んでいます。

Mさん:中堅層にロールモデルがいるか否かは、とても大切ですよね。私も1社目は中堅層の教育が抜け落ちている感じがして「ここにいても今以上の学びは難しいかも」と感じていました。そこを頑張ってくれていたら、もう5〜6年は勤めていたかもしれません。

Yさん:僕の職場も転職が多く、中堅層の社員がごっそりいないんですよね…。やはり給与面を考えると、日系より外資の方がかなり条件がよいので。僕は一年目に配属された部署の仕事や雰囲気が全く合わず、転職活動もしていましたが、念願かなって希望部署に異動できました。

今の仕事はとても充実していますが、やはり条件面を考えると転職は視野に入りますね。ただ、今すぐにというわけではなく、海外勤務から戻ってきた後に考えるつもりです。

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10年後のキャリアプランは?

───最後に、10年後のキャリアプランはありますか?

Rさん:特に思いつかないですが、漠然と「会社員をしていたくないな」とは考えています。今はスキルの成長と金銭的な貯蓄を重視するステップなので、余裕ができたら、その後は自分で事業を始めたいと思ってます。

Yさん:まだ具体的には思い描けませんが、あくまで直感ベースでいずれ独立するのかなとは思います。学生時代に取り組んでいたことと、金融の仕事を掛け合わせたら面白いことができるんじゃないかな。いずれにせよ、キャリア的に「攻める気持ち」は忘れたくないですね。

Fさん:私は東京を出て、家族や子どもとフルリモートでスローライフをしていたいですね。今は「成長期だから」と頑張っていますが、時々「どうなれば成長したって言えるんだろう?」と分からなくなるので、まずはその定義を明確にする必要があるのかなと思っています。元同業者のMさんに聞いてもいいですか?(笑)

Mさん:おっと(笑)。あくまで私の考えですが、営業としては相手の期待以上のことができること、相手に見えていない未来を提示できることかなと。私もまだまだ道半ばですが…。10年後のキャリアプランについてはFさんと同じく、家族との生活を大切にしながら、最前線から一歩下がったところで周囲を支えるような仕事をしていたいですね。

Nさん:今の会社かどうかはわかりませんが、私もMさんと同じく「支える」という仕事ができていたらいいなと思います。例えば今の営業での経験を活かして、人事などの立ち位置から周囲に還元するようなことをしてみたいです。選択はそれぞれに異なりますが「まずはスキルを磨いて、それを活かして自分探し」という順序に関しては皆さんと共通していそうですね。

・・・

若手社会人がキャリアについて語り合った座談会では、1社目で経験やスキルを獲得した後に、ライフスタイルや自分らしさを加味した次のステップに進むという傾向がうかがえました。

ひとりのビジネスパーソンが1社で中長期的に活躍できるために、企業は若手社員に向けた経験やスキルアップの場の提供に加え、中堅層が私生活を大切にしつつ、自分らしく成長できる環境を整えていく必要がありそうです。

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Source: HuffPost