2024
06.26

出社義務への静かな戦略。コーヒー飲んですぐ退社「コーヒーバッジング」がアメリカで流行中

国際ニュースまとめ

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コロナ禍が明け、フルリモートが推奨されていた職場でも、出社を推奨もしくは義務付ける方針が広がっている。

その出社義務を満たすためだけにオフィスに出勤し、カードキーで出社記録を残し、その後まもなく退社している人はいないだろうか?そんなあなたの戦略には名前がある。「コーヒーバッジング」だ。

「コーヒーバッシング」とは、このように出社義務を果たすためだけにオフィスに出社した後、コーヒーを飲んだりミーティングをしたりして短時間だけ滞在し、可能な限り在宅ワークを続けることだ。

アメリカの労働者2000人を対象にした同社の2023の調査によると、出社とリモートのハイブリッドワークをしている社員の58%が「コーヒーバッジングをしている」と答え、さらに8%が「試してみたい」と回答している。

ハイブリッドワークは働き方の選択肢の1つとして永続的な地位を築き始めており、「コーヒーバッジング」のトレンドもまだ去ることはなさそうだ。LinkedInユーザー1568人を対象に2024年6月に行われた調査では、19%がまだ「コーヒーバッジングをしている」と答えている。

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シカゴでITプロジェクト・マネージャーとして勤務しているアマンダさんもその1人だ。

アマンダさんの会社はハイブリッドワークに関する方針があり、従業員の出社記録はチェックされ、毎週・毎月の出社率を計算されているという。

アマンダさんは、自身の出社率について上司からまだ指摘を受けていないと言うが、出社率が評価に影響することを懸念し、まじめにオフィスに出社するようになった。「私はここにいますよ」と示すために4時間はオフィスに滞在するが、それ以降はできるだけ早く帰宅する。

通勤時間がかかるオフィス勤務は「疲れる上に、時間も無駄になる」とアマンダさんは述べ、できることなら100%リモートワークをしたいと話す。そもそも、彼女の直属の上司は別の都市で働いており、他の同僚とのミーティングもオンラインで行っている。

「オフィスにはいたくないです。だって、家でもできるから」

このように、コーヒーバッジングは自分の働き方を自ら管理し、自主性を取り戻す方法でもある。会社は私たちの時間の一部を要求するかもしれないが、それ以上は1秒たりとも与えないーー。これが戦略的コーヒーバッジングの哲学なのだ。

・会社による監視への対抗?

実際に、出社記録は従業員のキャリアに悪影響を及ぼす可能性がある。出社状況と業務評価の関連性を示す分析結果もあるという。

AIが職場に及ぼす影響についてのを出版したヒルケ・シェルマン氏がインタビューした人事部長は、社員カードによる出社記録を元に、昇進や解雇の判断をしている会社があることを明かした。

シェルマン氏はその会社について、「オフィスの滞在時間が最も長い人たちを昇進させたかったため、社員カードの出社情報を調べたのです」と説明する。

「そして新型コロナ感染拡大に見舞われ、従業員を解雇しなければならなくなったとき、誰が『最も生産性が低いか』を理解するために、再びこの出社情報を使おうとしたのです」

明確に言うと、会社への出社率はあなたの仕事ぶりを示すものではない。

生産性を判断するために出社記録を利用することは、「病気療養中の人や介護義務のある人など、他の人よりオフィスにいる時間が少ない人に悪影響を及ぼす可能性がある」とシェルマン氏は言う。

では、出社記録には明らかに欠点があるのに、なぜ会社はその記録に固執するのか。もしかしたらそのデータが、人々の分析という成長分野の一部だからかもしれない。

「企業は従業員に関するデータを活用したいんです」とシェルマン氏は話し、また「管理職は部屋を見渡した時に席が埋まっているのを見たいだけ」という考えも長年存在していると加える。

「印象を管理することがすべてなんです」

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一方、コーヒーバッジングには注意点もある。上司はあなたの会社での滞在時間を容易に確認することができる。そのため、あなたが出社後すぐに退社していることを「裏切り」と感じる可能性もあり、コーヒー1杯の時間よりも長く滞在する必要がある。

「デジタル技術が進化した今、あらゆるものの痕跡が残り、上司はそれらをチェックすることができます」とシェルマン氏は指摘する。

・コーヒーバッジングを上手く使いこなすには

オフィスに嫌々出社するのも、出社義務に現実的に向き合うのも、あなた次第。後者を選べば態度の変化がプラスに働くだろう。

コロンビア大学ビジネススクールのエグゼクティブコーチであるアーチャナ・バラサン氏は、「今の状況を最大限に活かしていると感じられるよう、コーヒー・バッシングを捉え直してみてください」と提案する。

バラサン氏は、もし選択肢があるのなら、義務付けられている週3回もオフィスに行かないだろうと話す。それでも「出社にも利点があるので週3回出社します」と続ける。

バラサン氏の仕事にとって、同僚との関係を築き深めることは重要なので、実際に顔を合わせる時間を前向きに捉えているのだ。しかし、もし彼女の仕事が個人で結果を出す、ビデオ会議が中心の業務だったら、出社により生産性が下がるかもしれないと話す。

コーヒーバッジングをするなら、オフィスでの時間を有効に活用する方法を見つけるようバサラン氏はアドバイスする。実際に人と顔を合わせるミーティングの予定を入れるのも良い考えだ。

「出社する曜日を選べるのであれば、私生活の用事と通勤をうまく組み合わせられるか考えてみてください」

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ワークフロー自動化サービスZapierの採用マネージャー、ボニー・ディルバーさんは、もしあなたが「コーヒーバッジング」している人たちの上司であるならば、なぜこのような傾向が起きているのかを深く調べ、こう自問してほしいと言う。

「オフィスの滞在時間が長い人の方が成果を上げているか?」「出社してミーティングや協働作業をしているか?それともただオフィスに通勤して、家でもできるZoom会議をしているのか?」

「優秀なマネージャーは、チームを『最も影響のあること』に集中させます。もしあなたのチームが、求められる最低限の出社義務を満たしているだけならば、会社が求めているその義務が、『影響のあること』につながるのかを考えてください」と続ける。

「もし答えがイエスなら、従業員がその事を理解し、オフィスでもっと過ごせるよう手助けをしてください。もし答えがノーなら、従業員への要求内容を見直すべきでしょう」

最後に一言:コーヒーバッジングは誰かの業績を示すものではない。どれだけ忙しいかとどれだけ達成したかは別物だ。隣の席であなたの同僚がキーボードをタイピングしていても、実際に働いているとは限らない。

アマンダさんは、こう願っている。

「会社には、従業員の出社記録を重要視するのではなく、実際に成し遂げた仕事と、同僚からのフィードバックに評価の基準をおいてほしい」

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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Source: HuffPost