04.19
そのアイス、地球にどれだけ負担かけてる?渋谷のカフェが打ち出す新たな「消費の選択基準」
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「ヴィーガンアイスクリームと普通のアイスクリーム、地球環境への影響ってどれくらい違うの?」
そんな疑問に答えてくれるイベントが、渋谷の「haishop cafe」で4月9日から22日まで期間限定で開催されている。
haishop cafeは、フードシステムの調達や環境に配慮した、季節の野菜やフルーツを使ったスムージーやアイスクリームなどを提供しており、普段からメニューの8割がヴィーガンだという。
今回のイベントは、4月22日のアースデーを前に、提供されている食べ物の環境への影響を分かりやすく可視化し、消費者に考えてもらう「きっかけ」を作ろうと開催された。
実は、私たちの身近にある「食」は、気候変動に大きく影響している。国連が支援する調査によると、人間活動に起因する温室効果ガスのうち、約3分の1が食物の生産や加工などを含む、「食」にまつわるものだという。
実際どんなイベントなのか?暖かくアイスクリーム日和となった4月の午後、早速お店を訪れた。
環境負荷が、目に見て分かる
カラフルなデザインのカフェがあるのは、渋谷駅直通の「スクランブルスクエア」7階、エスカレーターを降りてすぐの場所。注文カウンターの前には、リサイクルされたダンボール製のテーブルや椅子が置かれており、その横には雑貨なども売られている。
早速メニューを見てみると、スムージーやヴィーガンアイスクリームには、赤い表記で「CO2e(二酸化炭素換算)」▲〇〇%」と書かれている。
お店の方に尋ねると、それは、該当するヴィーガン商品(アイスなど)と、普通の牛乳を使った商品との二酸化炭素排出量の比較だという。つまり、その%分だけCO2排出量(相当)が少ないということだ。
どれだけ環境に優しくとも、せっかく食べるならおいしくないとね…
ということで、早速私は販売されているアイスクリームの中で、最もCO2e削減率の高い「あまおうフランボワーズ」(33.2%)を注文。カップには「-CO2」と書かれている。
果たしてお味は?
さっぱり爽やか。あまおうの甘さに、ちょっとココナッツの風味が加わり、本当においしい!人によって「苦手」と感じる「大豆っぽさ」も、個人的には全く感じなかった。
原材料には、乳製品の代わりに豆乳ヨーグルトやココナッツクリームが使われているようだ。
他にも期間限定フレーバーには濃厚ショコラやラムレーズンなど、計4種類が提供されている。
「コーヒー2050年問題」をグラス半分のコーヒーで可視化
アイスクリームと共にもう1品私がオーダーしたのは、アイスコーヒー。
出てきたのは、「20XX」と書かれたグラスに半分しか入っていないフェアトレードのコーヒーだ。
地球温暖化などの影響で、2050年にはアラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が現在の半分に減ると予測されている「コーヒー2050年問題」。それを肌で感じてもらおうと、コーヒーはグラスに半分しか入っていない。その名も「2050年コーヒー」だ。
さらに、「気候変動や為替、エネルギー問題の影響でさまざまな食料品価格が高騰する中、その『価値』と『価格』について考えるきっかけになれば」と、価格はカスタマーが自分で決めるシステムになっている。
どうしよう…。メニューにある通常のアイスコーヒー(こちらもフェアトレード)が500円だったので、それを参考に500円を支払うことにした。(会計後、2050年コーヒーは通常の半分の量しか入ってないから、250円で良かったかも…と気づく…)
コーヒ−2050年問題を知るだけでなく、フェアトレードについて学ぶことで、生産者の生活や労働環境についても考えるきっかけとなる。
消費の新たな基準に
「私たちが買い物の際に商品を選ぶ基準は、価格・デザイン・味やボリュームが多いかと思います」
そう話すのは、「haishop cafe」を運営するInnovation Design社サステナブルデザイン室の表秀明さん。今回のイベントの背景について、「美味しいから、かわいいからという選択は最も大切だと思いますが、新たな視点からの基準を世の中に投げかけたいと思ったんです」と語る。
「その新たな基準こそが、地球環境への貢献や負担を可視化することで、自分と地球の未来を選択してもらうことでした」
今回のイベントを通じて、環境負荷について知らなかったけど知るきっかけとなったといった声などが寄せられていると言い、「これが今後、新たな消費のあり方として、社会に少しでも響いたら嬉しい」と述べた。
同イベントは、渋谷区の実証実験事業「飲食店メニューのCO2排出量可視化プロジェクト」の第2弾。
商品のCO2排出量データの計測・分析などは、DXコンサルティング企業METRIKAや、地球にやさしい食生活を選択する「クライマタリアン」の考え方を広める一般社団法人Quisineと協力し行われている。
また、イベント終了後、期間中に販売したヴィーガンアイスやスムージーに伴うCO2のカーボンオフセットを行う予定だという。
食品の環境負荷の可視化、広がるか
食事の環境負荷を可視化する動きはまだ日本ではなじみがないが、海外ではそのトレンドが生まれている。
2020年には大手ファストフードチェーンのChipotleが環境負荷をアプリでチェックできる仕組みを導入。サラダ専門店チェーンのJust Saladでは、表示に加え環境負荷の低いメニューを提案するクライマタリアンメニューも登場している。
2023年には、イギリスのヒルトン系列ホテル約30軒で、レストランメニューにカーボンラベル(CO2排出量)を採用し、環境負荷の少ないメニューの提供も始めた。
日本でも、スーパー大手イオンが2023年、食品のCO2排出量の削減度合いを示すラベルの貼付を一部品目でスタートした。
欧米からは遅れをとっているが、今後日本でも広がりを見せることを期待したい。
Source: HuffPost