11.08
MIYAVIさん、ガザのニュースに「無力感でいっぱい。それでも…」難民映画祭で語った葛藤
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2022年、ウクライナの戦争などによって、史上初めて難民や避難民の数が1億人を超えたと発表された。2023年には、ガザとイスラエルの戦闘が激化。双方の死者は1カ月経った11月7日時点で1万1000人を超え、今後も増える恐れがある。
故郷を追われる人が増える中、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は11月6日、映画を通して難民への理解を広げる「難民映画祭」を開幕した。
初日は都内の映画館で、日本初公開となるドキュメンタリー映画『ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦』が上映され、アーティストのMIYAVIさんも鑑賞した。
映画は、若くして「奇才」の名をほしいままにしていたベネズエラ出身の指揮者グスターボ・ドゥダメルさんが、ベネズエラの政治的、経済的な争いに翻弄されながらも、演奏し続けることを諦めずに闘う物語。
MIYAVIさんが映画を見て特に印象的だったのは、ドゥダメルさんが沈黙を破り、政治に対して声をあげるようになったシーンだという。
「彼(ドゥダメルさん)にとって政治的な発言をすることはリスキーで、実際に講演がどんどんキャンセルされるのを見てすごくリアルに感じました」
日本人初のUNHCR親善大使として世界中の難民支援の現場を訪問してきたMIYAVIさん。「自分自身も難民支援を10年前からやらせてもらっている中で、緊急フェーズに音楽家としてそこにいく必要があるのかとずっと考えてきた」と葛藤を明かした。
「ドゥダメルさんも(映画の中で)言っていましたが、音楽は単なる娯楽だけじゃなく、人の心やコミュニティの心を癒す力があると僕自身も本当に強く実感しています。文化の違いや時代、国境の壁を越えて世界中に、次の世代に広まっていく、その音楽の力を信じています。自分自身も背中を押されたような気がしました」
戦闘や差別、分断が続く世界をどう受け止めれば良いのか
ガザとイスラエルの戦闘や、それによるヘイトクライムや分断が広がっている。その他にも、ウクライナやシリアなど、戦争や難民の問題が続く世界を、MIYAVIさんはどう受け止めているのか。
MIYAVIさんは、「正直僕も親善大使として活動させてもらっていますけど、皆さんと一緒で、分からないです。何ができるのか、どう変えていけるのか、無力感でいっぱいです」と打ち明けた。
「実際、日本からできることってやっぱり限られてると思うんです。自分たちが戦場に行って、戦争を止められるかっていったら、やっぱりできない。その中で、遠く離れていても自分たちができることは、声を上げることやソーシャルメディアで発信すること。募金することも、大きな1歩だと思います。自分ができることをするしかないですし、その世界の情勢から目をそらさないっていうことが1番大事なことかなと思います」
また、初日のイベントに俳優の広瀬すずさんが駆けつけたことについても「影響力のある若い世代の広瀬さんが来てくれてすごく嬉しかったし、広瀬さんのような若い世代の活動できる人たちがどんどんこれからも増えていって欲しい」と期待を寄せた。
MIYAVIさんを突き動かすもの
ガザの攻撃が始まった当時、MIYAVIさんは中国でツアーをしていた。目の前にいるオーディエンスを楽しませるために全力でパフォーマンスするステージ上の自分と、SNSなどで飛び込んでくる情報のギャップに葛藤を感じていたという。
それでも音楽家として難民支援を続けられるのはなぜなのか。MIYAVIさんは「やっぱり1度目を向けたら、目を背けることができない」と語った。
「2013年にアンジェリーナ・ジョリーさんと出会って、いろんなものを勉強させてもらって、 難民支援の活動を始めることになったんですけど、僕はそれを運命だと思っています。もしかしたらそれが環境問題だったかもしれないし、 性差別の問題だったかもしれない。でも、僕は彼女と出会って、この難民問題に向き合う機会をもらいました」
MIYAVIさんはこれまでレバノン、タイ、コロンビア、バングラデシュなどの難民キャンプや、ウクライナ危機による避難民が集まるセルビアとモルドバなど、世界各地で難民支援をしてきた。
「日本はなかなか現場から実際の距離があって現実味が感じられなかったりしますが、ベネズエラやガザも含めて今世界で起こっていることを知って、そして広めて、できることをどんどんやっていってほしいなと思いますし、この支援の輪を盛り上げていってほしいなと強く強く願います」
「難民映画祭」のオンライン上映は11月30日まで。1作品につき寄付つき鑑賞(1000円)ができる他、若年層の人たちが参加しやすいよう「無料鑑賞」の選択肢も用意されている。
Source: HuffPost