2021
07.21

米海軍特殊部隊が培った「リーダーシップ論」が、仕事や生活に役立つと言える訳

国際ニュースまとめ

<著者は「イラクの自由作戦」において、ラマディで任務に就いていた元将校。米ネイビー・シールズ伝説の指揮官が明かす「桁外れ」な成果を出すチームのリーダーに必要な信条と、その応用法とは。全米230万部のベストセラー『米海軍特殊部隊(ネイビー・シールズ)伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』の序文を2回に分けて転載する(後編)> 前編より続く:全米230万人が読んだ、イラクの戦場で生まれたリーダーシップ論 私たちはジョッコ・ウィリンクとリーフ・バビン。「イラクの自由作戦」において、イラク・ラマディで共に任務に就いたシールズの元将校だ。あの場所で私たちは、戦争の屈辱的な試練をよく知るようになった。あのときは幸運にも、勝利を収める極めて優秀なチームを育て、訓練し、導くことができた。戦場で任務に就き、油断がどれほど危険なものかを目の当たりにした。いつ何時、拠点が完全武装した敵の大群に制圧されてしまうかわからないのだから。 私たちは、失敗する――失う、驚く、裏をかかれる、打ちのめされる――とはどういうことかを知っている。こうした教訓は何よりも厳しいものだが、おそらく何よりも重要なものだ。 私たちが学んだのは、勝利を収めるためには、リーダーは任務の正当性を信じていなくてはならないし、不屈の忍耐力を持っていなくてはならない、ということ。とくに、疑い深い者たちが「本当に勝てるのか?」と疑問を抱いているときには。 シールズのリーダーとして、私たちは、マネジメントや組織にまつわる最善のやり方に加えて、リーダーシップの教訓を明らかにし、試し、確認し、記録していた。そしてその後、シールズのリーダーシップの訓練を構築し、実施し、シールズの新世代のリーダーのために、その原則を書き記すサポートも行った。 シールズの私たちのタスクユニットは、今では「ラマディの戦い」として知られる戦闘の大半で任務に就いていた。だが、この本は、そうした戦闘活動を歴史的に説明するためのものではない。こうした短めの書籍で、彼(か)の地で任務に就き、戦い、血を流して死んだ米軍の男たち、女たちの貢献と犠牲の物語を語ることなどとてもできない。 私たち――本書の著者であり、ラマディで共に戦ったシールズ隊員――は、米陸軍第28歩兵師団旅団戦闘団・第2旅団および米陸軍第1機甲師団・第1旅団(レディファースト旅団戦闘団)のもとで共に戦った部隊が示してくれた勇気、献身、プロ意識、無私の精神、犠牲には、この上なく謙虚な気持ちにさせられた。もちろんそれ以外の、米陸軍および海兵隊の勇敢で名高い数々の部隊にも。彼らの勇敢な行為や、任務と祖国への揺るぎない献身を詳しく語るなら、丸ごと一冊(もしくは、シリーズ本)で語る必要があるだろう。彼ら全員に、神の祝福がありますように。 ===== ラマディでの戦争を遂行した仲間たちの中に、わがシールズのタスクユニット(海軍特殊戦任務隊「ブルーザー」)も含まれていた。繰り返しになるが、本書でお伝えする戦闘経験は、歴史的な参考資料を目指すものではない。当時の会話の内容をお伝えするために誰かの言葉を引用している箇所もあるが、必ずしも完璧に再現できていない。時間の経過や構成上の制約、さらには記憶が十分でないなどの影響もあるだろう。 また、本書に描かれるシールズの戦闘経験については、具体的な戦術、技術、手順を隠し、ある軍事作戦がいつどこで行われ、誰が参加したかなどの機密情報を守るために、慎重に編集や改変を行っている。この原稿は米国国防総省に提出され、同省の要件に従って、安全保障の審査手続きを経て承認されている。 私たちは、共に任務を遂行したシールズ・チームの仲間たちや、今も危険な任務に就いている仲間たちの身元を保護するべく、最善を尽くしている。彼らは寡黙なプロフェッショナルであり、称賛を求めてはいない。私たちは、彼らを守る重大な責任を真摯に果たしている。 レディファースト旅団戦闘団のほかの戦士たちについても、同様の予防策を取った。勇敢な米軍兵士や海兵隊員の誰かについて書くときには、ほぼ100パーセント、階級のみを表記している。これは決して彼らの貢献を損なうためではなく、プライバシーと安全を守るためだ。 同様に、私たちのリーダーシップ・マネジメント・コンサルティング企業「エシュロン・フロント」のクライアントの保護にも、全力で取り組んでいる。人物や企業の特定を避けるため、企業名は出さず、個人名は変更し、業種が推測できるような情報は隠し、場合によっては幹部の地位や業種も変更している。守秘義務は絶対に守らなくてはならないからだ。 ビジネスの世界で得た教訓の物語は、私たちが実際に経験したことに基づいているが、原則をわかりやすく伝えるために、場合によっては状況を組み合わせたり、時間軸を短縮したり、話の筋を修正したりしている。 この本の構想は、ある気づきから生まれた。それは、戦場でのシールズの成功に欠かせない原則――シールズがいかにリーダーを訓練して戦闘に備えさせるのか、いかに優秀なチームをつくって成長させるのか、戦闘の中でいかにリーダーシップを発揮するのか――は、どんなグループにも組織にも企業にもビジネスにも、ひいては人生にもそのまま応用できる、という気づきだ。 本書は、読者のみなさんに「成功の秘訣」を伝授している。それは、シールズのリーダーたちと戦闘部隊がけた外れな成果を出せる、「マインドセット」と「基本原則」だ。そのマインドセットと基本原則をビジネスや人生にそのまま活かして、同じく勝利を収める方法を、明らかにしている。 米海軍特殊部隊(ネイビー・シールズ) 伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ ジョッコ・ウィリンク 著 リーフ・バビン 著 CCCメディアハウス (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

Source:Newsweek
米海軍特殊部隊が培った「リーダーシップ論」が、仕事や生活に役立つと言える訳