新型コロナウイルスの感染拡大の抑え込みに比較的成功してきた韓国で感染者が急増し、文在寅（ムン・ジェイン）政権の防疫対策が正念場を迎えている。首都圏で防疫措置を最高レベルに引き上げ、午後６時以降の３人以上の私的会合を禁止し、飲食店では閑古鳥が鳴く。世界に“誇った”「Ｋ－防疫」の今…。

　文政権は積極的な検査実施や感染者の隔離徹底を軸とする自国の方式「Ｋ－防疫」で国際社会に模範を示すと意気込んできた。ただ、５日に７００人台だった全国の新規感染者数は６日、１２００人台に急増。聯合ニュースによると、１３日は１４００人以上となり、過去最多を更新した。

　急増の一因は、感染状況が安定していた６月下旬に防疫措置緩和の方針が発表され、国民の警戒感が緩んだことにあるとみられる。防疫当局は、８月中旬までに２０００人を突破する恐れがあると分析する。

　文大統領は１２日、大統領府で防疫状況を点検する特別会議を主宰。「コロナの国内流入以来、最大の正念場を迎えた」と強調し、不退転の決意で取り組むとして国民の協力を訴えた。１２日からの防疫レベル引き上げで、結婚式や葬儀は親族しか出席できなくなるなど、市民生活に影響が及んでいる。

　１３日付の複数の韓国紙は、客がまばらな飲食店の写真を１面に掲載した。売り上げが前週比７割減となった焼き肉チェーンも出ているという。本来ならごった返すソウル最大の繁華街、明洞（ミョンドン）も不気味なほどに静まりかえり、不穏な空気に包まれている。