01.26
アフターピルの薬局販売、90カ国で可能なのに日本は不可。国がパブコメを募集
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緊急避妊薬(アフターピル)の薬局販売について、広く意見を求めるパブリックコメント(パブコメ)を、国が1月31日まで募集している。
2017年にも同様のパブコメを行ったものの市販薬化は見送られており、推進派はパブコメの提出を呼びかけている。
約90カ国では薬局で購入可能、ハードルの高い日本
緊急避妊薬は、コンドームの破損や性暴力など、妊娠する可能性のある性行為から72時間以内に服用することで、妊娠する確率を著しく下げる薬だ。早く飲むほど効果が高いという特徴もある。
厚労省の調査によると、世界の約90の国では医師の処方箋がなくても薬局などで購入可能。一方日本では、産婦人科などへの受診や処方箋が必須で値段も平均約1万5000円と高額のため、アクセスのハードルの高さが問題になっている。
緊急避妊薬の薬局販売(スイッチOTC化)については、2017年にも検討された。当時行われたパブコメに寄せられた348 件のうち、9割を超える320件がOTC化に賛成だったものの、検討会では「性教育が遅れている」「使用者自身のリテラシーが不十分」などの意見が出て市販薬化は見送りに。
その後2021年に検討会議が再開され、医師や薬剤師などでつくる団体の理事や大学教授、ドラッグストア関係者などが議論を交わしてきた。
2021年からの検討会で挙げられた主な課題点は以下の通り。
・年齢制限は必要か
・専門知識を身につけた薬剤師による販売ができるか
・スイッチOTCとして承認された医薬品は原則3年経つとインターネット販売も可能になり、対面販売が維持できない
・安易な販売、悪用や濫用の懸念
・性教育が遅れているため、避妊に対する使用者自身の理解が不十分
・販売後含む医師との連携
・性暴力被害の場合、どのように支援につなげるか
パブコメで寄せられた意見をもとに再び検討会議で議論し、最終的な検討結果をまとめる予定だ。
パブコメの受付はこちらから行っている。
「当事者の声を届ける最後のチャンスになるかもしれない」
市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現するプロジェクト(緊急避妊薬を薬局でプロジェクト)」は、今回のパブコメが「当事者の声を届ける最後のチャンスになるかもしれない」とし、イベントなどで提出を呼びかけ。1月23日にも衆議院第一議員会館で勉強会を開き、アクセス改善の必要性を訴えた。
プロジェクトの共同代表で、NPO法人ピルコン理事長の染矢明日香さんは、検討会議で出された「緊急避妊薬の安易な使用、悪用・濫用の懸念」「性教育が遅れており、使用者の避妊や緊急避妊薬についての知識が不十分」などの課題を踏まえ、「緊急避妊薬 知っておきたい8つのこと」を説明。
これらはWHOなどの資料を元にプロジェクトでまとめたもの。ファクトチェックは公開されており、パブコメを提出する際にも参考にできる。
「安易な使用、ジャッジできない」
勉強会では、「高額すぎて買えない」「土日や祝日で病院がやっていない」「地方のため病院が遠い」など、当事者からの切実な声も紹介された。
染矢さんは「課題があるからアクセスを制限せざるを得ないというような視点ではなく、性教育や避妊法の充実化も含めて、足りないのであれば両輪で推進していくという視点で考えていってほしい」と訴えた。
共同代表を務める産婦人科医の遠見才希子さんは、「安易な使用」が懸念されていることを念頭に「私たち医療者は目の前の人の人生のごく一部しか知り得ないのだから、表面的な理由や態度で(安易な使用かどうかについて)人をジャッジすることはできません」とコメント。
「(緊急避妊薬は)意図しない妊娠への不安を抱える全ての女性・女の子のための薬です。年齢や住んでいるところ、セックスの相手や家族との関係性、これまで受けてきた教育や正しい知識の有無などによらず、意図しない妊娠への不安を抱える全ての女性・女の子に緊急避妊薬にアクセスする権利があります」と強調した。
プロジェクトでは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利・SRHR)の課題などに取り組む若者のネットワーク「SRHRユースアライアンス」と共同で「#みんなでパブコメ キャンペーン」も展開。緊急避妊薬を入手しやすくすることを求めるオンライン署名には16万を超える署名が集まっている。
パブコメの提出方法は?
パブコメは名前や住所の入力をしなくても提出可能。以下の項目の入力が必須とされている。
・意見(賛成、反対など)
・意見の理由、根拠等
応募はこちらから。
中段の「意見募集要項」を一度開いた上で、下段の「意見募集要領(提出先を含む)を確認しました」の部分にチェックを入れ、右下にある「意見入力へ」のボタンを押すと、入力画面が現れる。
Source: HuffPost