10.03
所信表明演説を「お財布目線」で見てみると… 物価高対策・賃上げ、岸田首相は何と語った?
7月にあった参院選後、初めての本格的な論戦の場となる臨時国会が10月3日、召集された。
岸田文雄首相が同日午後、衆院と参院の本会議で所信表明演説を行い、当面の課題や問題についての方針を示した。
演説では、旧統一教会をめぐる問題から物価高対応などの経済政策、新型コロナ対応、外交・安全保障などの分野にわたって、内閣の姿勢を表明した。
「日本経済の再生が最優先の課題」だと首相が強調したこの演説を、「お財布目線」で注目してみた。
経済政策の3つの重点分野は…
ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で、エネルギーや食料価格の高騰が続き、身近なものの値上げが相次いでいる。食料や飲料では、年内の値上げが判明している品目は2万品目を超えたとの調査もある。
首相は演説で、自身が掲げる「新しい資本主義」の下、3つの重点分野に取り組むと表明した。
①「物価高・円安への対応」
②「構造的な賃上げ」
③「成長のための投資と改革」
電気料金負担の緩和へ「前例のない思い切った対策」
物価高への対応について首相は、「10月中に総合経済対策を取りまとめ、何としてもこの物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます」と強調した。
来春にかけての大きな課題として「急激な値上がりのリスクがある電力料金」を挙げ、「家計・企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策を講じます」と述べた。
首相は9月29日、記者団に対し、「ウクライナ紛争の長期化をにらみ、天然ガスの市場はさらに高騰を続けており、我が国の電力料金も一段の上昇が避けられない状況になっている」と述べ、来春以降に「料金改定あるいは契約改定の形をとって、一気に2割から3割の値上げとなる可能性もある」と述べている。
この日の演説では、新たな負担軽減策の具体策には言及しなかったが、政府・与党内では電気料金の抑制案を検討する動きがあり、電力会社に補助金を投入し、料金を引き下げる案もあると報じられている。
なぜ日本では賃上げが実現しない?
身近な飲食店での値上げや、身の回りの食料品や飲料の値上げが続く一方で、賃上げはなかなか進んでいない。
演説では、首相自身が「なぜ日本では長年にわたり大きな賃上げが実現しないのか」と問いかけ、こう語った。
「賃上げが高いスキルの人材を惹きつけ、企業の生産性を向上させ、さらなる賃上げを生むという好循環が機能していないという構造的な問題があります。ひとたびこのサイクルが動き出せば、人への投資がさらに進み、この好循環は加速していきます」
その上で、「賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という3つの課題の一体的改革を進めます」と表明し、「構造的な賃上げ」の実現を目指すと強調。その方策として、次の点について言及した。
・官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組む
・公的価格においても、制度に応じて民間給与の伸びを踏まえた改善などを図る
・看護、介護、保育をはじめ現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進める
・リスキリング、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備
・年功制の職能給から日本に合った職務給への移行
個人のリスキリング(学び直し)に対する公的支援については、「人への投資策を『5年間で1兆円』のパッケージに拡充します」との方針を明らかにし、こうした指針を2023年6月までに取りまとめるとしている。
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Source: HuffPost