2021
06.16

ファッション界の「中東紛争」、ZARAの不買運動に発展

国際ニュースまとめ

<ユダヤ人デザイナーがパレスチナ人モデルに送った差別的なメッセージが明らかになり、デザイナーは子供の殺害予告を受け取り解雇の危機に。一人の社員が放った憎悪によって、ZARAも行動を迫られている> スペインの大手ファッションブランド、ザラ(ZARA)をボイコットしようという呼びかけが、ソーシャルメディアで広がっている。そのきっかけは、パレスチナ人のモデルが、パレスチナを支持する自身のインスタグラム投稿に対して、同ブランドのデザイナーが反パレスチナのメッセージ返してきたことだった。 この男性モデル、カヘル・ハラハシはインスタグラムで、差別的なダイレクトメッセージを受け取ったと主張している。ハラハシによれば、このメッセージの送信者はザラ婦人服部門のチーフデザイナー、ヴァネッサ・ペリルマンで、その内容は、イスラエルとパレスチナの紛争に関連するものだったという。 ペリルマンは、以下のように書いたと伝えられている。「もしあなたたちに教育があれば、イスラエルの援助で建てたガザ地区の病院や学校を爆破するようなことはしなかったのよ」 そして、こう付け加えたという。「あなたがモデルの仕事をしているのも変な話。イスラム教では偶像崇拝は禁止でしょ。それにもしあなたが同性愛を公表したとしたら、石打ち刑になるのよね」 Vanessa Perliman a head designer at Zara DM’d a young Palestinian model this racist garbage and when she was called out gave a lukewarm apology before deleting all her social media. I emailed Zara to demand that disciplinary action be taken and this was their dismal response. pic.twitter.com/eCJ6FUei2u— Nooran A. (@nooranhamdan) June 11, 2021 後悔は後の祭り ハラハシが、ペリルマンとのインスタグラム上でのやりとりを記録したスクリーンショットを投稿すると、ソーシャルメディアユーザーの間ではたちまち、「BoycottZara(ザラをボイコットせよ)」「ZaraMustApologize(ザラは謝罪すべき)」というハッシュタグが拡散し、Zaraはイスラム嫌悪だとして非難する動きが始まった。 ハラハシは、ペリルマンとのその後のやりとりのスクリーンショットも公開した。ペリルマンは仕事を失いそうになり、自分の子供たちも危険だと感じるようになった後に謝罪した。 ペリルマンはハラハシに、「なぜ、私と私の仕事にかかわる投稿をしたの?」と、テキストメッセージを送ったという。「気味が悪い。今届いたアラビア語のメッセージには、私の居所を突き止めて子どもたちを殺すと書かれている」 ペリルマンはこう続けた。「職場では、意地悪な人がとても多くて、ユダヤ人について心ない暴言が飛び交っている。それで私もつい八つ当たりをしてしまった。本当に後悔している」 ペリルマンは、「後悔している」「これは本当の私じゃない」と何度も繰り返した。 ハラハシへの最後のメッセージで、ペリルマンは以下のように述べた。「私についての投稿をインスタグラムに載せたままにするというのなら、それもあなたの権利だ。でも、今この時にも、私のところには子どもを殺すという内容の脅迫が届いていることを知ってほしい」 ===== このやりとりののち、ペリルマンは、自身のすべてのソーシャルメディア・アカウントを削除したと伝えられている。ハラハシはインスタグラムへの投稿で、ザラ側から、ペリルマンの謝罪を誰にでも読める形でシェアして欲しいとの依頼があったが、これを断わったと述べている。 「ザラが私に関して声明を作成するつもりがあるなら、イスラム嫌悪についても触れる必要がある。過去に反ユダヤ的な言動をしたファッションデザイナーは何人も解雇されている」とハラハシは述べた。「現時点で、ヴァネッサ・ペリルマンは職を失っていない」 「私にとって謝罪とは、誰かに対して引き起こした心の痛みや苦しみを全面的に認めることだ。彼女(ペリルマン)は私のDM(ダイレクトメッセージ)に乱入し、ヘイトに満ちたコメントを書いた。私が、口先だけの謝罪を受け入れるべき理由があるだろうか?」 怒りの拡散 この件が明るみに出て以来、ツイッターのユーザーからは、ザラに対応を求める声が高まっている。今のところ、ザラは公式声明を出していない。あるユーザーはこう述べた。「@ZARA(ザラ)よ、あなたの会社のチーフデザイナーが、パレスチナ人モデルが#FreePalestine(パレスチナに自由を)を支持したことを理由に彼を攻撃し、ヘイトを煽り、#Palestine(パレスチナ)#Gaza(ガザ)におけるイスラエルの犯罪行為を擁護しようとし、唾棄すべき人種差別やイスラム嫌悪、反パレスチナの思想を表明したことに関して、私たちは黙っているつもりはない。行動を起こせ、さもなければ#BoycottZara(ザラをボイコットせよ)」 Hi @ZARA , we wont stay silent about your head designer attacking Palestinian model for supporting #FreePalestine instigating hate & vowing to defend Israeli crimes in #Palestine #Gaza showing disgusting racism, Islamophobia & anti Palestinianism. Take action or #BoycottZara https://t.co/aRXz8RX08c pic.twitter.com/PgiilX9X3P— Omar Ghraieb(@Omar_Gaza) June 13, 2021 別のユーザーは、こうツイートした。「彼女(ペリルマン)は、言い逃れようのない人種差別とイスラム嫌悪という、悪意に満ちた思想をまき散らした。これを、『誤解』としてなかったことにするのは容認できないし、@zarausa(ザラUSA)も同様に、人種差別主義者ということになる」 ザラの親会社、インディテックスの広報担当者は、本誌の取材に対してこう回答した。「ザラは、いかなる文化、宗教、国、人種、信仰に対しても、敬意に欠ける行いを容認することはない。ザラは多様性を重んじる企業であり、いかなる種類の差別も決して許さない。お互いを尊重するという当社の中核にある価値観を反映しないこれらのコメントを我々は非難するし、これらの攻撃を遺憾に思う」 (翻訳:ガリレオ)

Source:Newsweek
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