2022
06.09

<維新とカネ>馬場共同代表が政党助成金を不正に受給か 収支報告書の辻褄合わず 「虚偽記載に当たる」と専門家は批判

国際ニュースまとめ

維新の馬場伸幸議員は昨年12月に政治資金規正法違反で容疑で刑事告発されている。写真は馬場議員のツイッターより。

日本維新の会共同代表の馬場伸幸衆議院議員が代表を務める「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」(以下、政党支部)の政治資金収支報告書(以下、収支報告書)と政党交付金使途等報告書(以下、使途報告書)の間に矛盾が生じていることが、筆者の調査の結果、判明した。専門家は「順法精神ない。虚偽記載に当たる」と厳しく指摘した。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆使途報告と収支報告がまったく合わない

馬場議員が代表を務める政党支部は、2019年に「機関紙誌の発行その他の事業費」として240万9436円の支出をしたと「収支報告書」に記載している。これに対して「使途報告書」では同じく「機関紙誌の発行その他の事業費」として298万9448円を支出したと記載されている。つまり、「使途報告書」に記載した額の方が約58万円多いということである。

「使途報告書」は、政党支部の支出のうち政党交付金(政党助成金)で支払った経費を報告するものであり、「収支報告書」は、政党助成金で支払った経費を含む、政党支部の全ての支出を報告するものである。簡潔に言うと、全ての支出を記載している「収支報告書」の額を「使途報告書」が超えることはあり得ないのである。

2019年の「機関紙誌の発行その他の事業費」は政党交付金の方が約58万円多いことになる。仮に政党交付金の記載が正しいことになると、「収支報告書」に最低でも約58万円少なく記載したことになる。一方、「収支報告書」の記載金額が正しいとなると、「使途報告書」は約58万円多く記載したことになる。

要するに、「収支報告書」、もしくは「使途報告書」のどちらかが誤りか虚偽の記載をしていたことになるのだ。

◆質問に回答すらしない馬場議員

調べてみると、馬場議員関連の「使途報告書」の額が「収支報告書」を上回っていたのはこれだけでなかった。

「機関紙誌の発行その他の事業費」は「機関紙誌の発行事業費」「宣伝事業費」などに内訳の項目が分かれている。その「機関紙誌の発行事業費」「宣伝事業費」もまた、「使途報告書」の額が「収支報告書」を上回っている。

2019年の「機関紙誌の発行事業費」では、「収支報告書」が60万3486円と記しているのに対し、「使途報告書」では82万3032円になっており、政党助成金の経費の方が約22万円多くなっている。

2019年の「宣伝事業費」は、「収支報告書」が180万5950円に対して「使途報告書」では216万6416円になっており、政党助成金の経費の方が約36万円多い。

また2018年の「機関紙誌の発行事業費」では、「収支報告書」が13万3434円に対して、「使途報告書」では14万9582円になっており、政党助成金の経費の方が約1.6万円多い。

これでは「虚偽記載」と言われても仕方がない。

馬場議員の事務所に事実関係の確認をするため質問状を送ったが、回答期限までに回答はなかった。

◆維新の国会議員トップが法違反

政治資金問題に詳しい上脇博之神戸学院大学教授は以下のように述べた。

「虚偽記載の犯罪が成立するのは明らかでしょう。現時点で不確定なのは、その犯罪が政治資金規正法違反なのか、それとも政党助成法違反なのかだけです。

いずれにしても、会計帳簿に真実の支出を記載していれば絶対に起こりえないことですし、かりに単純なミスをしても、『使途報告書』と『収支報告書』の両方を毎年チェックすれば絶対に起こりえないので虚偽記入でしょう。2年連続してやつているので、遵法精神がないから虚偽が平気でできたのでしょう」

チェックさえしていれば防げていた問題だと指摘した。

馬場議員は21年12月にも政治資金規正法違反の疑いで刑事告発されている。さらに日本維新の会の政治家に「政治とカネ」の問題が相次いでいることについて、上脇教授は次のように厳しく指摘した。

「このような支部の代表が日本維新の会という党の幹事長だったわけですが、今では共同代表です。遵法精神がないのは、党の政治的体質だと思えてなりません」

共同代表を務め、いわば維新の国会議員の長である馬場議員に、昨年の刑事告発に続いてカネの問題が発覚した。維新の他の国会議員にも次々とカネの問題が出てきている。これだけカネの問題が相次ぐと、維新の「身を切る改革」というのは選挙向けのパフォーマンスに過ぎないと言われても仕方ないだろう。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

Source: アジアプレス・ネットワーク