04.27
<北朝鮮内部>警察より怖い…主婦が務める人民班長は今や住民統制の要 権勢拡大
北朝鮮当局が今年に入ってから人民班の役割と任務を増やし、それにともない人民班長の権勢が高まって、住民たちから「警察より怖い」と恐れるようになっている。コロナ対策を口実にした金正恩政権の統制強化がその背景にある。(カン・ジウォン)
人民班とは最末端の行政組織のことである。地区ごとに20~30世帯程で構成される。町役場に相当する洞事務所からの指示を伝達し、住民の動向を細部まで把握する役割を担うのが人民班長だ。これまでは「品行方正」な主婦を洞事務所が任命してきた。
人民班長の任務は、まず各世帯の把握と管理だ。家族構成、職場、収入状況、他所からの来客や宿泊者をチェックする。次に重要に任務は、当局の政策を住民に伝え行動を指示することだ。
役場から割り当てられる労力動員、軍隊の食料や建設プロジェクトの材料などの支援のため、「税外負担」と呼ばれる金品供出を指示・伝達する。いわば、住民の間にいる金正恩政権の統治の手足である。
◆住民管理に特別配給の対価
とはいえ、人民班長も生活者であるため、普段は商売に出たり畑仕事もしたりしている。だが、住民管理の役割が年々拡大するにつれ、当局は待遇を向上させた。北部地域に住む協力者は次のように説明する。
「コロナで経済がボロボロなので、人民班長の生活を保障するために、別途に食糧配給を出すようになった。私の住む地区では、1カ月に5日分が特別支給されている。人民班長の選抜には人民委員会(地方政府)が介入するようになり、可能な限り除隊軍人でかつ党員を選ぶようになった。私の所で新しく選ばれた人は、40代の軍隊経験のある党員の女性だ」
新型コロナウイルスのパンデミック以降、金正恩政権は海外からのコロナ流入阻止と国内の防疫体制の確立を最優先にした。また経済悪化によって社会秩序が乱れることを警戒し、住民の行動を統制することに躍起になった。そのため、直接的、日常的に住民を管理し目を光らせる人民班長の権限を強化したのだ。
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