12.17
地球全体のエネルギーとして200年間も使える大量の水素が眠っている、科学者が主張
地球の地下には大量の水素が眠っており、その一部を使うだけでも長期間、エネルギーを賄えるとする研究結果が発表された。
200年間、化石燃料を使わずに済む量
アメリカ地質調査所(USGS)が主導した新たな研究によれば、地球の地下には約6.2兆トンの水素が眠っているという。
これは地中に埋蔵されている石油の量(1.6兆バレル、1バレルの重さは約0.15トン)の、約26倍にもなるそうだ。
研究者は、地下にある水素のほんの一部を使うだけで、200年間、化石燃料への依存を断ち切ることができると述べている。
A new model described in @ScienceAdvances predicts Earth’s subsurface may store vast amounts of hydrogen. https://t.co/dnDAk2Unv2 pic.twitter.com/eP7sYuvNqE
— Science Magazine (@ScienceMagazine) December 13, 2024
生成され、貯蔵され、失われる水素の量を計算
そもそも水素は岩石内の化学反応、最も単純なのは、水が水素と酸素に分解される化学反応によって生成される。
しかし最近まで研究者らは、水素が地表下に蓄積されていることに気づいていなかったという。
ところが西アフリカで水素の巨大な貯蔵庫が発見され、その後アルバニアのクロム鉱山で別の水素が発見されてから、地球の貯留層に水素が蓄積していることが明らかにされた。
そこで今回、研究者たちは地球内部の水素量を推定するために、地下でガスが生成される速度や、貯留層に閉じ込められる可能性のある量、岩石から漏れ出して大気中に放出される水素の量を計算したモデルを使用したという。
その結果、予想以上に水素が蓄積されていることが判明した。今回の研究論文の主執筆者で、アメリカ地質調査所(USGS)の石油地球化学者であるジェフリー・エリス氏も、「予想していたよりも結果が大きくて驚きました。重要なのは、地下には大量の水素があるということです」と述べている。
エリス氏によれば、モデルでは地下に10億トンから10兆トンの水素が存在する可能性が示されたが、これらの結果には大きな不確実性があることに注意する必要があるという。
またモデルの仮定に基づく、最も可能性の高い水素の量は6.2兆トンだったとされている。
水素貯蔵量のわずか2%で数百年
水素は今では、車両に燃料を供給し、産業プロセスに動力を与え、電力を生成することができるクリーンエネルギー源となっている。
ただ今回の研究でも、水素が眠っている場所が特定されたわけではない。また水素は、抽出するのが難しい深い場所や沖合、または経済的利益に見合わない埋蔵量の少ない場所に眠っている可能性もある。
しかしエリス氏によれば、研究で発見された水素貯蔵量のわずか2%、つまり1240億トンに相当する量だけで、「数百年にわたって(炭素排出量の)ネットゼロを達成するために、必要なすべての水素を供給できる」という。(了)
出典元:Livescience:Just a fraction of the hydrogen hidden beneath Earth’s surface could power Earth for 200 years, scientists find(12/13)
Source: Switch News