2024
12.11

イスラエル軍がシリアの領土に侵攻、100回以上の空爆も実施

国際ニュースまとめ

イスラエル軍がシリアの領土に侵攻、100回以上の空爆も実施

先日、シリアのアサド政権が崩壊したが、その後イスラエル軍はシリアへ進軍し、領土を占領した。

 

ゴラン高原の緩衝地帯を占領

 

イスラエル軍は12月8日、シリアの反政府勢力により、アサド政権が崩壊した後、シリア領内へ進軍した。

 

イスラエルのネタニヤフ首相は8日、テロの脅威を防ぐため、軍に対し、ゴラン高原とシリアとの間の緩衝地帯と、シリア政府軍が撤退した指揮所に侵攻するよう命じたという。

 

ゴラン高原は、シリアの首都ダマスカスの南西に位置し、イスラエルは1967年の戦闘でシリアから高原の大部分を奪い、1981年に一方的に併合。国際的には承認されていないが、2019年にトランプ政権が単独で認めたという。

 

ネタニヤフ首相は9日、記者団に対し「占領したゴラン高原は、永遠にイスラエルの所有となる」と述べたという。

 

カタールやイラク、サウジアラビアが非難

 

カタールやイラク、サウジアラビアは、イスラエル軍の進軍を非難。カタール外務省は12月9日、イスラエルの行動について「シリアの主権と統一に対する露骨な攻撃であり、国際法の甚だしい違反とみなしている」と述べた。

 

またサウジアラビア外務省も9日、「イスラエルが国際法の規則を継続的に違反し、シリアが安定して領土保全を回復する機会を妨害する意図を裏付けるものだ」と非難。またゴラン高原は、アラブの領土であると強調し、国際社会にイスラエルの作戦を非難するよう求めたという。

 

イラク外務省も声明で、シリアの主権と保全を維持することの重要性を強調し、「国連安全保障理事会が責任を果たし、この侵略を非難し、これに終止符を打つよう求める」と述べた。

 

国連のグテーレス事務総長の報道官であるステファン・ドゥジャリック氏も、イスラエル軍のシリア領の占領を非難。「この動きは、イスラエルとシリアとの間の1974年の撤退協定の違反に当たる」と述べたという。

 

シリア全土に100回以上の空爆

 

しかもイスラエルは地上侵攻以外にも、アサド政権崩壊以来、シリア全土の標的を爆撃している。

 

ロイター通信によれば、イスラエル軍は9日にも、シリアの首都・ダマスカス、ホムス、カミシュリー近郊にある空軍基地、3カ所を爆撃したという。

 

また、イスラエル軍はシリアの沿岸都市・ラタキアの軍事施設にも攻撃を開始したそうだ。さらにシリアにある化学兵器の製造施設も、空爆したと報じられている。

 

イスラエル側はこれらの攻撃について、シリア政府軍の装備が反政府勢力の手に渡らないようにするためだと述べているが、イギリスに拠点を置く「シリア人権監視団」によれば、イスラエル軍は9日、シリア全土の軍事施設に100回以上の空爆を行ったという。

 

イスラエル軍は12月10日も、ガザ地区南部や中部を攻撃しており、少なくとも13人のパレスチナ人が殺害された。(了)

 

出典元:Aljazeera:Qatar, Saudi Arabia, Iraq condemn Israel’s ‘dangerous’ land grab in Syria(12/9)

Source: Switch News