2024
11.27

交通違反切符の「基準」、黒塗りの開示を原告が東京都に求める【レイシャルプロファイリング訴訟】

国際ニュースまとめ

第4回口頭弁論の終了後、報告会を開いた原告と弁護団第4回口頭弁論の終了後、報告会を開いた原告と弁護団

肌の色や「外国人風」の見た目などを理由に人種差別的で違法な職務質問を繰り返し受けたとして、外国出身の3人が国、東京都、愛知県の三者を相手取り損害賠償などを求めている裁判の第4回口頭弁論が11月26日、東京地裁(岡田幸人裁判長)であった。

被告の東京都はこれまでに、原告の一人であるアフリカ系アメリカ人のシェルトンさんが2021年、バイクに乗っていた時におこなった職務質問の理由について、交通違反があったからだと主張。これに対し原告側は、シェルトンさんは交通違反をした時に交付される違反切符を切られていないと反論していた。

原告弁護団によると、都は、交通違反があっても切符を切らない場合があると主張し、交通違反の取り締まり基準に関する資料を証拠として提出した。

だが、都が提出したのは「基準」を説明する部分が黒塗りになった資料だった。そのため、原告側は現状では「議論ができない」として、黒塗り部分を開示するよう求めた。

被告の東京都が提出した交通違反の取り締まり基準に関する文書。基準を示す部分が黒塗りになっている被告の東京都が提出した交通違反の取り締まり基準に関する文書。基準を示す部分が黒塗りになっている

また東京都は、警察官に対して「人権研修」をおこなっている証拠として、研修科目のリストを提出している。原告側は、このリストでは外国ルーツの人に対して差別しないよう教育しているかは分からないとして、研修の具体的な内容を明らかにすることも求めた。

警察などの法執行機関が、「人種」や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることは「レイシャルプロファイリング(Racial Profiling)」と呼ばれる。

原告側は、3人が受けた職務質問は「人種」や「外国人風」の見た目などを理由としており、法の下の平等(14条1項)や幸福追求権(13条)を保障する憲法に加え、人種差別撤廃条約や自由権規約にも違反すると主張。

国などに対して原告一人当たり330万円の損害賠償の支払い(弁護士費用30万円を含める)のほか、レイシャルプロファイリングによる差別的な職務質問の運用の存在とその運用が違法だと認めること、国には差別的な職務質問をしないよう都道府県警察を指揮監督する義務があることの確認を求めている。

【原告の訴えの詳細はこちら⬇︎】
「外国人ふう」で職質70回以上と訴え。レイシャルプロファイリング訴訟始まる。被告の国など争う姿勢

一方、東京都と愛知県は原告らに職務質問をしたことは認めるものの、外国ルーツだからではなく、不審点や交通違反があったからだと主張し、違法ではないと反論。

国は指揮監督の義務について、「個々の警察官はもとより、都道府県警察に対して、個々の職務質問の職権行使の適否について指揮監督する権限を持たない」などとして、請求の棄却や却下を求めている。

閉廷後、原告と弁護団は報告会を開いた。シェルトンさんは、「この闘いを始めることにためらいはありませんでした。この問題に関して、諦めることは絶対にありません。なぜなら私は間違っていないと分かっているからです」と、集まった支援者らに語った。

原告の一人で、現在は日本国籍を取得しているパキスタン出身のゼインさんは、「裁判を通じて、子どもたちや多くの人が、自分と同じ思いをすることをできる限り止めたい」と訴えた。

次回期日は2025年2月28日の予定。

(取材・執筆=國﨑万智@machiruda0702.bsky.social

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Source: HuffPost