11.22
国際刑事裁判所がネタニヤフ首相らに逮捕状を発行、ガザ地区での戦争犯罪容疑
国際刑事裁判所(ICC)は11月21日、ガザ地区で戦争犯罪を行った容疑で、イスラエルのネタニヤフ首相らに対し、逮捕状を発行した。
「殺人や迫害、戦争の武器として飢餓を利用」
国際刑事裁判所は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨアブ・ガラント前国防相、「ハマス」軍事指導者であるモハメド・デイフ氏に対し、ガザ地区での戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行した。
ICCの判事らは、ネタニヤフ首相とガラント氏が「ガザ地区の民間人に対する広範かつ組織的な攻撃」において、殺人や迫害、戦争の武器として飢餓を利用するという行為について刑事責任を負っていると信じるに足る十分な根拠があると述べたという。
さらに、ガザ地区の封鎖と食料や水、電気、燃料、医薬品の不足が、民間人に打撃を与えることを意図する生活状況を作り出したと見なす、十分な根拠もあると指摘したそうだ。
ICCのカーン主任検察官は、ICCの設立条約である「ローマ規程」を締約する加盟国に対し、ICCの命令を尊重するよう要請し、「ローマ規程」を締約していない国にも協力を呼びかけた。
これによりネタニヤフ首相とギャラント氏は、「ローマ規程」に署名した124カ国のいずれかに渡航すると逮捕される恐れがある。
民主主義国家および西側諸国の指導者が、ICCに起訴されるのは初めてであり、これは同裁判所の22年の歴史の中で最も重大な判断と考えられている。
ネタニヤフ首相は反発
一方、イスラエルのネタニヤフ首相の事務所は、声明を発表し、ICCの決定を「反ユダヤ的」だと非難。「イスラエルは、偏見と差別のある政治機関である国際刑事裁判所の虚偽で不合理な告発を完全に拒否する。イスラエルがガザ地区で行っている戦争ほど、正義にかなう戦争はない」と述べたという。
アメリカの国家安全保障会議は、国際刑事裁判所の決定を「根本的に」拒否する声明を発表した。
一方、この逮捕状発行は、人権団体から広く歓迎された。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の国際司法副ディレクター、バルキース・ジャラー氏は、逮捕状は特定の個人が法の適用外であるという「認識を打ち破る」ものだと述べたという。
ただネタニヤフ政権は、アメリカの次期大統領であるトランプ氏からの強力な支援が期待できると考えられている。
トランプ氏は2020年の最初の任期中、ICCがアフガニスタンでのアメリカ軍の作戦行動を調査したため、裁判所関係者とその家族を標的とした制裁を科したそうだ。(了)
出典元:The Guardian:ICC issues arrest warrant for Benjamin Netanyahu for alleged Gaza war crimes(11/21)
Source: Switch News