07.06
エアコンは家庭の電力消費で最大⇨効果的な「省エネ術」がこれだ。本格的な猛暑を前に知っておきたいこと
世界各地で猛暑や豪雨など様々な気象災害が報告されています。その要因のひとつはCO2を主とする温室効果ガスによる地球温暖化で、各国政府や産業界などが抑制のための「脱炭素(カーボンニュートラル)」対策に取り組んでいます。
現在、エネルギーの基本となる電力の多くは化石燃料によってつくられており、省エネ(省エネルギー)対策は、温暖化を抑えるための行動につながります。
本格的な猛暑の訪れを前に、効果的な「エアコン省エネ術」をダイキンコーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんに紹介して頂きました。
エアコンは家庭の電力消費で最大
2022年度の温室効果ガスインベントリオフィスによる調査では、日本の一人あたりのCO2排出量は電気が47.2%(約1838kg)と最も多くなっています。そのうちエアコンが占める割合は、どの程度なのでしょうか。
「夏の時期、家庭で使われる一日の電力のうち、半分以上を占めるのはエアコン、冷蔵庫、照明です。中でもエアコンの消費電力量は大きく、全体の3割以上を占めていると言われています(経済産業省資料より)。
また、特に夏の消費電力のピークとなる日中の14時頃では、家庭で消費する電力のうちでエアコンが占める割合が約6割に達するという推計もあります」(重政さん)
エアコンの消費電力がそれだけ大きなものだという理解は、きちんとなされているのでしょうか。
「以前にダイキンが行った生活者の意識調査では、多くの人が家庭の消費電力に占めるエアコンの割合の大きさは認識されていました。
一方で、ピーク時にはその割合が5~6割にまで達する場合があることはあまり知られていない結果となりました。
夏の日中(14時頃)のエアコンの消費電力の割合を『5~6割程度』と回答した人は1割強(約13%)で、8割以上の人は、エアコンの消費電力を少なく見積もっている可能性がうかがえます。
とはいえ、昨今の電気代上昇などにともなって、多くの人が節電の工夫に取り組んでいらっしゃると思います。節電は、電気代削減だけでなくCO2削減にもつながります。ぜひ、効果的な節電に取り組んでいただけたらと思っています。
ただ、猛暑日が増加傾向にある中で過度にエアコンの使用を控えると、熱中症のリスクが高まってしまいます。ご自身の健康的な暮らしのためにも、効果的な節電を意識しつつ無理せず適切なエアコンの使用を心がけましょう」(重政さん)
エアコン冷房の効果的な節電術を実験で検証
エアコンの冷房時、節電のためにと思って取り組んでいる工夫が、実は逆効果になってしまう場合もあります。
そこで、ダイキンは節電方法として誤解されやすいケースについて、効果的な省エネ法を検証しました。ただし、「調査結果はあくまでもひとつの目安です。住環境や気温などによって結果は変わります」とのことです。
検証1/風量設定=「風量:自動」の方が節電に
エアコン冷房の風量設定「弱」と「自動」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測しました。
その結果は風量「弱」が3.85kWh、「自動」が2.79kWhで、風量「自動」の方が約3割少なくなりました。1ヵ月換算の電気料金では、風量「自動」は「弱」と比べて約990円の差になります。
「吹出口からの気流が弱い風量『弱』の方が節電につながりそうに思えますが、風量『弱』では室内機の中で冷たくなった熱交換器を通過する空気の量が減り、部屋の中を涼しくするのに時間がかかるからです」(重政さん)
検証2/風向設定=「風向:水平」の方が節電に
エアコン冷房の風向設定「ななめ下」と「水平」それぞれで、日中11時間(8:00~19:00)つけっぱなしにして消費電力量を計測しました。
「ななめ下」が3.76kWh、「水平」が2.77kWhで、風向「水平」の方が消費電力量が約3割少ないという結果になりました。1ヵ月換算の電気料金では、風向「水平」は「ななめ下」と比べて約930円の差になります。
「冷たい空気は重いので床付近にたまり、温かい空気は天井にたまる性質があります。
一般的なエアコンは、高い位置にある室内機内部の温度センサーで室温を判断します。天井に暖気がたまっていると、床付近が十分涼しくなっていても、エアコンはさらに部屋を涼しくしようと必要以上に運転してしまいます。
人がいる場所に冷たい風を直接送る『ななめ下』の方が節電につながりそうに思えますが、室内の温度ムラを抑えることを意識してみてください。
風向を『水平』にすると冷たい風が天井付近から床方向に自然に下りていくので、余計な電力消費を抑えながら部屋全体を涼しくすることができます」(重政さん)
検証3/設定温度を下げるか、風量を上げるか
エアコン冷房を使っていても暑く感じることがある真夏の日中(13時~15時)、設定温度を1℃下げるのと、風量設定を「強」にするのとではどちらが節電になるのか、消費電力量を計測してみました。
設定温度を「1℃下げる」と1.13kWh、風量「強」にすると0.52kWhで、風量「強」は設定温度を「1℃下げる」場合と比べて消費電力量が約半分になりました。
「エアコンは設定温度を下げたとき、室内の空気中からより多くの熱を集めるために圧縮機の運転を強めます。風量を『強』にすると室内機のファンの音が大きくなって電気をたくさん使っているように感じますが、ファンが使う電力は圧縮機が消費する電力と比べるとわずかです。
人間の体感温度は室温だけでなく、湿度や気流によっても変化します。室温を下げる代わりに風量を強くすることで体感温度が下がり、涼しく感じられるのです」(重政さん)
今後、平均的な電力使用量の家庭では月に1000円から1500円程度の負担増が見込まれています。この夏はより一層の節電が求められそうです。
電気代の節約は温室効果ガスの排出削減も意味しています。ご紹介したようなエアコンの省エネ対策を実践して、電気代と温暖化への影響を抑えながら、猛暑が予報される夏を賢く乗り切りましょう。
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Source: HuffPost