05.16
<北朝鮮内部>中国元の実勢レートが急騰 ウォンは年初より42.8%も下落 外貨は使っただけで全額没収と中央警察が通達
今年に入ってから、北朝鮮市中の中国元の実勢交換レートが40%以上急騰した。当局が個人の外貨使用を厳しく取り締まったため元の流通量が減少したことに加え、貿易会社が輸入のために元キャッシュの調達を急いでいることが原因とみられる。また4月末には中央の社会安全省(警察庁に相当)名義で、個人と企業が外貨を使用した場合、全額没収するという強い警告が通知されたという。(チョン・ソンジュン/カン・ジウォン)
◆個人も企業も外貨使用時は没収
北部地域に住むアジアプレスの取材協力者は4月末、「個人が持っているすべての外貨を自主的に販売するよう社会安全省名義の指示が下った。個人も企業も外貨を使用したら、すべて強制的に没収すると通達だ」と伝えてきた。国営銀行では外貨を市中相場よりかなり安いレートで買い入れている。
このような指示や統制は以前からあったが、中央省庁の社会安全省が直接的に強制没収にまで明言して外貨使用禁止を通達した例は珍しい。この通達に動揺する住民もいるとして、協力者は次のように言う。
「あまりに取り締まりが激しいので、(外貨を)売りに出す人もいますが、朝鮮のお金は信用できないからと、まだ保持しようとする人もいる。市場でも中国のお金は知り合い同士の間でこっそり使っている」
◆なぜ中国元は急騰したのか?
複数の協力者の調査によると、4月最終週の1人民元の市場為替レートは1800ウォンである。1260ウォンだった今年1月第1週に比べ42.86%上昇した。同じ期間、米ドルは世界的なドル高にもかかわらず、6.5%しか上昇しなかった(1ドル=8450ウォンから9000ウォン)。中国元と比べて大きな不均衡を示しているが、その理由ははっきりしない。
※北朝鮮1000ウォンは約16円。
中国元の上昇理由について、協力者は次のように説明する。
「貿易会社は中国との貿易を進めたいのだが、鉱物や水産物は(国連安全保障理事会の制裁で)輸出できないため、輸入はすべて(外貨の)現金で支払わなければならない。貿易会社がとにかく中国元を求めているため、交換レートがどんどん上昇している」
韓国の統計庁が発表した北朝鮮対外貿易動向報告によると、2021年度の北朝鮮の貿易高の96.7%は中国が占めている。中国との貿易が再開される中、貿易会社が中国元の確保を急いでいることが急騰の原因だというわけだ。
アジアプレスは2017年5月以降、内部の取材協力者を通じて北朝鮮国内の主要物価と実勢為替レートを毎週調査して公開している。
※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮国内に搬入し連絡を取り合っている。
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Source: アジアプレス・ネットワーク