10.05
スティーブ・ジョブズさんが愛した川瀬巴水の浮世絵がこれだ。没後11年で振り返る【画像集】
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズさんが膵臓がんで亡くなってから、10月5日で11年となる。亡くなる3カ月前、娘のリサ・ブレナン・ジョブズさんは病床の父を訪ねた。回顧録「Small Fry」の中で、部屋にはジョブズさんが愛好していた川瀬巴水(かわせ・はすい)の絵が飾ってあったと明かしている。
■「新版画」の旗手だった川瀬巴水とは?
川瀬巴水は1883年(明治16年)に東京に生まれた。27歳のときに日本画家の鏑木清方(かぶらき・きよかた)に師事し、2年後に「巴水」の画号が与えられたという。
大正・昭和期に浮世絵のニューウェーブ「新版画」の旗手として抒情あふれる風景画を数多く残した。
2021年に企画展をしたSOMPO美術館の資料によると、彫りと摺りの高度な技術に支えられた作品群は国内外で高く評価された。主なマーケットだったアメリカでの評判は1930年代半ばに頂点に達し、戦後も進駐軍が海外のお土産として買い集めるほどだった。
■10代にして巴水にハマったジョブズさん
NHKニュースによると、ジョブズさんは10代のころ、友人の家に飾ってあった川瀬巴水の浮世絵に熱中。「版画を分けてほしい」と友人の母に訴えるほどだった。アップル創業後、東京の画廊で川瀬巴水の作品をたびたび購入した。佐伯健太郎記者の調査では計25点がリストアップされている。
Mac、iPhone、iPadなどを続々と世に送り出して、コンピューターの世界に革命を起こしたジョブズさん。その美的感覚は浮世絵を通して培われたのかもしれない。
■国会図書館のアーカイブから5点を紹介
今回、国立国会図書館のデジタルコレクションから、ジョブズさんが収集したのと同じ5作品を紹介しよう。
群馬県の法師温泉の大浴場にゆったりと入る男性や、山梨県の山中湖畔で朝焼けに赤く染まる富士山など、美しい日本の光景が叙情的に描かれている。
01.「明石町の雨後」(1928・昭和3年)
02.「市川の晩秋」(1930・昭和5年)
03.「山中湖の暁」(1931・昭和6年)
04.「上州法師温泉」(1933年・昭和8年)
05.「京都清水寺」(1933・昭和8年)
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Source: HuffPost