08.16
“災害レベル”の感染拡大で「医療崩壊」。京大病院など14の医療機関が真っ赤な声明で訴えた「救える命が救えない」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、重症患者を受け入れている京都の医療機関の病院長らが連名で共同声明を発表した。
3年ぶりに「行動制限がない」盆休みを迎えていることについて、「見かけ上は日常が回復しているように見えますが、その裏では感染拡大が災害レベルに達して」おり、「医療崩壊が同時に存在している」として強い危機感を露わにした。
真っ赤な背景の文書4枚を並べ、強いインパクトのあるビジュアルとなっている。声明は8月15日付で、名を連ねた各医療機関の公式サイトに掲載された。
「救急医療はすでに崩壊」
「災害レベルに達した新型コロナ第7波についてー重症患者受け入れ医療機関からのお願いー」と題する文書は、新型コロナの重症患者を受け入れる京都府内の14の医療機関と京都府医師会が連名で発表した。京都大学医学部附属病院や京都市立病院、京都第一・第二赤十字病院などが名を連ねる。
声明では、感染拡大が「災害レベル」に達していると指摘。「新型コロナウイルス感染症用に確保している病床は京都府においては実質的に飽和状態になっており、どの病院もすぐに受け入れることができない状況となっています」として、医療現場がひっ迫する現状を訴えている。
「救急医療はすでに崩壊といってよい状況」「救えるはずの命が救えない」と畳み掛けた。
2022年は、新型コロナの流行以降、3年ぶりに行動制限のない盆休みとなった。全国各地の公共交通機関や観光地などで人が溢れ、混雑する様子が報じられた。
共同声明では、「『行動制限がない』ということは、『行動を拡大しても、感染しない』ということでは決してありません。人の集まるところには感染のリスクがあふれています」として、不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。
「単なる風邪ではありません」
第7波の感染拡大の主流になっているオミクロン株BA.5の特徴についても言及。感染力が極めて高いことや、感染時の症状が軽症でも、若い人を中心にその後様々な後遺症で苦しんでいる人もいると説明した。
新型コロナは「決して単なる風邪のような病気ではありません」と強調し、マスクを外したままでの会話を避けることや、他人との距離が近い公共スペースではマスク着用を心掛けるよう求めた。
その上で、マスクだけでは完全に感染を防ぐことはできないとして、定期的に換気を行うことも必要だとしている。
政府の発表によると、新型コロナワクチンの3回目の接種率は63.7%(8月15日時点)。共同声明では、重症化を防ぎ、感染を広めないためにも3回目のワクチン接種を受けるよう求めた。
京大病院などは、1年前の8月にも同様の「真っ赤な声明文」を公開し、新型コロナの感染拡大に伴う医療危機を訴えていた。
♢ ♢
今回の共同声明で名を連ねた14の医療機関(病院長)・医師会(会長)は以下のとおり。
【新型コロナウイルス感染症重症患者 受入医療機関】
京都大学医学部附属病院 病院長 宮本 享
京都府立医科大学附属病院 病院長 夜久 均
京都第一赤十字病院 病院長 池田栄人
京都第二赤十字病院 病院長 小林 裕
京都医療センター 病院長 小池 薫
宇治徳洲会病院 病院長 末吉 敦
京都市立病院 病院長 黒田啓史
京都桂病院 病院長 若園𠮷裕
康生会武田病院 病院長 武田 純
医仁会武田総合病院 病院長 三森経世
洛和会音羽病院 病院長 神谷 亨
三菱京都病院 病院長 小野晋司
京都岡本記念病院 病院長 髙木敏貴
【京都府医師会】 会長 松井道宣
Source: HuffPost