06.19
黙っていても政治は私たちに近づいてこない。「U30のための政策討論会」が必要な理由
若者の投票率の低さは、20年以上問題となっているのにも関わらず、なかなか上昇の兆しが見えません。
私自身も3年前に「NO YOUTH NO JAPAN」を立ち上げて、少しでも若い世代を取り巻く環境や情報に違いをつくり、改善に繋げたい・・・と活動をしていますが、魔法の薬は見つかっていません。そもそも複合的な要因が絡み合って今の状況があるので何か一つで変わるものでもないですよね。
それでもヒントが欲しくて、投票に行ったことがない人に話を聞いていると、
「どこに投票したらいいか分からない」
「どこに入れても同じだと思う、正解が分からない」
「詳しくない私が行くより、わかっている人たちで決めてくれている方が安心できる」
「特段、政党も候補者も知らない」
…といった言葉が出てきます。
本来「投票」に正しい答えがあるわけではありません。自分の価値判断で意思表示していいものなのに、なかなか「こっちが良さそう」というこだわりが持てない。こだわりが持てないから、自分の意思表示をする必要も感じなくて、投票に行きたいとも思わないーーといった状況が生まれているのかなと感じています。
若い世代だけじゃない。きっと今投票に行っている人たちも、政党の違いを聞かれて自信を持って答えられる人はそんなに多くないかもしれません。
投票に「正解」はない。だから自分が乗る「船」は自分で選びたい。
私自身も振り返ってみると、6年前の参院選、18歳ではじめて投票した時、正直どこに入れたか覚えていないし、きっと政党の違いなどもそこまでピンときていなかったと思います。ただ親に朝起こされて投票に行って、その時の直感で入れたのが初めての選挙だった気がします。
社会課題への関心が政治にリンクしていることや、政党によって目指している方向や価値観が全然違うことを知って、だんだん投票先選びが楽しいものになってきました。
少しでも選挙を楽しむU30世代が増えたらいいなと思い、選挙報道にU30の視点を入れていこうとハフポストとはじめた「選挙アップデートforU30」企画。
7月10日に予定されている参院選投開票を前に、10代、20代の若者が参院に複数の議席を持つ7政党の政治家と同じ目線で対話するイベントを開催します。
2021年の衆院選で、はじめて「U30のための政策討論ライブ」を行いました。前回はオンライン討論会でしたが、今回はコロナの状況をみて、リアル開催ができそうです。
では、今回の参院選(7月10日投開票)に向けて「どんなことにチャレンジしてみたいか?」と考えたとき、やっぱり政党の持つ理念や価値観の違いを知り、自分のスタンスを持つための情報を提供していきたいと思いました。
どんな日本にしたいのか?
今の日本社会の何が課題で、何を変えていけば希望が持てると考えているのか?
…という、政党ごとの違いが分かるようになってくれば、自分はどの船に乗ってみたいか、意見が持てるようになると考えています。
「めちゃくちゃ応援したい!」政党がない…もしかして、私たちの不安・モヤモヤは伝わってない…?
今回、事前に各政党党首・幹部へのインタビューを私が行わせていただきました。
この数年、分かりやすい政策比較表がウェブ上ではたくさん公開されていて、すごく投票先が選びやすくなっていると思います。ただ、それぞれの政党がどこに向かっているのか?といった大きな社会像やグランドビジョンが見えづらいという課題も感じていたので、じっくり各政党のお話を聞けたことはすごく良かったです。
読み比べてみると、政党のカラーが良くわかる内容になっていると思うので、ぜひご覧ください。
お忙しい党首・幹部の方々の時間をいただき、
・どんな日本をつくりたいのか?
・今のU30が置かれている状況をどう分析しているか?
・政治に何ができるのか?
というお話を伺ってきました。
7政党のインタビューを終えて一番思ったこと。
それは、「もしかして、私たちが抱えている日本社会・政治への諦めの気持ちとか漠然とした将来不安、希望が持てない感覚とか、伝わってない…?」ということ。
日本が経済成長していた時代を実際に体感していて、これからもそんなことを期待している感覚。
男性や高齢者が多くを占める国会の様子を気持ち悪いと感じずに慣れきっていて、「今どうにかしなきゃ」と思っていない様子。
20代と50、60代では、婚姻制度や社会環境の話をする時、この「3年」「5年」「10年」がいかに重要か、という感覚が共有できないのではないか…。
50年後を自分が生きる社会として想像しているか、次の世代の時代と想定しているか…。
なんだか、すごく自分たちの感覚との溝を感じました。
正直な感想としては、「めちゃくちゃこの政党を応援したい!!!!」と思った政党はなく、程度の差はあれ “推したいポイント” と “惜しいポイント” があって、妥協点を考えながら選択していくしかないのかなというものでした。
どの政党も「少子化が問題」というわりには、私たちが希望を持って暮らせる社会への道筋は見えない…。「100%推せる政党は、自分で作るしかないのかな」という気持ちになって終わりました。
主要政党党首・幹部への取材を経て全政党をレビューしてみる記事は、この後書いてみたいと思います。
若者の投票率の低さや、各党の若者への得票戦略について話を聞いたとき、どの政党も確信がないように見えました。
「こういう若い人たちに自分たちの政党に参加してほしい」「こんな若い人たちが自分たちに投票してほしい」という具体的な姿をイメージしている回答が少なかったというか…。
若い世代の投票率は低いけれど、若い世代が「今が十分満足」「今のままでいい」と思っている訳ではないように思います。
「自分がまずしっかり生きる」のに必死で、政治や社会に関心を持つ余裕が持てない。格差が広がっていく中で日本社会が「社会」として成り立つのかな?という不安。
大金持ちになりたい訳じゃない、普通に働けば普通に暮らせるようになりたいだけ。
早く選択的夫婦別姓、同性婚ができるようになってほしい。「自分の意志で選択できる社会がいい」という普通の願い。
「年金もらえるのかな?」という将来不安。高齢者を切り捨てたい訳でもなくて、「自分たちも安心して老後を楽しみにできる社会がいい」という感覚。
どうせ自分が何か言ったところで、誰も聞いてくれないでしょ?変わらないでしょ?という諦め。
戦争する国には絶対にしたくないけれど、そのためにはどうしたらいい? 政党の主張はお互いに仮想敵を設定していて、双方が双方の批判をベースに議論を展開していて噛み合っていない感じ。
次の世代にできるだけ豊かな自然を残したいし、気候変動の影響もできるだけ少なくしたい、という焦りーー。
任せているだけじゃダメだ。これからどんな日本になることを望んでいて、何をしていくと希望を持てるのか、隣の人の話を聞いて考えて話してアイデアを出して・・・と、もっと自分たちでやっていかなきゃなと実感しました。
分かっていたつもりだけど、政治は黙っててもわたしたちの方に近づいてこないし、だからこそ「私」を主語にした政治の議論をもっと広げていきたいと思いました。
U30によるU30のための政策討論ライブ
U30世代は有権者に占める人口が少なく、投票率も低いから、選挙で掲げる政策のターゲットになりづらい。政治の世界で若者に向けて語られる言葉は少ない。
政治家に問題意識を伝えにいった高校生・大学生に対して、「まだ社会経験も浅いし、もう少し生きてみたら分かるよ」・・・という反応。
こんな社会では、「自分が社会を変えられる」なんて思えなくて当然じゃないかと思います。
参議院議員選挙に立候補できるのは30歳から。被選挙権が私たちの世代にない中で、今できることは何か?
一つとして、「U30によるU30のための政策討論の場」をつくることだと思っています。
自分たちの視点で気になっていることを、自分たちの世代が今後抱えていく課題を、どういう風に考えていますか?と投げかける。私たちは私たちで投票先を決める基準を持ってもいいし、自分たちで判断してみる。
私がファシリテーターとして、各政党の皆さんに質問します。
今できる一つひとつの取り組みから、投票先を考えるための材料を増やしつつ、U30世代が政治・選挙をもっと自分たちのものにするきっかけをつくっていきたいと思っています。
#ハフライブ 参院選特別編「選挙アップデート for U30 #VoteFor2050」
【配信予定日時】
2022年6月20日(月)20時〜21時
【視聴URL】
Twitter
https://twitter.com/i/broadcasts/1ZkKzbAOgrgKv
YouTube
https://youtu.be/VhED0klN5t8
【Twitterハッシュタグ】
「 #ハフライブ 」「 #VoteFor2050」※ご意見・感想をお寄せください
【出演ゲスト】
自由民主党:鈴木憲和さん(党青年局長代理、衆議院議員)
公明党:平木大作さん(党広報委員長、参議院議員)
立憲民主党:落合貴之さん(党政務調査会副会長、衆議院議員)
日本維新の会:藤田文武さん(党幹事長、衆議院議員)
国民民主党:玉木雄一郎さん(党代表、衆議院議員)
日本共産党:吉良佳子さん(青年・学生委員会責任者、参議院議員)
れいわ新選組:大石晃子さん(党政策審議会長、衆議院議員)
【ファシリテーター】
能條桃子さん(ハフポスト日本版U30社外編集委員 / NO YOUTH NO JAPAN代表理事)
Source: HuffPost