05.30
同性婚裁判・東京1次判決は11月30日。「ただ家族になりたい」原告が最後の思いを伝える
「結婚の自由をすべての人に」裁判の東京第1次訴訟は5月30日に結審し、11月30日に判決が言い渡されることが決まった
この裁判は通称「同性婚裁判」と呼ばれ、30人以上のLGBTQ当事者が、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5カ所・合計6件の裁判で(東京は1次と2次)、法律上の性別が同じふたりの結婚を認めるよう、国に求めている。
なかでも、札幌地裁では2021年3月に「同性間の結婚を認めないのは違憲」という判決が言い渡され、大きな注目を集めた。また、2022年6月20日には大阪地裁で2件目となる判決が予定されている。
東京地裁で30日に開かれた第1次訴訟最終口頭弁論(池原桃子裁判長)では、8人の原告のうち4人が意見陳述に立ち、差別を解消する判断を示してほしいと訴えた。
「希望をもたらす判決を」最後の陳述で訴えたこと
原告のひとり大江千束さんはこの日の意見陳述で、裁判を始めた後、パートナーの小川葉子さんとともに働く職場で批判や嫌がらせを受けたと語った。
その一方で、原告になってよかったと思える出来事もあった。
大江さんは、LGBTQ当事者のための相談員をしている。札幌地裁で「同性婚を認めないのは違憲」という判決が言い渡された後、ひとりの中学生から「同性愛者の自分も、将来結婚ができるかもしれないと思い嬉しくなった」というメッセージがSNSで送られてきたという。
大江さんはその声を紹介して「この裁判は、次世代の希望も担っている。ひとりひとりの当事者に、真っ暗な絶望ではなく明るい希望をもたらす、そんな判決を私たちは望みます」と訴えた。
原告ただしさんも同じように、若い世代のためにも、結婚の平等を実現してほしいと強く願っている。
ただしさんは若い頃、自身が同性愛者であることを肯定できなかったという。意見陳述で「結婚ができないことで将来が思い描けず、自分のことを他の人よりも劣った存在のように感じてきた」と振り返り、「これからの若い人たちには、僕と同じような思いを誰ひとり味わって欲しくない」と語った。
パートナーの西川麻実さんと3人の子育てをしてきた小野春さんは、法的親子関係がない方の親が子どもの入院手続きができない、がんになった時にパートナーの扶養に入れないなど、実際に直面してきた困難を裁判で語ってきた。
今でも「子どもに将来パートナーができた時、相手やその家族に自分達が受け入れてもらえるだろうか」などの不安があるという。意見陳述の最後で「私たちは家族になりたいです。ただそれだけなのです」と訴えた。
パートナーの西川さんも、性的マイノリティが好きな人と家族になれない現状は「不平等ではない、差別はないと言えるのでしょうか、良心に従った公正な判決を心よりお願い申し上げます」と述べた。
判決を知ることのできない原告
判決の内容を知ることができない原告もいる。大江さんらとともに原告になった佐藤郁夫さんは2021年1月、脳出血で倒れ亡くなった。
佐藤さんは裁判で「死ぬまでの間に、パートナーと法律的に結婚したい」と語っていたが、その望みは叶わなかった。また、佐藤さんが倒れた後パートナーのよしさんは病院で家族として扱われず、病状の説明を拒否された。
LGBTQ当事者たちは日々、パートナーと家族として扱われない不安や不平等、尊厳を傷つけられる出来事と隣り合わせで生きている。
結婚の平等はすでに30の国や地域で実現しており、G7で国レベルでの法律上同性のカップルに対する法的保護がないのは日本だけだ。
東京1次訴訟の判決でどのような判断が示されるのか、行方が注目される。
Source: HuffPost