2022
05.08
05.08
力で支えられぬ理想は幻影――高坂正堯『国際政治 恐怖と希望』
著者の高坂正堯(右)は1980年代、中曽根康弘首相の私的諮問機関「平和問題研究会」の座長も務めた ©時事
ロシアによるウクライナ侵略は、これまで積み上げてきた国際社会に生きる国家としての矜持を木端微塵に打ち砕いた。自国のことは自国民が決めるという「自立権」、侵略戦争は認められないというガラス細工のような原理は、むき出しの暴力の行使をいささかも厭わないという大国の権力意志の前に、不意打ちを食らったようにたじろがざるを得なかったのである。
今回の…
Source: Foresight