04.13
<ミャンマー>懲役3年の判決受けた日本育ちの映像作家ダンさん(1) 「民主派支援した」と軍に逮捕、刑務所で再会したが… 北角裕樹
◆インセイン刑務所で再会したダンさん
そして5月4日だったと思うが、私たちの第1回の公判が開かれた。その日が、ダンさんに刑務所であった唯一の機会となった。看守に連れられていくと、刑務所の監視塔の近くで、ダンさんがいるのがわかった。感激し「無事だったのか」と抱き合った。
私と彼はひとつの手錠で手と手がつながれたまま、刑務所の敷地に設置された仮設裁判所まで連行されたのだが、護送車の中などで3時間ほど彼と会話することができた。
その中で分かったことは、彼が凄惨な拷問を受けていたことだ。目隠しされて手を後ろ手に手錠をかけられ、棒で殴られる。彼は仲間を守ろうとしたが、尋問者はそれが気に食わなかったらしく、そのせいで拷問がひどくなったという。彼は調書に書かれていることは話していないと言っていた。
また、彼は自分がサインした調書のことをよく覚えていなかった。何より、彼はミャンマー語を話すことはできるが、読むことはできない。拷問という極限状態の中で、当局のストーリーに合う虚偽の自白調書が作成され、よくわからないままサインさせられてしまったということだ。
そしてこの調書に沿う形で今年3月末、刑法の扇動や虚偽ニュースを禁じる刑法の規定に違反したとして懲役3年の実刑判決が下された。もちろん彼は無罪主張をしていたが、クーデター体制下の裁判所でその主張は無視された。まったく不当な裁判というほかない。一刻も早い釈放を求めたい。(続く)
北角裕樹(きたずみ・ゆうき)
ジャーナリスト、映像作家。1975年東京都生まれ。日本経済新聞記者や大阪市立中学校校長を経て、2014年にミャンマーに移住して取材を始める。短編コメディ映画『一杯のモヒンガー』監督。クーデター後の2021年4月に軍と警察の混成部隊に拘束され、一か月間収監。5月に帰国した。
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Source: アジアプレス・ネットワーク
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