2022
03.14

北朝鮮でもガソリン急騰 年初に比べ1.6倍 ウクライナ事態でどうなる? 経済に痛手

国際ニュースまとめ

鴨緑江の堤防工事に動員された人々。設備とエネルギー難でほとんど手作業だ。平安北道を2021年7月中旬に中国側から撮影アジアプレス

 

北朝鮮でもガソリンとディーゼル油の市場価格が急騰している。

アジアプレスが咸鏡北道(ハムギョンプクド)と両江道(リャンガンド)で調べた3月11日の市場の小売価格は、ガソリンが1キロ当たり12200ウォン(約212.59円)で今年初に比べて1.6倍、軽油は8200ウォン(約142.89円)で、年初に比べて1.8倍に高騰した(なお北朝鮮では燃油価格はキロで計算する)。

アジアプレスが北朝鮮国内で調べた諸物価と実勢為替レートの推移。

 

米ドル、中国元の交換レートが年初から約30%上昇しており、ウォン安の影響も大きいが、昨年秋以来の国際価格の上昇が反映したものだと考えられる。

北朝鮮は3月中旬から田植えや種播きの農繁期を迎え、肥料や人員の輸送が本格化する。燃油の高騰によって農業生産に悪影響が出る可能性がある。

ロシアのウクライナ侵攻も悪材料となるだろう。ロシア対する国際社会の経済制裁よって、エネルギー価格はさらに上昇するだろうし、輸入の90%以上を占める中国産品の価格も上がるだろう。

過剰なコロナ防疫対策で不振を極め、外貨不足に苦しむ北朝鮮経済に、プーチンの戦争の余波が押し寄せるのは避けられないだろう。(カン・ジウォン/石丸次郎
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

Source: アジアプレス・ネットワーク