2021
05.21

コロナ禍で韓国の消費者も我慢が限界、「反日疲れ」が広がった

国際ニュースまとめ

<韓国の中高年を対象のアンケートで、新型コロナの収束後に行きたい観光地として、日本を選んだ人が最も多かった。また、大手百貨店が日本食コーナーの充実を図るなど、韓国の首都圏を中心に「反日離れ」が加速している> 韓国の大手旅行会社、各社が新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えた旅行商品の開発に取り組むなか、大手通販会社のインターパークが、「ポストコロナ」航空券の事前販売を行った。同社が公表した集計結果によると、グアムやベトナムなどの休養地に加えて、日本を選んだ人が多かった。 中高年を対象のアンケートでも新型コロナの収束後に行きたい観光地として、日本を選んだ人が最も多く、また、大手百貨店が日本食コーナーの充実を図るなど、韓国の首都圏を中心に「反日離れ」が加速している。 新型コロナ収束後の旅行予定先、日本も人気 大手通販会社インターパークは今年3月8日、「ポストコロナ」の海外航空券の販売を開始した。海外旅行が公式に可能になる時点から1年間利用できる海外往復航空券だ。新型コロナの収束後には海外旅行需要が急増し、航空券価格が急騰する可能性が高いが、その価格変動の影響を受けずに利用できるという。 同社が公表した3月の購入者は1万2137人で、グアムが34%で最も多く、ベトナムと日本が17%で続いていた。長期間、海外旅行ができないことから、グアムやベトナムなどの休養地を選ぶ人が多いとみられるなか、日本を選んだ人も多かった。 旅行日程は3日が66%で最も多く、5日(19%)、4日(15%)の順で、1人あたり購入数は2枚から4枚が72%を占めており、家族で小旅行を楽しみたいニーズが反映されている。 中高年は訪日観光を望んでいる。中高年の雇用開発を行なっているインパクトピープルズ社が、今年2月18日から3月10日に50歳以上の韓国人を対象に海外旅行先好感度アンケート調査を行った。設問は、最も気に入った国、人生最高の旅行地、コロナ収束後に行きたい海外旅行地で、合わせてベスト写真を募集した。 最も気に入った国は日本が31.8%で最も多く、人生最高の旅行地の1位は大阪で、2位は東京だった。コロナ後に行きたい旅行先でも大阪が1番多く、また東京や沖縄など、日本の観光地を答えた人が17%で最も多かった。ベスト写真は、大阪や福岡などが人気だった。 “選択的不買運動”が始まった昨年6月、大手通販会社が行った調査で、コロナ収束後に行きたい旅行地は東南アジアが60.5%で、豪州をはじめとする大洋州が14.9%など、日本はランク外だった。日本を選ぶ人が増えたのだ。 原発処理水海洋放出決定後も、消費動向の変化はほとんど見られなかった 「反日離れ」は日常生活でも広がっている。今年4月13日、日本政府が福島第一原発の処理水を海洋に放出する方針を発表すると韓国の政府やメディアなどが猛反発したが、日本産食品の流通関係者によると、消費動向の変化はほとんど見られなかった。関係者は韓国政府が「反対のための反対」をしていると話している。 「NO JAPAN」が拡大した19年下期、70%が日本製品不買運動に参加すると述べ、30%が不参加を表明したが、韓国内でシェアが30%を超える一般消費者向け日本ブランドはヤクルトとリンナイ、ユニクロのヒートテックくらいしかない。 ===== 日本ビールの消費量が激減したが、韓国ビール市場で輸入ビールが占める割合は15%程である。日本ブランドを日常的に愛用する人より、不買運動に参加しないと表明した人の方が多かった。 日本製品不買運動が拡大したとき、韓国のデパートやスーパーは、日本製品の取り扱いを中断、あるいは、目につきにくい隅の方に移動した。 コロナ禍も加わり、我慢が限界の消費者に「反日疲れ」が広がった 日本製品は韓国人の生活に潤いをもたらすものが多い。多くの韓国人が日本製品を我慢する一方、日本ブランドを求める人たちは、通販や出前を利用するなど人目を避けて購入したが、最近、消費者の目につきやすい位置に並べる店が増えている。 日本製品を購入する人も増えてきた 南大門市場の輸入雑貨店 撮影:佐々木和義 声を潜めてきた日本好きや日本製品を好む人々が自由な言動をできる状況が戻ってきたのだ。また、「日本に行かない、日本製品を買わない、使わない」我慢にコロナ禍が加わって、我慢が限界に近づいた消費者の「反日疲れ」が広がったのだ。 日頃から反日を掲げる韓国人は決して多いとはいえない。独立運動記念日の3月1日や8月15日の光復節など、年に数回、反日や抗日に同調する程度である。時々、反日行動に参加するだけで、普段は反日や親日とは関係ない生活を送っていたが、不買運動が始まって以降、反日が常態化したその「疲れ」である。 今年4月の市長補選で、反日を掲げて市長選に出馬した候補をはじめ、与党幹部の多くがレクサスに乗っていることが判明した。また、不買運動を扇動した議員や反日団体が日常的に日本料理店を利用していたことが明らかになり、「昼は反日、夜はアサヒビール」と揶揄する声も出た。 今年4月21日、ソウル中央地裁が元慰安婦と遺族20人が日本政府に損害賠償を求め訴訟で、原告の訴えを却下する判断を下し、原告代表の李容洙(イ・ヨンス)さんら12人が控訴をすると表明したが、元慰安婦の吉元玉(キル・ウォノク)さんら8人が控訴しないことが明らかになった。反日団体が主導する訴訟に参加したくないのが趣旨という。 韓国社会の「反日疲れ」は、コロナ禍への「疲れ」も加わり、日本製品不買運動を続けると公言する一方、日本ブランドを購入するという行動となって現れているようだ。

Source:Newsweek
コロナ禍で韓国の消費者も我慢が限界、「反日疲れ」が広がった