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福島の甲状腺検査と甲状腺がんの「ほんとうを知ろう」。11月29日に福島で企画展、専門家と学生のミニ対談も
若年型甲状腺がんに関する調査・研究を行う「若年型甲状腺癌研究会」(JCJTC)は11月29日、福島県郡山市で企画展「甲状腺検査と甲状腺がんのほんとうを知ろう」を開催する。
福島県で2011年10月から行われている「甲状腺検査」を巡っては、放置しても生涯にわたって何の害も出さない病気を見つけてしまう「過剰診断」の被害を生んでいる、という指摘がある。
企画展では、甲状腺検査や甲状腺がんの基本がわかる解説ポスターが掲示されるほか、専門家と地元学生のミニ対談も行われる予定だ。
JCJTCのメンバーで宮城学院女子大学の緑川早苗教授は、「甲状腺がんがたくさん見つかっていることに不安や疑問を感じている人にぜひ来ていただければ」と話している。
11月29日に開かれる企画展のチラシ経緯を振り返る
約1000億円という莫大な予算が配分された福島県の県民健康調査。
その中の一つの甲状腺検査は、県が県立医科大学(福島市)に委託する形で原発事故後の2011年10月から実施されている。
検査の対象は、事故当時18歳以下だった県民ら約38万人。県によると、これまで361人が悪性(悪性疑い)と判定され、303人が手術をした。
一方、福島で多く見つかっている理由は、「原発事故による放射線被ばくの結果ではない」というのが世界的なコンセンサスだ。
科学的で中立な立場から放射線の影響を調査・評価し、毎年の国連総会で結果を報告している「原子力放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)は、「UNSCEAR2020/2021報告書」で「福島で起きた原発事故の放射線被ばく量は、将来にわたって健康影響を及ぼすほどではないレベル」と指摘。
その上で、小児の甲状腺がんの発見については、「放射線被ばくの結果ではなく、むしろ高感度の超音波検査の結果」と言及している。
また、国際がん研究機関(IARC)も2018年、過剰診断の懸念から、「原発事故後であっても甲状腺のスクリーニングを実施することは推奨しない」と発表している。
しかし、県はこれらの国際機関の見解について、検査対象者らに十分説明していない。実際、県の冊子「甲状腺検査のメリット・デメリット」には、「過剰診断」という4文字も使われていない。
そのような状況であるにもかかわらず、県内では学校の授業時間内で検査が行われており、専門家からは「任意性が担保されていない」「人権問題・医学倫理の問題」という指摘が出ている。
JCJTCも6月、県のこのような検査方法は問題だとして、「甲状腺検査を学校の授業時間内に実施しない」など、3点を求める要望書を担当者に手渡した。
過剰診断で被る不利益の可能性企画展の内容は?
企画展を主催するJCJTCの緑川教授は、福島医大に在職中、甲状腺検査の運営や現場の業務に携わり、2015〜18年は甲状腺検査室長を務めた。
今回、福島県民に甲状腺検査と甲状腺がんについて正しい情報を提供し、検査による被害を少しでも減らすことを目的に企画したという。
会場では、「社会学者から甲状腺検査はどう見えているのか」「外科の先生はどんな風に甲状腺検査を見ているのか」、「日常診療でも過剰診断が起こっているのか」など、有識者によるビデオメッセージを閲覧することができる。
検査のあり方を検討する県の有識者会議で委員を務めた甲状腺専門医・髙野徹さん(甲状腺がんの分子病理学)と地元学生との「ミニ対談」が開かれる。また、個室で個別相談も受け付ける。
緑川教授はハフポスト日本版の取材に対し、「県の甲状腺検査は学校で行われており、検査を受けることが“当たり前”のようになっているが、甲状腺超音波検査で甲状腺がんを見つけるという検査は、実は原発事故後であっても勧められない検査」と指摘。
その理由は「過剰診断という大きな不利益が生じてしまうから」だが、「本来は県や福島医大から提供されるべきこのような情報が、検査対象者やその家族にも十分には伝えられていない現状がある」という。
また、企画展については、「検査の対象者である学生や若者、その家族、福島の住民で、甲状腺がんがたくさん見つかっていることに不安や疑問を感じている人にぜひ来てほしい」と話している。
甲状腺検査の結果を相談されることのある福島の医療従事者や、企画展開催日(11月29日)に近隣で開かれる日本甲状腺学会学術集会の参加者にも、「甲状腺検査のことをよく知らないという人はぜひ来ていただければ」と呼びかけた。
Source: HuffPost




