2025
10.09

心臓病の信くん、クラファンで2千万円超集まり来日→手術成功。「応援しているよ」と2500人以上から支援集まる

国際ニュースまとめ

重い心臓病を抱えてミャンマーで生まれた犬井信(いぬい しん)くんを救おうと立ち上げられたクラウドファンディングで、「医療用チャーター便」で日本に搬送するための費用2000万円が集まり、来日が実現。命をつなぐ「スイッチ手術」が成功し、10月9日、入院していた病院を退院した。

父親の犬井智朗さんは、多くの人からの応援に感謝の思いを述べている。

スイッチ手術成功後の信くんスイッチ手術成功後の信くん

先天性心疾患を持って誕生。「信じてるよ」という応援の声から、名前は「信」に

信くんは今年6月27日、ミャンマー東北部に位置するシャン州の州都・タウンジーで、日本人の父親とミャンマー人の母親のもとに誕生。

生まれながら、心臓の大動脈と肺動脈が逆に繋がっている「完全大血管転位症」という先天性心疾患があると診断された。

ミャンマーで生まれた直後の犬井信くんミャンマーで生まれた直後の犬井信くん

タウンジーの病院から、首都ヤンゴンまで酸素を吸いながら14時間かけて移動。ミャンマーでも活動する国際医療NGO「ジャパンハート」の尽力もあり、応急処置として一時的に命をつなぐカテーテル手術を受けることができたが、専門医による根治手術はミャンマー国内では難しく、一刻も早い他国への搬送が必要と判断された。

両親が複数の民間航空会社に信くんの搬送に関して交渉したが、酸素吸入機と点滴を必要とする新生児を移送することは難しいという返答を受けた。

医療レベルの高いタイに陸路で搬送することも考えたが、両国の国境付近には国軍と少数民族武装勢力の戦闘の影響を受けている地域も多く、断念。

酸素吸入機などが必要な新生児を民間機で運ぶことは難しいため、多額の費用がかかるが、「医療用チャーター便」で搬送するのが唯一の道として、7月上旬にクラウドファンディングがスタートした。

信くんが生まれてから、応急処置などに追われ数日は名前がつけられていなかったが、周囲からの「信じてるよ」「きっと大丈夫」という応援の声から、日本名は「信」と名付けられた。

2千人以上の協力で2000万円達成

医療用チャーター便をミャンマーから日本に飛ばす費用、2000万円を目標にクラファンを呼びかけ、2週間足らずで目標を達成。2508人の協力のもと、2183万8000円が集まった。

クラファンページには、寄付に参加した人たちから「どうかどうか、信くんの命が助かりますように。心から応援しています」「小さな命が救われますように」「応援しているよ」と多くの声援が寄せられた。

医療用チャーター機は7月17日夜にミャンマーのヤンゴンを出発し、18日朝に関西国際空港に到着。手術を受ける病院まで救急車で搬送された。

信くんを乗せた医療用チャーター便信くんを乗せた医療用チャーター便
関西国際空港に到着した医療用チャーター便(左)と、同便に乗る信くん(右)関西国際空港に到着した医療用チャーター便(左)と、同便に乗る信くん(右)

入院先の病院では7月末に1回目の手術をし、経過を見た後、9月18日に大血管転位症に対する根治術として行われる「スイッチ手術」を受けた。

手術は成功し、10月9日に退院することができた。

信くんの父親・智朗さんは、「本当にたくさんの方々の祈りとサポートでここまで来ることができました。何度言っても足りることはありませんが、本当にありがとうございます」と感謝の思いを述べている。

智朗さんは社会起業家で、ミャンマー・シャン州で小規模農家の支援など、農業関連の事業を営んでいる。

ハフポストの取材に対し、来日前、信くんの治療でミャンマーの病院に行った際、現地の病院の医療機器の乏しさなど、厳しい現実に直面したと語った。

その経験から、ミャンマーで心臓病の治療にあたる子どもたちのためにも、クラファンで集まった支援金のうち、医療用チャーター便の費用2000万円以外を寄付することを決断したという。

ミャンマーで心臓病の子どもを支援する団体に183万8000円を寄付する予定だ。

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Source: HuffPost