10.05
日本にも4万2千人の「アーニャ」がいる。様々な事情で生みの親と離れて暮らす子ども。SPY×FAMILYから考える「家族のかたち」
大人気シリーズの『SPY×FAMILY』はアニメのSeason 3が10月4日から放送開始し、5日夜には『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が地上波で初めて放送される。
愛らしいキャラクターのアーニャが人気の本作だが、物語の始め、アーニャがフォージャー家に仲間入りする前のシーンを覚えているだろうか。
アーニャはロイド・フォージャーと孤児院(現在の日本では「児童養護施設」という)で出会う前、施設などを転々とし、共に暮らせる家族を待っていた。
日本には今、約4万2000人の「アーニャ」がいる。
虐待や経済的な理由など様々な事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちだ。
SPY×FAMILYのフォージャー家。左からヨル、アーニャ、ロイド。「SPY×FAMILY」、フォージャー家の「家族の形」
SPY×FAMILYのメインキャラクター、フォージャー家の3人に血縁関係はない。
アーニャはとある組織の実験で偶然生み出された、他人の心を読める超能力者。孤児院(児童養護施設)にいたところ、スパイとしてのミッションのために「家族」を必要としていたロイド・フォージャーと出会い、フォージャー家の一員となった。
ロイドの妻となったヨルも、ロイドも、そしてアーニャも、初めて「母親」「父親」「娘」となり、最初は戸惑うこともありつつ、すぐに家族として互いを思いやりながら楽しく暮らし始める。
それぞれ、スパイや殺し屋であること、超能力があることなど、秘密も持ちつつも、家族になっていく姿には、SNSでは「家族って血のつながりだけじゃないもんね」「スパイファミリーみたいな家族憧れる」などの声も寄せられている。
ベネッセコーポレーションが今年、「父の日」に際して実施した「たまひよ 好きなパパランキング」のアニメ・漫画部門では、2年連続でロイド・フォージャーが1位に選ばれていた。
ロイドは養子縁組をしてアーニャを家族に迎え入れている。ランキングに投票した人たちからは「(血縁関係がある)本当の父親ではないが、少しずつ父性が出て家族を大切に思っていく過程などが、父親になるんだなぁ~と感じる」などの声が寄せられた。
日本にも4万2千人いる、「社会的養護下」で暮らす子どもたち
SPY×FAMILYのフォージャー家アーニャはオスタニア(東国)という架空の国に住んでいる設定で、出自についても詳細は明かされていないが、現代の日本でいう「社会的養護下」にある。
社会的養護とは、経済的な理由や、親の入院、虐待など様々な理由で生みの親と共に過ごすことができない子どもたちを、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことを指す。
こども家庭庁によると、日本には現在、社会的養護下にあり、親と離れて暮らす子どもは、約4万2千人いる。
そのうち約8割が乳児院や児童養護施設、約2割弱が里親のもとやファミリーホームで暮らしている。
その割合からも分かるように、日本ではアメリカなど海外諸国と比べ、まだまだ養育里親・養子縁組里親の数が足りていない。
10月4日は「里親の日」。知る「きっかけ」に
アニメ『SPY×FAMILY』Season 3の放送が開始した10月4日は、奇しくも「里親の日」。
10月は「里親月間」に指定されているため、4日を中心に、各地で里親制度に関する様々なイベントなども行われている。
こども家庭庁では、里親制度と特別養子縁組制度を「こどもが温かい家庭環境の中で健やかに育つための制度」とし、情報を発信している。
この2つの制度には、法的な親子関係や行政からの手当などに違いがあるが、どちらも、児童養護施設などで暮らす子どもたちを迎え入れて、「家族」として暮らす制度だ。
政府もYouTubeやウェブサイトのインタビュー記事などで、実際に里親や特別養子縁組で子どもたちと暮らす家族の声を紹介している。
俳優の佐藤浩一さんと妻の亜矢子さんは、乳児院や児童養護施設のこどもたちを週末や休み期間に預かる「フレンドホーム(東京都の制度の名称)」を、5年以上続けていると公表している。
元TBSアナウンサーで現在は姫路市教育長を務める久保田智子さんは、特別養子縁組で子どもを迎えたことを2020年に公表した。
SPY×FAMILYは今シーズンもまた、フォージャー家らしい家族のかたちを見せてくれている中、アーニャたちが、日本で社会的養護下にある子どもたちや、里親、特別養子縁組について考え、知る「きっかけ」になるかもしれない。
Source: HuffPost




