10.05
30分9000円の“超高級ハイヤー”とは?インバウンド富裕層向けに売上急増中。驚きの「車内設備」を聞いた
大和自動車交通とニューステクノロジーが共同で運営する「TOKYO CHAUFFEUR SERVICE(トウキョウ ショーファー サービス)」は、2024年11月7日に始まったプレミアムハイヤーサービスだ。24年11月~25年2月の期間と、25年3月~6月の期間を比較すると、利用者数は約6.7倍に増加している。中でも4月の桜シーズンが最も多く、11月に比べて配車件数は約7.1倍、売上は約9.1倍に急増したという。
単なる送迎ではなく、移動そのものを楽しんでもらうことを大切にしているこのサービス。その狙いについて、大和自動車交通タクシー事業統括部の安部輝さんと、ニューステクノロジーモビリティ本部の本庄哲也さんに話を聞いた。
大和自動車交通タクシー事業統括部の安部輝さん(写真左)、ニューステクノロジーモビリティ本部の本庄哲也さん(写真右)まるで飛行機のファーストクラス空間
高級車「レクサスLM」のドアが開くと、広々としたプライベート空間が広がる。後部座席は独立した2人掛け仕様で、まるで飛行機のファーストクラスのよう。シートにはマッサージ機能が備わり、リクライニングを倒せばフルフラットになる。
24時間利用可能だ
備え付けのスマートフォンでリクライニングを調整できる「レクサスLMはゆっくりと距離を走ると、より魅力を実感できます。特に、サスペンション性能に優れているため、走行中も振動や騒音が気になりません」(安部さん)
車内には大型のモニターが設置されており、NetflixやYouTubeなどを自由に楽しめる。
画像はオンライン会議の様子(イメージ)さらに、ブランケットやアイマスク、スリッパといったアメニティも充実しており、車内で快適に過ごすことができる。
ホームページ記載の基本料金は、アルファードやヴェルファイアは30分または7.5km5700円から。レクサスLMは30分または7.5km9000円からと設定されている。
アメニティのブランケット、アイマスク、スリッパ、スナック類
足元にアメニティとドリンクが用意されている訪日客が過去最高 観光DX時代に求められる“移動体験”
高級ハイヤーサービスが生まれた背景には、インバウンド市場の大きな広がりがある。円安の追い風もあり、訪日客は過去最高ペースで増加。観光庁も観光DXを掲げ、旅行者の利便性向上に取り組んでいる。
一方で、ホテルや旅館では、業界全体としてDX化が進んでいないケースが多く、配車業務においても従来どおりメールや電話で対応しているところが少なくない。そのため、観光業界全体で人手不足が深刻化する中、需要の拡大に現場の管理体制や対応が追いついていないのが現状だ。
「TOKYO CHAUFFEUR SERVICE」は、こうした課題を解決するために誕生した。タクシー広告メディア「GROWTH」を手がけるニューステクノロジーの知見と、大和自動車交通の豊富な実績を組み合わせ、ホテル事業者向けに配車から業務管理までをオンラインで完結できる専用システムを開発。これにより、やり取りの食い違いを防ぎ、ホテル側も安心して効率よくハイヤーを手配できるようになった。
欧米では高品質の配車サービスを利用することがステータス
「TOKYO CHAUFFEUR SERVICE」の主な利用者は、アメリカやヨーロッパ、シンガポールから訪れる富裕層だ。彼らは単に利便性を求めるだけでなく、コンシェルジュや秘書に移動の手配をすべて任せること自体を“ステータス”と考える傾向にあるという。
「日本の公共交通機関は外国人にとって複雑で、自ら移動手段を探すことは難しい。また、日本のタクシーは安全かつサービスの質が高いことで知られますが、車両や多言語対応などの接客にばらつきがあります。こうした課題に対してTOKYO CHAUFFEUR SERVICEは、ホテルでの送迎から観光プランまで一括して手配するサービスを提供しています」(本庄さん)
さらに、レクサスLMやトヨタ・アルファード、ヴェルファイアといった高級車を揃えることで、高品質な移動体験を保証している。加えて、老舗である大和自動車交通の信頼性が、提携するホテルにとって大きな安心材料となった。サービス開始からわずか1年で、ザ・キタノホテル東京をはじめとする10社の高級ホテルとの提携を実現している。
レクサスLMの利用価格は30分または7.5km9000円からプレミアムハイヤーの運転手は700人から選抜された9人のエリートのみ
サービスの質を支えているのは、間違いなく運転手の存在である。彼らは、大和自動車交通の約700人の中から英語力、丁寧な運転技術、そして質の高い接客力を兼ね備えたわずか9人のエリートとして選抜されている。
「選ばれた9人全員がタクシーの教育部署でさらに高度な研修を受けており、ホテルの車寄せへの入り方や空港での出迎え方まで、細部にわたる指導を徹底しています」(安部さん)
さらに、外国人運転手の採用にも積極的だ。例えば、かつてメキシコ大使館で運転手を務めた経歴を持つスタッフはスペイン語はもちろん、英語、日本語、イタリア語も操るマルチリンガルだ。また、フィリピン出身の運転手は日本語、英語、タガログ語を話すことができる。
「多様なバックグラウンドを持つ運転手を採用することで、言葉の壁を越え、より幅広いお客様のニーズに応えられるようになりました。さらに、こうしたきめ細やかなサービスは高額なチップとして評価され、運転手の収入にもつながっています」(安部さん)
サービス開始から約半年で利用者数は約2.3倍に
「TOKYO CHAUFFEUR SERVICE」は利用者のニーズに合わせてサービスが広がっている。スタート当初は空港からホテルへの送迎が中心だったが、今では利用の幅が拡大しているという。
中でも目立つのが、長距離や長時間での利用だ。富士山や箱根などへの送迎は着実に増えており、2024年11月〜25年3月と25年4月〜7月を比べると、利用者数は約2.3倍に伸びている。今後は空間の演出やおもてなしの内容をさらに磨いていく予定だ。
「2025年3月には『ブレインスリープタクシー』というイベントを行い、車内を仮眠できる空間に演出しました。特別なソファや枕を備え、日々忙しく働くビジネスパーソンに仮眠体験を提供するもので、予約枠はすべて埋まるほど好評でした。これからもAIでは代わりのきかない『人の温かさ』や『おもてなし』を大切にしていきたいと思っています」(本庄さん)
「ブレインスリープタクシー」は、ブレインスリープが開発した枕「ブレインスリープ ピロー」を設置し、移動中に質の高い睡眠をとることを目的としたイベント。車内にはリラクゼーションを促す音楽も流れていた(取材・執筆/橋本岬、編集/荘司結有)
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Source: HuffPost




