2025
09.27

「陰謀論的思考」の人の特徴は?ニュースの情報源やSNS、生活への不満との相関とは

国際ニュースまとめ

スマートニュースは9月26日、 人々のメディア接触状況を概観する「スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査)」の結果を公表した

世の中で起きている問題の原因について、不確かな根拠をもとに誰かの陰謀のせいであると決めつける考え方である「陰謀論」について、「生活への不満がある」人に、陰謀論的思考が強い人が多いことが分かった。

また、「新聞を主なニュースの情報源とする」人は陰謀論的思考が弱く、「動画系SNSを主なニュースの情報源とする」人にその思考が強いという傾向が見えた。 

「対立」項目への回答結果「対立」項目への回答結果

調査は2023年に続き2回目。今回は2025年1月〜3月、18歳〜79歳の有権者を対象に郵送で実施した。初期標本の4460に対して回収数は2117(回収率は47.5%)だった。

調査ではまず、労使、ジェンダーなど6つの項目で対立があると感じるかについて聞いた。

「対立がある」と感じた人が多かった項目は、労使ー経営者と労働者(勤労者)の対立(76%)、経済ー豊かな人と貧しい人の対立(68%)、イデオロギーー政治的に保守的な人とリベラルな人の対立(65%)だった。

質問形式が違うため単純比較はできないが、2023年の調査では多い順に、労使ー経営者と労働者(勤労者)の対立(54%)、経済ー豊かな人と貧しい人の対立(50%)、ジェンダーー男性と女性の対立(43%)だった。

遠藤晶久・早稲田大学社会科学総合学術院教授は、2023年と今回の調査結果について、「日本の対立の認識は労使対立や経済対立(貧富)のような経済を巡る対立が主軸であるということは両調査で共通しており、日本の有権者の対立認識の基本パターンといえます」と指摘。それに加えて、「『当事者として感じる対立』で世代対立を選ぶ割合が高く、世代対立認識が有権者の間で広がってきている」とした。

また今回は陰謀論的思考について、初めて調査した。計測する尺度として、以下の5項目を用いた。

・(項目1:極秘の事案)一般の人には決して知らされない、とても重大なことが世界で数多く起きている
・(項目2:隠された動機)政治家はふつう、自分たちの意思決定の本当の動機を教えてはくれない
・(項目3:厳重な監視)政府当局が、すべての市民を厳重に監視している
・(項目4:秘密活動)一見無関係に見える出来事が、実は何者かによる裏工作の結果だと思う
・(項目5:秘密組織)政治的な決定に強い影響力を与える秘密の組織が存在する

日本語版陰謀論的心性質問票・項目ごとの回答割合日本語版陰謀論的心性質問票・項目ごとの回答割合

最も「陰謀論的思考あり」の人が少なかった項目3(厳重な監視)について、陰謀論的思考がある人は、ない人に比べて、「社会的対立」における項目すべてに対して「対立がある」と回答する傾向が多く見られた。

また同項目3について、陰謀論的思考がある人の方が、より生活への「不満」を感じている傾向(51%)がわかった。陰謀論的思考がない人で不満があるのは36%だった。

東京科学大学の笹原和俊教授と、東京大学の松尾朗子特任助教は「他のメディア利用や年齢・性別が同じであれば、動画系SNSでニュースを視聴する頻度が高いほど陰謀論スコアが高くなる一方で、新聞を読む頻度が高いほど陰謀論スコアが低くなるという、有意な関係性が確認された」と分析。

一方で、ネットニュースや動画以外のSNSの接触、ならびに年齢や性別といった属性による有意差は見られなかった。

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Source: HuffPost