09.10
「時間外勤務手当の割増率」の引き上げ⇨高知県が9月議会で条例案を提出へ。「残業は損をする」仕組みづくりに
高知県の浜田省司知事(左)と、ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長高知県は、9月の県議会に「時間外勤務(残業)手当の割増率の引き上げ」などを含む条例案を提出する。
9月10日に開かれた、コンサルティング会社「ワーク・ライフバランス」(東京)との「働き方改革に向けた連携と協力に関する協定」の締結式で、浜田省司知事が明らかにした。
県議会で認められれば、2026年度の1年間、一部職員の時間外勤務手当の割増率を、現行の1.25倍から1.5倍に引き上げる。
日本の時間外勤務手当の割増率(1.25倍)を巡っては、「従業員を残業させやすい」「長時間労働の原因となっている」という指摘がある。
同県は、「残業させると企業が損をする仕組みづくり」を自ら実践し、市町村や企業に波及させていきたい考えだ。
日本は「残業で解決している」
締結式ではまず、ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長が、時間外勤務手当の割増率を引き上げることの重要性を説明した。
小室社長によると、アメリカやイギリスなど、他の先進国の割増率(平日)は1.5倍。この場合、残業が人件費の膨れに直結するため、定時の中で効率よく仕事をしてもらう構造になっているという。
しかし、日本の割増率(1.25倍)の場合、企業の経営者が「残業で解決するほうが儲かる」と判断し、新たな人材を雇用しない状況が生まれる。
その結果、長時間労働が当たり前の職場が出来上がり、家事や育児などに追われる人材は働けない環境になってしまうという。
小室社長は、「経営者がそんな手法を続けると、残業できる人材が減っている日本は伸びしろがなくなる」と指摘。
その上で、「残業はできないが、意欲や能力がある人材はたくさんいる。時間外勤務手当の割増率が引き上がれば、人手不足の解消も進み、誰が休んでも仕事が回る体制も出来上がる」と語った。
条例案の中身は
今回の高知県の条例案では、月60時間までの時間外勤務手当の割増率を、平日午後10時までは1.5倍(現行1.25倍)、午後10時から翌午前5時までは1.75倍(同1.5倍)に引き上げる。
これにより、時間外勤務の総時間数を現在の6分の5以下に減らすことを目指している。
また、割増率の引き上げが実現すれば、管理職を含めた職員の時間外勤務に対する意識に変化が生まれ、県内の市町村や企業に好影響が波及する可能性がある。
このほか、浜田知事は締結式で、条例案に「短時間勤務職員採用枠の新設」を盛り込んだことも明らかにした。
職員の採用が困難になってきた中、長時間労働の是正に向けたマンパワーの確保策として、育児や介護などの事情がある人でも勤務できるようにしたい考えだ。
具体的には、1週間当たり10時間を上限に、30分単位で無給休暇を取得できるようにし、多様な人材が活躍できる職場環境をつくっていくという。
浜田知事は「男女ともに育児・家事を等しく負担し、仕事と家庭の両立ができる社会をつくることで、子育てしやすい環境を整えていく。一方、長時間労働に依存した働き方では、仕事と家庭の両立はできない」と語った。
そして、「人口減少が進んでいる高知県が最先端の働き方改革に取り組み、全国をリードしていきたい。成果が出れば、市町村や企業、全国に広がっていくのではないか」と述べた。
Source: HuffPost




