09.02
年齢とともにお酒が弱くなるのはなぜ?知っておくべき20〜60代の飲酒習慣。肝臓病などのリスクも

「お酒はほどほどに」。よく耳にするアドバイスですが、年末年始など、なかなか守れないと感じる時はないでしょうか。
しかし、適度な飲酒量を守ることで心身ともに気持ちよく過ごせます。
「2020~2025年版 アメリカ人の食生活ガイドライン」は、適度な飲酒量を男性は1日に2杯以下、女性は1杯以下と定義しています。
それはつまり、仕事のあとに毎日グラス一杯のワインを飲むぐらいなら、体や脳への悪影響はないということでしょうか?
それは、年齢や健康状態によると言えそうです。
老年病と認知症の専門医エリザベス・ランズヴァーク博士によると、アルコールが体に与える影響は年齢によって異なります。
「適度なアルコール量」は年齢とともにどう変わるのでしょうか。ランズヴァーク氏に聞きました。
1日1~2杯のアルコールが20代〜60代の体に与える影響
20代
ランズヴァーク氏によると、20代は体に回復力があるため、二日酔いがそこまで悪化しない傾向があります。
「20代は、肝臓と脳に最も回復力があります。また前頭葉(思考や判断を司る部分)が完全に発達しておらず、大量飲酒をしたり、リスクを伴う行動を取ったりしやすく、それが将来的に問題を引き起こす習慣につながることもあります」
30代
適度な飲酒を続けていれば、30代になっても大きな変化を感じないかもしれません。しかし、30代は健康を意識することが重要になります。
「他に健康上の問題を抱えていないかどうか、考えてみてください。アメリカでは肥満がまん延しており、非アルコール性脂肪肝のリスクを高めています」とランズヴァーク氏は言います。
「アルコールは肝臓病や肝硬変のリスクを高めます。老年病専門医として、私は週に1~2杯程度の飲酒量は問題ないと考えています。『1日1杯なら大丈夫』と言う医師もいますが、アルコールは神経毒もあるため、いずれ影響が出てくる可能性もあります」
40代
40代に入るとさらに多くの健康リスクが現れ始める、とランズヴァーク氏は説明します。
「肥満、糖尿病、高血圧、高コレステロールは、心臓発作や脳卒中、小さな脳梗塞による認知症のリスクを高めます」
こうした疾患を抱えている場合、少量のアルコールであっても心臓発作や脳卒中が起きるリスクを高めることがあるので注意が必要です。
50代
ランズヴァーク氏は、50代に入ると適度な飲酒量でも体に深刻な悪影響を及ぼす可能性があると強調します。
「血管障害や認知症のリスクに加えて、アルコールは乳がん、食道がん、肝臓がんなどのリスクも高めます」
アルコールは、年齢とともに急激に上昇するがんリスクをさらに高めることになります。
ランズヴァーク氏は、病気のリスクに加えて、睡眠にも影響を与えると指摘します。
「年齢を重ねると、熟睡するのが難しくなります。カフェイン、タバコ、アルコールはすべて、睡眠を妨げます」
60代
ランズヴァーク氏は、60代になると適度な飲酒量でも体への影響を感じやすくなると話します。
「自分の経験からも言えますが、60代になると耐性が著しく低下することがあります」
「私は健康で、スキーもしますし、1.6キロ泳ぐこともできます。しかしグラス1杯のワインを飲むと翌日は体調が悪くなり、動きが鈍くなります」
その理由は、高齢になるとアルコールを代謝する酵素(アルコール脱水素酵素)を失いやすくなることにあります。
「私は週にグラス1杯程度なら耐えられますが、毎日飲むと1杯でも体調が悪くなります。高齢者は脳、肝臓、腎臓の予備能が低下しているため、60歳を超えると、たとえ1日1杯のアルコールでも脳へのダメージはより深刻になります」
ランズヴァーク氏はアルコールをチョコレートのように捉えることを勧めています。
「食事と一緒に楽しむのは良いのですが、体重や血糖値を上げます。数十年かけて、がんや慢性疾患のリスクを増加させ、最終的に健康状態を悪化させる可能性があります」
お酒は飲まない方がいい?
では、健康で元気に年齢を重ねたいなら、お酒を完全にやめなければならないのでしょうか?
ランズヴァーク氏の答えは「ノー」です。
アルコールが健康やウェルビーイングに与える影響は、肥満や高血圧などの疾患の有無にも左右されます。
高齢になっても、身体的・精神的な健康状態が良ければ、アルコールを時々楽しむことまでやめる必要はないといいます。
ランズヴァーク氏自身も、お酒を飲むことはあるそうです。
「美味しい食事と一緒にグラス一杯のワインを楽しむことには価値があると考えています。ただし、毎晩ではありません」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
Source: HuffPost




