09.01
【神宮外苑】樹木を伐採した場所は平均気温が約1.6℃が高い。現地調査で明らかに
東京・明治神宮外苑。専門家のチームが樹木がある場所とない場所で気温を計測した再開発のために木の伐採・移植が行われている東京・明治神宮外苑で、樹木のある場所とない場所で、気温に差があることが精密な測器を使用した調査でわかった。
調査を行ったのは、東京都立大学の三上岳彦名誉教授(気候学)らによる研究チームだ。
神宮外苑ではスポーツ施設の建て替えや高層ビル建築などのために、2024年10月から高木の伐採が始まった。
大きな樹木の伐採は、神宮外苑の気温に影響を与えうるのか。それを調べるために、研究チームは市民と協力して、8月3日13時〜14時に神宮外苑の複数地点で気温を計測した。
その結果、樹木を伐採した場所(市街地)は木が密集している場所(樹林地)に比べて、平均気温が1.6℃高かった。
また最高気温も、市街地が37.6℃だった一方で樹林地は34.7℃と、2.9℃の差が生じていた。
【観測結果】
平均気温33.7℃
最高気温34.7℃
最低気温32.7℃
平均気温34.2℃
最高気温35.6℃
最低気温33.2℃
平均気温35.3℃
最高気温37.6℃
最低気温33.3℃

三上氏は、樹林地が市街地に比べて気温の変動幅が小さかったことにも着目する。
測定した1時間での最高気温と最低気温の差は、市街地は4.3℃で、樹林地では2.5℃だった。
この結果について、三上氏は「樹林には、気候環境を安定させる、1種のスタビライザーのような効果があることがわかった」と語った。
市街地の気温の変化が大きかったのは、車の通過などの要因も考えられるという。
「市街地は少しの風で気温が変化するなど、温度が時々刻々と変化する非常に不安定な状況になっていると言えます」
明治神宮外苑で実施された気温測定(2025年8月3日)神宮外苑の樹木伐採はどんな影響があるか
神宮外苑の樹木伐採は、東京の暑さにどのような影響を与えるのだろうか。
東京都心では8月27日に、過去最高となる10日連続での猛暑日を更新した。
地球温暖化で、世界中の気温が上昇しているが、大都市は温暖化に加えて都市化に伴うヒートアイランド現象でより暑くなっている。
中でも、東京の平均気温の上昇幅はニューヨークなど他の都市に比べても高く、過去100年間で、年間の平均気温が3℃以上上昇している。
三上氏は、「東京は、都市のヒートアイランド現象が世界で一番顕著だと言っていいと思います」と話す。
都市の気温を下げるための鍵となるのが、緑、水、風だという。
その中で樹木は、日射をさえぎって木陰を作るほか、葉の表面から水分が蒸発する時に熱を奪う「蒸散効果」で、周囲の空気の温度を下げる。
この効果は樹冠が厚い、つまり葉が茂っている樹木の方が高くなる。葉の面積が広い方が、蒸発散量が増えてより周囲の気温上昇を緩和するためだ。
神宮外苑の緑地の面積は東京全体の中で見ると小さいため、外苑の樹木を伐採したことで、東京全体の平均気温が上がるということはない、と三上氏は話す。
ただし、神宮外苑の樹木は「クールスポット」として周辺を冷却する役割はあり、失われれば影響が出ると見られる。
「神宮外苑は、新宿御苑や明治神宮内苑のような大きな森というわけではありませんが、小規模な樹林は結構あります。観測ではそれぞれの樹林の気温が平均1.6℃程、周辺より低くなっていました。それを取り払った場合は、その分だけ気温が上がってしまうことになります」と、三上氏はハフポスト日本版の取材に述べた。
「そうなれば当然、周辺への影響はあると思います。神宮外苑では、多くの人たちがジョギングや散歩をしています。樹木がなくなれば日陰が失われ、直射日光を受ける量が増えます。また、葉からの蒸散効果で気温が下がることもなくなり、快適さは損なわれると思います」
また三上氏は、神宮外苑と同じような伐採や再開発が都内の各地で行われ、全体として緑が減れば、東京全体の気温は上がるだろうとも述べた。
Source: HuffPost




