「その時は、なんの前触れもなく訪れるかもしれない」ーー。

東京都は8月22日、富士山が噴火した際の防災情報などをまとめた特設サイトをオープンした。

この取り組みでは、「富士山が噴火すると東京はどうなるの？」「どんな対策をしたらいいの？」という疑問に答えるため、生成AIを活用した動画も公開。

英メディア「BBC」もこの動画を取り上げるなど、SNS上で話題になっている。

もしも富士山が噴火すると

特設サイトによると、もしも富士山が噴火した場合、東京都内にも大量の火山灰が降る可能性がある。

中央防災会議「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」が2020年4月に公表した報告によると、東京への影響が最も大きくなるモデルケースとして、次のような想定が挙げられているという。

①多摩地域をはじめ、区部の大部分で2〜10㎝程度以上の降灰が発生

②都内で除灰が必要な火山灰量は約1.2億㎥

③全体で除灰が必要な火山灰量は約4.9億㎥とされ、東日本大震災で発生した災害廃棄物量の10倍以上に相当

なお、この想定はあくまで検討のための一例で、実際の噴火時には「風向」や「噴火の規模・継続時間」などによって、降灰の状況は変わるとしている。

生成AIを活用した動画を公開

東京都は、富士山噴火による被害をわかりやすく説明するため、生成AIを活用して作った動画を公開した。

『「富士山が噴火したら、東京はどうなる？」【本編・3分】降灰被害編動画』というタイトルで、youtubeアカウント「東京都総務局総合防災部チャンネル」にアップロードされている。

動画では、富士山が噴火して煙が上がる様子や、火山灰が降り注いで視界が灰色になる様子が映し出され、「風向き、噴火規模、天候などの状況により、1、2時間で東京に火山灰が降り始める可能性がある」というナレーションが入る。

1707年の宝永噴火では約2週間にわたって噴火が続いたといい、火山灰の粒子は硬く尖っていることなどから、様々な影響や被害が出るとした。

では、どんな影響や被害が出るのか。動画ではまず、飛行機や電車などの交通手段が使えなくなる可能性を指摘した。

道路に火山灰が積もることで、バイクや車は通行不能となるほか、降灰の影響で視界不良やスリップ事故が起きる恐れがあるという。

また、交通網の麻痺で自宅に帰れない人や、物流が止まって物が買えなくなる可能性もあるとした。

次に、ライフラインへの影響だ。電線や携帯の基地局のアンテナなどに灰が付着した状態で雨が降ると、停電や通信障害が起きるという。河川などに火山灰が降ると、水道の水質も悪化する。

このほか、木造家屋に火山灰が積もった状態で雨が降ると、その重みで倒壊する恐れがある。人への影響もあり、目や鼻、喉に異常が出たり、喘息などを悪化させたりする可能性があるとした。

東京都総務局総合防災部チャンネルには、対策をまとめた『「富士山が噴火したら、どうすればいいの？」【本編・３分】降灰対策編動画』も公開されている。

【動画】富士山が噴火したらこうなる。生成AIを活用した動画がこれだ