2025
08.26

肉食の「新世界ラセンウジバエ」、人間への感染がアメリカで初めて確認される

国際ニュースまとめ

メキシコ・チアパス州の牧場で、牛から取り除かれた「ニュー・ワールド・スクリューワーム(NWS:新世界ラセンウジバエ)」の幼虫が入った試験管を持つ牧場経営者(2025年7月23日)メキシコ・チアパス州の牧場で、牛から取り除かれた「ニュー・ワールド・スクリューワーム(NWS:新世界ラセンウジバエ)」の幼虫が入った試験管を持つ牧場経営者(2025年7月23日)

アメリカ保健福祉省は8月24日、ニュー・ワールド・スクリューワーム(NWS:新世界ラセンウジバエ)と呼ばれる肉食性の寄生虫の人間への感染例が、アメリカで確認されたことを明らかにした。

ロイター通信によると、患者は中米のエルサルバドルを訪れてメリーランド州に帰省した後、米疾病管理予防センター(CDC)により8月4日に新世界ラセンウジバエの寄生が確認された。

海外渡航者のNWS寄生がアメリカで確認されたのは、今回が初めてだという。

メリーランド州の保健当局は、患者は回復しており、他の人や動物への寄生は確認されていないとAP通信に述べている。

新世界ラセンウジバエとは?

CDCによると、新世界ラセンウジバエは恒温動物に卵を産みつけ、幼虫が生きた組織に侵入する。

メスのラセンウジバエは産卵場所として「開いた傷口や粘膜の上や内側」を好み、1度に200〜300個の卵を産むことができるという。

CDCは、ラセンウジバエの幼虫は「鋭い口鉤(こうこう)」を使って宿主の組織にねじ込むように食い込み、「広い範囲に損傷を与える」とも説明している。

「より多くの幼虫が孵化し、生きた組織を食べることで、傷口がさらに大きく、深くなることがあります」

「その結果、NWSは寄生した動物や人に深刻な損傷をもたらす可能性があり、NWSの寄生によって細菌の二次感染(重複感染)が起きる場合もあります」

NWSの寄生は、ほとんどが家畜で起きており、人への感染はまれだ。ただしCDCによると、中米やメキシコでは、動物や人間への寄生が増えており、感染した場合は激しい痛みを伴うという。

今回確認されたNWS感染について、保健福祉省のアンドリュー・G・ニクソン報道官は「アメリカの公衆衛生に与えるリスクは非常に低い」とロイターに語っている。

アメリカは50年以上前に、不妊化したオスのラセンウジバエを繁殖させて放ち、メスのハエと交尾させることでこのハエをほぼ根絶した。

ブルック・L・ローリンズ農務長官は8月中旬、中米から北上するラセンウジバエの根絶のために、テキサス州エディンバーグに不妊化したハエを育てる施設を建設すると発表した。

感染拡大どの程度心配すべき?

エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院の感染症研究者であるローレル・ブリストー氏は、「現時点で、アメリカで感染の広がりを心配する必要はあまりないと思います」とハフポストUS版に語った。

ブリストー氏は、このハエがアメリカ国内では確認されていないことや、患者が当局の管理下で治療を受けていることを理由に挙げ、「アメリカ国内の土壌に幼虫が入り込んで、成長しなければ良いのです。今回の症例が、新世界ラセンウジバエや寄生虫感染症の新たな発生につながると心配する必要はないと思います」と述べた。

一方で、ブリストー氏は、新世界ラセンウジバエの最大の懸念は家畜や野生動物に対する脅威で、特に「牛肉産業への打撃だ」と強調した。

イェール大学医学部教授で感染症専門医のシェルドン・キャンベル博士も「今回の症例が、アメリカ国内での人間への感染拡大にはならないはずだ」とハフポストUS版に語った。

「(感染が拡大するためには)ウジ虫が患者の体内でライフサイクルを完了させて体外で成虫のハエになり、交尾相手を見つけて、動物や人間に産卵する必要があります」

「症例の詳細は確認していませんが、人間の患者でこの流れが起きる可能性は非常に低いと思います」

新世界ラセンウジバエ流行地域へ旅行する際の予防策は

新世界ラセンウジバエの感染が確認されている場所へ旅行する際にはどのような対策を取ればいいのだろうか。

ジョンズ・ホプキンス大学ヘルスセキュリティセンター上級研究員のアメッシュ・アダルジャ博士は「傷口を覆い、屋外で寝るのを避け、虫よけを使用するべきです」とハフポストUS版に述べた。

「(寄生の)リスクは主にハエが存在する地域で高くなります。特に(家畜のいる)農村部では、ハエが多く見られます」

イェール大学のキャンベル博士も「予防が鍵になる」と強調する。

「傷口を清潔にして、しっかり覆いましょう。ゆったりした長袖のシャツやズボン、靴下を着用して、刺される可能性のある部分を減らしてください。EPA(米環境保護庁)認可の虫よけを使用することもお勧めします」

万が一、感染と思われるような症状が現れたらどうすべきだろうか。

ブリストー氏は「もし傷口にウジ虫が見え始めたり、傷が大きくなったり、治らなかったりする場合は、医師の診察を受ける兆候と捉えてください」と述べた。

CDCによると、NWS感染の治療法は、寄生した組織から幼虫を物理的に除去することだけだ。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

 【画像】肉食性の寄生虫、新世界ラセンウジバエの幼虫

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Source: HuffPost