働き手不足が深刻化する現代、自社の事業内容や社内の雰囲気などを、多くの学生によりわかりやすく届けるため、SNS運用に注力する企業も増えている。

そうした中で、有効な企業発信とはどのような内容なのだろうか。また、学生は企業のSNS発信に何を求め、どのような印象を抱いているのだろうか。

採用動画の制作および配信サービス「moovy+」を提供するmoovyは、2026年に大学、大学院、専門学校を卒業する学生と企業の新卒採用担当者を対象に、採用活動・就職活動におけるSNS活用に関するアンケート調査を実施。調査結果を一部抜粋して紹介する。

【調査概要】

名称：採用活動・就職活動におけるSNS活用に関するアンケート調査

方法：インターネット調査（ジャストシステム『Fastask』を利用）

期間：2025年6月30日〜2025年7月6日

有効回答者数：2026卒学生（専門学校/大学/大学院）319人、企業の新卒採用担当者 347人

就活、学生がチェックするSNS第1位は？

就職活動中に企業のSNSをチェックした経験を聞いたところ、学生の63%が「チェックしたことがある」と回答。特にInstagram（40.4%）、YouTube（36.1%）、X（35.1%）が上位を占める結果となった。

学生が好印象を抱いたSNS投稿内容として最も多かったのは「職場環境・オフィス紹介」（52.2%）、続いて「社員紹介（例：インタビュー、座談会）」（42.0%）、「採用イベント告知」（39.9%）となり、企業の等身大の姿に関する情報の需要が高いことがうかがえる。

企業のSNSは、68.7%の学生の実際の行動変容（応募や選考、内定承諾）にもつながっていることがわかった。SNSの影響を受けたタイミングは、「企業を知ったきっかけ」（55.1%）と「応募検討」（49.3%）が最も多く、採用プロセスの前半に多く生じているようだ。

一方で「選考中」（27.5%）や「内定承諾の意志決定」（22.5%）などの回答も一定数あることから、SNSが選考プロセス全体に幅広く影響していることがうかがえる。

学生の6割が企業のSNSに「ネガティブな印象」を経験

ポジティブな効果がある一方で、学生の63.7%が「ネガティブな印象を持ったことがある」と感じるSNS投稿があったと回答した。理由として最も多かった回答は「会社のことや仕事内容が伝わらなかった」（50.8%）で、次いで「社員の雰囲気・文化が合わないと感じた」（34.4%）が続いた。

また、企業のSNS投稿に対して「ネガティブな印象を抱いたことがある」と回答した学生の84.2%が、就活におけるSNS発信の重要性について「非常に重要」と考えていることも注目点だ。SNSを通じて深く企業を知ろうとする層ほど、発信内容の薄さや求める雰囲気との不一致などに敏感に反応することが推察できる。

一方の企業側では、SNS活用の主軸として、YouTubeが62.3%と最も高く、次いでInstagram（51.8%）とX（45.5%）が続いている。企業がYouTubeを主軸とする傾向に対し、学生の主な接点はInstagramにあるということから、情報設計の目的や運用スタイルの「見せ方」と「見られ方」の間に微妙なズレが生まれている可能性がある。

調査結果を振り返り、同社は「これまで、SNSは『企業認知』や『母集団形成』への影響が中心と捉えられがちでしたが、今回の調査では、選考中や内定承諾といった後工程の意思決定にも影響していることがわかりました。SNSはもはや、採用活動全般において効果のある必須ツールであることを示しています」とコメント。

さらに「企業は『信頼感』『リアルさ』『温度感』を意識した質の高いコンテンツ制作と、継続的に運用できる体制の確立により、SNSを戦略的な採用ツールとして活用していくことが求められています」と提言しつつ、今後、就職活動において企業のSNS発信の重要性が増していくことを強調した。