08.06
AIに置き換えられるリスクが最も高い職業は?調査結果がSNSで話題に。低い職業のリストも
AIに最も影響を受ける職種は?自分の仕事はAIに奪われることはない——そう信じたい人も多いだろう。
しかし、マイクロソフトが発表した調査によると、そうも言ってはいられなさそうだ。
マイクロソフトは、現時点でのAIの能力と各職業の業務内容がどれだけ重複するかを分析し、そのランキングを発表。リストはSNS上で急速に拡散され、AIに最も置き換えられるリスクが高い職業は何なのか、逆に安全な職業は何かといった議論が巻き起こっている。
あるTikTokユーザーは「良かったー。私の食器洗いの仕事は安全そう」と冗談交じりに語っている。
しかし、現実はもう少し複雑だ。
今回の研究では、マイクロソフトのAIアシスタント「Copilot」との20万件の匿名化された会話データと、各職業の業務内容データとの実績をもとに、AIがどの程度業務に適用可能かを測定。従業員アンケートを利用し「AI適用度スコア(AI applicability score)」という指標を作成し、そのスコアが高い職業ほど、AIの影響を強く受ける可能性があるとした。
とはいえ、リストに挙がった職業が「すぐに消滅する」という意味ではない。
調査を主導したマイクロソフトの主任研究員キラン・トムリンソン氏は、「我々の研究は、AIがどの職業を代替できるかではなく、どの職種で生産的に使えるかを分析したものだ」とハフポストにコメントした。
しかし、このリストにある職業は、AIによって大きな変革に直面するのがどの業界かを知るヒントとなる。
通訳・翻訳家、歴史家が上位に
マイクロソフトの研究によれば、「学士号以上の学歴を要する職業ほど、AIの影響度スコアが高かった」とされており、高学歴が必ずしもAIリスクを回避するとは限らないという。
特にAIの影響を受けやすいとされるのが、PCの前で作業する、いわゆる「知識労働者」だ。通訳・翻訳家、歴史家、ライターなどがその代表だ。
トムリンソン氏は「AIは特に調査・執筆・コミュニケーションに関わる業務で有効だが、どの職業も完全に置き換えられるわけではない」と強調する。
AIとの重複が最も大きい職業TOP20は以下の通り【マイクロソフト調査】:
通訳者・翻訳者
歴史家
乗客係
サービスの営業担当
作家・著者
カスタマーサービス
コンピューター数値制御装置プログラマー
電話オペレーター
チケット/旅行代理店
アナウンサー/ラジオDJ
証券事務員
農場/家庭運営管理の教育者
テレマーケター
コンシェルジュ
政治学者
ニュース解説者/記者/ジャーナリスト
数学者
テクニカルライター
校正者/校閲者
接客係
最もAIの能力との重複が大きいとされたのが「通訳者・翻訳者」であるが、ベテランの通訳者はこの評価に「私たちの仕事に求められることを単純化している」と懐疑的だ。
米国通訳翻訳協会の言語技術部門で管理者を務める法廷認定通訳者ブリジット・ハイラック氏は、「この研究はあくまでデータ上の答えであり、言語の複雑さを考慮していない」と指摘する。
また、「通訳」と「翻訳」はまったく別の職業であり、現時点では読み書きが主となる翻訳よりも、通訳の方がAIに取って代わられにくいと説明する。通訳者は医療・法律・外交などリアルタイムかつ高リスクな場面で活躍するため、誤訳が「戦争の引き金になることさえある」という。
Google翻訳のようなAIツールは友人宛の手紙といった低リスクの翻訳には役立つが、「命や自由、健康がかかるような公式文書では、人間の関与が不可欠だ」とハイラック氏は強調する。
言い換えれば、AIチャットボットは、病院や法廷のような最も重要な場面で、通訳の知識や人間関係構築スキルに取って代わることはできない。 「こうした場面では、人々はAI任せにしたくないし、訴訟リスクもある」とハイラックは言う。
AIがまだうまくできない職業は?
多くの仕事がAIにより取って変えられるリスクに直面する一方、AIの影響を受けにくいとされる職業も多数存在する。
マイクロソフトの調査によると、肉体労働や対面でのコミュニケーションを必要とする仕事では、AI影響度スコアが比較的低かったという。例えば重機を操作する作業員や、マッサージ師、清掃員などが該当する。
AIの能力との重複が最も少ない職種TOP20は以下の通り【マイクロソフト調査より】:
浚渫作業員
橋・水門の監視員
水処理プラント操作員
鋳造用型製造工
線路敷設・維持作業員
杭打ち機オペレーター
床研磨・仕上げ職人
ホスピタルアテンダント
モーターボート操縦士
伐採機器オペレーター
舗装・転圧機械オペレーター
使用人・ハウスキーパー
石油・ガス業界の雑役労働者
屋根職人
ガス圧縮・ポンプ操作員
屋根職人の助手
タイヤ製造工
手術アシスタント
マッサージ師
眼科医療技術者
こうした職業は、現時点ではAIとの重なりが少ないとはいえ、決して「完全に安全」ではない。AIの進化が続く限り、すべての業界が何らかの影響を受けることになる。
AIに仕事を奪われることへの不安は、依然として非常にリアルだ。アメリカの再就職支援企業チャレンジャー・グレイ&クリスマスのレポートによれば、2025年には米国内で1万人以上が「生成AI技術の導入」を理由に職を失っている。
ハイラック氏は、「物流・商業・医療・法律など、すべての産業がAIの影響を受けるだろう」と述べ、「どれだけ早く順応し、適切に教育・訓練を行えるかが鍵になる」と指摘する。
ハイラック氏自身の業界でも、「真剣な言語専門家ならば、AI技術を活用せずに業界で生き残るのは難しい」と語った。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
【合わせて読みたい】巧妙にあなたを退職に追い込む「静かな解雇」とは。知っておくべき5つのサイン
Source: HuffPost




